最愛の旦那様に先立たれて~もう誰も愛せない~

岡暁舟

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元伴侶の死

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 貫くだけ貫く……これは明確なる殺意でした。でも、こうして簡単に恨みを晴らすことができると言うのは、非常にありがたいことでした。

「レイチェル、どうして……」彼は生きている間、ずっと言っていました。

「それが分かっていれば……最初からこんなことにはならなかったでしょうね……」私は言いました。

「そのナイフを……抜いて……くれないか……今ならまだ……間に合う……」彼は息絶え絶えに言いました。

「いいえ、私は最初から助けるつもりなんてありませんよ。どうですか……死ぬのが怖いですか?」

「ああ、怖いさ……」もはや叫ぶ元気もなくなったようでした。

「でもね、私だってもう、とっくに死んでいるのですから。あなただけバカみたいに生き続けるなんて、私には絶対に許せない!」

「ああ、どうして…………」

「ねえ、旦那様?私の愛しい旦那様!」

「レイチェル、やはり私のことを……愛しいって……」当然ニックに向かって言ったのですが……彼はどうやら最期までお気楽単細胞だったようです。

「お前のことじゃなーい!!!」そう言って、もう一度胸に突き刺しました。

「さすがに死んだだろう……」ニックは言いました。

「そうね……ああ、これで終わったのか……」私はどっと疲れました。

「いや、これから始まるんだよ。輝かしい生活がね……」

 ニックは私の手を取りキスをしました。

「まあ、あなたって死体の前でもキスができるんだ……強いわね……」

「それだけ君のことを愛しているってことさ……」

 最愛の旦那様……ニックは末永い愛を私に誓ってくれました。私は幸せの絶頂を迎えました。
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