2 / 10
その2
しおりを挟む
ハリスとマリーの婚約が正式に決まってから、マリーは城に住むようになった。幼い頃から思い描いていた生活が、これから始まると思うとワクワクした。
「君は本当に肝の据わった女だね!巡り合えてよかったよ」
何か戦争が起きた時、マリーが対処すれば必ず安泰……ハリスは王家の繁栄を力強いマリーに託すことにした。
男勝りとは言っても、やはり、王子の妃の格好をすれば、マリーはごくありふれた令嬢に様変わりした。
「美しい。とても、その細い腕で刀をぶんぶん振り回しているとは思えないな……」
マリーは、ハリスの求める美しい容姿を満たしていた。
「ハリス様。しかし、私には修行が必要でございます。毎日、武術の訓練を怠ったことなどございません。今後も続けてまいります」
「いいだろう。それで……どのくらい練習するのだ?」
「はい、日が昇ってから沈むまで、ずっとでございます」
「なんと!」
ハリスは驚いた。
「それだと、私と話す時間があまりとれないね?」
「ハリス様、恐れながら……」
マリーは持論を唱え始めた。
「確かに私は、妃になることを憧れておりました。今、昔からの夢がかなったわけでございますが、この妃という地位に甘んじることは許されないと思うのです。私はこの国の繁栄を支える礎として、末端の兵士と同じ覚悟を持って、戦いに備えたいと思うわけです」
マリーの覚悟は立派である、とハリスは感じた。
「そうかそうか……。君の意志は立派だ。尊重しようと思う。だが……せっかく私の妻になったわけだし……」
「ハリス様。それでは行ってまいります」
マリーは、鳥籠の住人になることを頑なに拒んだ。庭に出て、身体を鍛え上げることに専念した。心の交流を求めるハリスは、時々寂しいと思うこともあったが、マリーの考えを踏みにじるつもりはなかった。
二人の生活が始まって、一週間くらい過ぎた日のこと、ハリス宛に荷物が届いた。
「随分と大きな荷物だな……。差出人は誰なんだ?」
「バークレー伯爵でございます!」
「バークレー……ああ、マリーの実家か?」
ハリスは、この荷物はマリーに宛てられたものだと考えたので、開封を控えた。しかし、暫くして荷物がガタガタと音を立て始めた。不思議に思ったハリスは、侍従に命じて箱をとうとう開封した。
箱の中から飛び出してきたのは、人間というよりも、どちらかと言えば動く人形だった。少年が恋い焦がれた少女の末とでも言えばいいだろうか?
「お初にお目にかかります。ローズ・バークレーでございます!」
ローズと名乗る女は、一人で城に乗り込んできた。ハリスはまるで、胸を真っすぐ銃弾で貫かれてしまったようで、この後の選択を、全て自分の意志で行うことには無理があると判断した。
「君は本当に肝の据わった女だね!巡り合えてよかったよ」
何か戦争が起きた時、マリーが対処すれば必ず安泰……ハリスは王家の繁栄を力強いマリーに託すことにした。
男勝りとは言っても、やはり、王子の妃の格好をすれば、マリーはごくありふれた令嬢に様変わりした。
「美しい。とても、その細い腕で刀をぶんぶん振り回しているとは思えないな……」
マリーは、ハリスの求める美しい容姿を満たしていた。
「ハリス様。しかし、私には修行が必要でございます。毎日、武術の訓練を怠ったことなどございません。今後も続けてまいります」
「いいだろう。それで……どのくらい練習するのだ?」
「はい、日が昇ってから沈むまで、ずっとでございます」
「なんと!」
ハリスは驚いた。
「それだと、私と話す時間があまりとれないね?」
「ハリス様、恐れながら……」
マリーは持論を唱え始めた。
「確かに私は、妃になることを憧れておりました。今、昔からの夢がかなったわけでございますが、この妃という地位に甘んじることは許されないと思うのです。私はこの国の繁栄を支える礎として、末端の兵士と同じ覚悟を持って、戦いに備えたいと思うわけです」
マリーの覚悟は立派である、とハリスは感じた。
「そうかそうか……。君の意志は立派だ。尊重しようと思う。だが……せっかく私の妻になったわけだし……」
「ハリス様。それでは行ってまいります」
マリーは、鳥籠の住人になることを頑なに拒んだ。庭に出て、身体を鍛え上げることに専念した。心の交流を求めるハリスは、時々寂しいと思うこともあったが、マリーの考えを踏みにじるつもりはなかった。
二人の生活が始まって、一週間くらい過ぎた日のこと、ハリス宛に荷物が届いた。
「随分と大きな荷物だな……。差出人は誰なんだ?」
「バークレー伯爵でございます!」
「バークレー……ああ、マリーの実家か?」
ハリスは、この荷物はマリーに宛てられたものだと考えたので、開封を控えた。しかし、暫くして荷物がガタガタと音を立て始めた。不思議に思ったハリスは、侍従に命じて箱をとうとう開封した。
箱の中から飛び出してきたのは、人間というよりも、どちらかと言えば動く人形だった。少年が恋い焦がれた少女の末とでも言えばいいだろうか?
「お初にお目にかかります。ローズ・バークレーでございます!」
ローズと名乗る女は、一人で城に乗り込んできた。ハリスはまるで、胸を真っすぐ銃弾で貫かれてしまったようで、この後の選択を、全て自分の意志で行うことには無理があると判断した。
10
あなたにおすすめの小説
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる