元婚約者を妹に寝取られて~いちいち突っ込んでくるな!~

岡暁舟

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その4

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バークレー伯爵は、いわゆる平凡な貴族だった。争いを好まず、これ以上の出世を望むことはなかった。田舎暮らしに慣れて、社交界に顔を出すこともほとんどなかった。これに反発したのが、妹のローズであり、ローズは自らの欲望を叶える手段として、女の道を究めることを決意した。

そしていま、ローズは王子と対峙している。男を堕とすには、自分が裸になって、ただ抱かれるのを待っていればいいのである。他の貴族と遊ぶのでもよかったが、王家には純潔が求められるので、処女を貫いてきた。

「私の初めてを、是非味わってみてください……」

ハリスは何も考えずに、結果として二人はベッドを共にした……。


修行を終えたマリーは、どこかよそよそしいハリスを不思議がった。

「王子様?どうかしましたか?」

「いや、別になんともないよ?私はいたって普通なんだ」


「そんなこと……これ以上弁明する必要はないのですよ。王子様!」

マリーは、聞き慣れた声が耳に響いてきたものだから、驚いた。

「今のは……ローズの声?まさか、そんなはずはないわよね?空耳かしら?」

「空耳ではございません!」

その美しさを曝すべく、見事なまでに磨き上げられたローズが現れた。

「ローズ!あなた……こんなところで、一体何をしているの?」

「私ですか?お姉様、いちいち聞かなくても、本当は分かっていらっしゃるのですよね?王子様とベッドを共にしていた、ということを……」

ベッドを共にした……それを聞いて、マリーは頭が真っ白になった。それはつまり、ハリスが浮気をして、挙句の果てに、自分の婚約相手を実の妹に寝取られたということを意味していた。

「そんな……どうしてそんなことが?」

「当たり前じゃないですか?お姉様が何を考えているのか、私には分かりませんけれど、王子様のお世話をしないで、妃が務まるとでも思っておいでですか?」

「ローズ殿……私は……」

「あら、王子様もいまさら弁明ですか?既成事実を作っておきながら、本当は違うのだと、それでは私の尊厳を傷つけたことに対する罪を償って頂く必要がありますわね?」

ローズは雄弁に語り続けた。マリーは、妹としてローズを愛していた。ローズに愛されていないことなど、最初から分かっていた。いつも、自分に反抗して挑戦的な態度をとることも、よく理解していた。

でもそれは、自分が姉である以上全て受け入れなければならないと思っていた。

だが、今回だけは違った。腹が立つというより、自分の尊厳を侵されたことに対する正当な復讐を瞬時に企てた。

「ローズ……私はどうやら、あなたのよき理解者でい続けることは無理みたいね……」

マリーはとうとう、自らを鍛えるために用いていた刀の切先をローズの胸に真っすぐ向けることになった。



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