4 / 10
その4
しおりを挟む
バークレー伯爵は、いわゆる平凡な貴族だった。争いを好まず、これ以上の出世を望むことはなかった。田舎暮らしに慣れて、社交界に顔を出すこともほとんどなかった。これに反発したのが、妹のローズであり、ローズは自らの欲望を叶える手段として、女の道を究めることを決意した。
そしていま、ローズは王子と対峙している。男を堕とすには、自分が裸になって、ただ抱かれるのを待っていればいいのである。他の貴族と遊ぶのでもよかったが、王家には純潔が求められるので、処女を貫いてきた。
「私の初めてを、是非味わってみてください……」
ハリスは何も考えずに、結果として二人はベッドを共にした……。
修行を終えたマリーは、どこかよそよそしいハリスを不思議がった。
「王子様?どうかしましたか?」
「いや、別になんともないよ?私はいたって普通なんだ」
「そんなこと……これ以上弁明する必要はないのですよ。王子様!」
マリーは、聞き慣れた声が耳に響いてきたものだから、驚いた。
「今のは……ローズの声?まさか、そんなはずはないわよね?空耳かしら?」
「空耳ではございません!」
その美しさを曝すべく、見事なまでに磨き上げられたローズが現れた。
「ローズ!あなた……こんなところで、一体何をしているの?」
「私ですか?お姉様、いちいち聞かなくても、本当は分かっていらっしゃるのですよね?王子様とベッドを共にしていた、ということを……」
ベッドを共にした……それを聞いて、マリーは頭が真っ白になった。それはつまり、ハリスが浮気をして、挙句の果てに、自分の婚約相手を実の妹に寝取られたということを意味していた。
「そんな……どうしてそんなことが?」
「当たり前じゃないですか?お姉様が何を考えているのか、私には分かりませんけれど、王子様のお世話をしないで、妃が務まるとでも思っておいでですか?」
「ローズ殿……私は……」
「あら、王子様もいまさら弁明ですか?既成事実を作っておきながら、本当は違うのだと、それでは私の尊厳を傷つけたことに対する罪を償って頂く必要がありますわね?」
ローズは雄弁に語り続けた。マリーは、妹としてローズを愛していた。ローズに愛されていないことなど、最初から分かっていた。いつも、自分に反抗して挑戦的な態度をとることも、よく理解していた。
でもそれは、自分が姉である以上全て受け入れなければならないと思っていた。
だが、今回だけは違った。腹が立つというより、自分の尊厳を侵されたことに対する正当な復讐を瞬時に企てた。
「ローズ……私はどうやら、あなたのよき理解者でい続けることは無理みたいね……」
マリーはとうとう、自らを鍛えるために用いていた刀の切先をローズの胸に真っすぐ向けることになった。
そしていま、ローズは王子と対峙している。男を堕とすには、自分が裸になって、ただ抱かれるのを待っていればいいのである。他の貴族と遊ぶのでもよかったが、王家には純潔が求められるので、処女を貫いてきた。
「私の初めてを、是非味わってみてください……」
ハリスは何も考えずに、結果として二人はベッドを共にした……。
修行を終えたマリーは、どこかよそよそしいハリスを不思議がった。
「王子様?どうかしましたか?」
「いや、別になんともないよ?私はいたって普通なんだ」
「そんなこと……これ以上弁明する必要はないのですよ。王子様!」
マリーは、聞き慣れた声が耳に響いてきたものだから、驚いた。
「今のは……ローズの声?まさか、そんなはずはないわよね?空耳かしら?」
「空耳ではございません!」
その美しさを曝すべく、見事なまでに磨き上げられたローズが現れた。
「ローズ!あなた……こんなところで、一体何をしているの?」
「私ですか?お姉様、いちいち聞かなくても、本当は分かっていらっしゃるのですよね?王子様とベッドを共にしていた、ということを……」
ベッドを共にした……それを聞いて、マリーは頭が真っ白になった。それはつまり、ハリスが浮気をして、挙句の果てに、自分の婚約相手を実の妹に寝取られたということを意味していた。
「そんな……どうしてそんなことが?」
「当たり前じゃないですか?お姉様が何を考えているのか、私には分かりませんけれど、王子様のお世話をしないで、妃が務まるとでも思っておいでですか?」
「ローズ殿……私は……」
「あら、王子様もいまさら弁明ですか?既成事実を作っておきながら、本当は違うのだと、それでは私の尊厳を傷つけたことに対する罪を償って頂く必要がありますわね?」
ローズは雄弁に語り続けた。マリーは、妹としてローズを愛していた。ローズに愛されていないことなど、最初から分かっていた。いつも、自分に反抗して挑戦的な態度をとることも、よく理解していた。
でもそれは、自分が姉である以上全て受け入れなければならないと思っていた。
だが、今回だけは違った。腹が立つというより、自分の尊厳を侵されたことに対する正当な復讐を瞬時に企てた。
「ローズ……私はどうやら、あなたのよき理解者でい続けることは無理みたいね……」
マリーはとうとう、自らを鍛えるために用いていた刀の切先をローズの胸に真っすぐ向けることになった。
10
あなたにおすすめの小説
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる