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その4
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「エラン様。これ以上弁明の余地はないでしょう???あなたは聖女の仮面をまとった悪魔ですよ。あれ……ひょっとして……あなたは魔物の一味なのでは???」
飛躍した仮説ではあったが、貴族たちはこの仮説を楽しんだ。嫉妬なのか、あるいは挑戦なのか……この場において聖女エランが滅んでいく様を見たいと切望していた。
「今まで私どもをだましていたのであれば、潔く罪を認めるべきです!!!」
「聖女だと偽ったのだとすれば、それは非常に重い罪でしょう???最悪の場合は死刑ですか???」
「最悪じゃなくても、これだけのことをしでかしたのだから……王家に対する反逆でしょう。これはもう死刑しかないでしょうね!!!」
貴族のざわめきがやがて総意となった。そして、王子コートリル、妹のメプチンもそうなる顛末を心から望んでいるようだった……。若気の至り……聞こえはいいかもしれない。だがしかし、その次元をはるかに超えているのは確かだった。
「エラン様……いいえ、もうあなたに敬称をつける必要はありません!!!侯爵令嬢エラン、あなたは自分を聖女だと偽り、そして、我々王家に対して謀反の疑いありと判断いたしました。ですから……潔くこの場で全ての罪を償っていただきますか???」
裁判というよりも、ある種のリンチだった。
「お姉さま、私だって、本当はこういうのは嫌だったのです。ですが……私はもう耐えきれませんわ!!!」
ウソ泣きがうまくなった……エランはそう思った。全て芝居なのだ。心の中で笑っていることを悟った。自分の手を汚すことなく、妬ましい姉をこの世界から抹殺することができるのだから……ああ、それだったらばいっそのこと死んでしまった方が楽だ……エランはそう思った。そして、この世界を見限った。
「さあ、エランを殺すんだ!!!」
王子コートリルがこのように叫んで、群衆は盛り上がった。まるで、一人の独裁者が滅んで自由を手に入れた市民のように。
すぐさま、王家直属の戦人たちが銃を構えて、この会場に入って来た。彼らはたくましく、エランと対峙することを何も心配していなかった。エランはそっと目を閉じた。もう未練はなかった。悲しみを通り越して、涙も出なかった。
THE END
エランは全てを悟った。
飛躍した仮説ではあったが、貴族たちはこの仮説を楽しんだ。嫉妬なのか、あるいは挑戦なのか……この場において聖女エランが滅んでいく様を見たいと切望していた。
「今まで私どもをだましていたのであれば、潔く罪を認めるべきです!!!」
「聖女だと偽ったのだとすれば、それは非常に重い罪でしょう???最悪の場合は死刑ですか???」
「最悪じゃなくても、これだけのことをしでかしたのだから……王家に対する反逆でしょう。これはもう死刑しかないでしょうね!!!」
貴族のざわめきがやがて総意となった。そして、王子コートリル、妹のメプチンもそうなる顛末を心から望んでいるようだった……。若気の至り……聞こえはいいかもしれない。だがしかし、その次元をはるかに超えているのは確かだった。
「エラン様……いいえ、もうあなたに敬称をつける必要はありません!!!侯爵令嬢エラン、あなたは自分を聖女だと偽り、そして、我々王家に対して謀反の疑いありと判断いたしました。ですから……潔くこの場で全ての罪を償っていただきますか???」
裁判というよりも、ある種のリンチだった。
「お姉さま、私だって、本当はこういうのは嫌だったのです。ですが……私はもう耐えきれませんわ!!!」
ウソ泣きがうまくなった……エランはそう思った。全て芝居なのだ。心の中で笑っていることを悟った。自分の手を汚すことなく、妬ましい姉をこの世界から抹殺することができるのだから……ああ、それだったらばいっそのこと死んでしまった方が楽だ……エランはそう思った。そして、この世界を見限った。
「さあ、エランを殺すんだ!!!」
王子コートリルがこのように叫んで、群衆は盛り上がった。まるで、一人の独裁者が滅んで自由を手に入れた市民のように。
すぐさま、王家直属の戦人たちが銃を構えて、この会場に入って来た。彼らはたくましく、エランと対峙することを何も心配していなかった。エランはそっと目を閉じた。もう未練はなかった。悲しみを通り越して、涙も出なかった。
THE END
エランは全てを悟った。
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