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「やっぱり…変な遺伝子だったんですかね…」
お子様が死んで、カーチャは私のところにやって来た。旦那様やお母様が一先ず、カーチャのことを攻撃することはなかったそうだ。とはいえ、手の平を返すように反撃してくる可能性があるわけで、油断は出来ないのだ。
「そういう言い方は良くないと思うけど…でも、結果としてはそういうことかしらね…」
公爵家の祝福モードから一転、悲劇の始まりだった。
「あなた…辛くはないの?」
「何が辛いんですか?」
「お腹を痛めて産んだ子供が…すぐに死んじゃうなんて…」
「…アンナ様?そんな普通の感覚を持っている女が娼婦なんてやると思います?」
カーチャの辛辣な発言が、この世界を説明しているようだった。
「親の愛情とか、そういうのはよく分かりません。子供だって…アンナ様も同じかもしれませんが、結局はお家のための道具みたいなものじゃないですか、この世界では。だったら…産まれてこない方が良かったのかもしれませんね…」
なるほど、と思った。
それからカーチャと話す機会はめっきり減った。恐らくではあるが、やはり旦那様やお母様がカーチャを攻撃したのかもしれない。精神的にいたぶって…別にカーチャが悪いわけじゃないのに。あれだけ強そうに見えても、私と同じで…人間はみんな弱いんだ。
「もう、この家から出ていこうと思います…」
それが、最後にカーチャと交わした言葉だった。
「アンナ様のように…離縁を迫られるのも癪なので…その前に去ろうと思います…」
「それは、懸命だと思うわ。これ以上…あなたが背負い込む必要もないでしょうから…」
私はカーチャを認めた。みんな被害者なんだ、結局のところは。
お子様が死んで、カーチャは私のところにやって来た。旦那様やお母様が一先ず、カーチャのことを攻撃することはなかったそうだ。とはいえ、手の平を返すように反撃してくる可能性があるわけで、油断は出来ないのだ。
「そういう言い方は良くないと思うけど…でも、結果としてはそういうことかしらね…」
公爵家の祝福モードから一転、悲劇の始まりだった。
「あなた…辛くはないの?」
「何が辛いんですか?」
「お腹を痛めて産んだ子供が…すぐに死んじゃうなんて…」
「…アンナ様?そんな普通の感覚を持っている女が娼婦なんてやると思います?」
カーチャの辛辣な発言が、この世界を説明しているようだった。
「親の愛情とか、そういうのはよく分かりません。子供だって…アンナ様も同じかもしれませんが、結局はお家のための道具みたいなものじゃないですか、この世界では。だったら…産まれてこない方が良かったのかもしれませんね…」
なるほど、と思った。
それからカーチャと話す機会はめっきり減った。恐らくではあるが、やはり旦那様やお母様がカーチャを攻撃したのかもしれない。精神的にいたぶって…別にカーチャが悪いわけじゃないのに。あれだけ強そうに見えても、私と同じで…人間はみんな弱いんだ。
「もう、この家から出ていこうと思います…」
それが、最後にカーチャと交わした言葉だった。
「アンナ様のように…離縁を迫られるのも癪なので…その前に去ろうと思います…」
「それは、懸命だと思うわ。これ以上…あなたが背負い込む必要もないでしょうから…」
私はカーチャを認めた。みんな被害者なんだ、結局のところは。
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