愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

葉月

文字の大きさ
201 / 269

すれ違い ⑧ 〜健side〜

しおりを挟む
『うん…。健、本当に怒ってない?』
「怒ってない。…好きだよ、優斗」
 優斗に対しての、愛おしい気持ちが溢れた。
『も~健、その声ずるい!すぐに会いたくなっちゃうじゃん!』
 優斗が頬を膨らましただろうと思うと、ふっと微笑んでしまう。
「本当は俺も会いたけど、また明日、な。で、明日は一緒にお風呂入ろ」
『も~なんで健の方が余裕なの?さっきまでそんな感じじゃなかったのに~!』

優斗、子リスみたいに頬を膨らませてるんだろうな。

 もう可愛くて可愛くてしかたない。
 健はこんなに愛おしいのに、すぐに抱きしめられないのが寂しいかった。
「こんな俺のこと、嫌いになった?」
『そ、そんなこと…。健を嫌いになることなんてないよ!』
「じゃあ、何って思ってる?」
『え!?それは……』

この声は、顔を真っ赤にしながら照れてる時の声。

「言って欲しいな。言ってくれたら、今日の仕事も明日の仕事も頑張れる。な、お願い!」
 こんなこと言うと、優斗が困ってしまうとわかっているが、どうしても言って欲しい。

『わかってるくせに…』

困った様子も可愛い。

「うん、わかってる。でも優斗の口から聞きたい」
『言って欲しい?』
「言って欲しい」
『言ったら頑張れる?』
「頑張れる」
『……、じゃあ、一回しか言わないからね…』
「うん!」

やった!

 少し意地悪なわがままを聞いてもらえ、健は嬉しさでいっぱいだ。
 
『………。健、大好きだよ。本当に大好き。本当に本当に大好き。健の全部、大好きだよ。仕事大変だと思うけど…、明日、たくさんギュッてしてあげるから、頑張ってね』

………。

 健の頭がフリーズする。

ちょっと待ってくれ…。
今…、なにって…?

 優斗の言葉が、頭の中でリプレイされる。

まず「大好き」って言ってくれたよな。
それで「全部、大好き」って言ってくれたよな。
それから、確か…仕事頑張ったら『明日、たくさんギュッてしてあげる』ともいってた…。

 そして、また頭がフリーズする。
「………」
 

こんな事あっていいのか?
こんな最高なことあって、いいのか?

『どう…だった…?』
 はにかむ優斗の姿を想像してしまう。
「………」
 健の帰りを心待ちにしている優斗の姿を、想像してしまう。
『あれじゃあ…元気、でなかった…?』
 少し心配そうな優斗の声も愛おしい。
 健の中の優斗の可愛さが、溢れ出し…、
「ヤバい…」
『?ヤバい?何がヤバいの?』
「優斗が可愛過ぎて、ヤバい…。え?ちょっと待って。本当にヤバい…。マジで可愛過ぎて、ヤバいんだけど…。可愛すぎる…ヤバい…。俺の優斗が可愛すぎる…」
 もう優斗に言ってるのか、独り言なのか?わからない。
 ただわかることは、健は優斗の可愛さにやられて、語彙力がなくなっていることだ。
 完璧に健の脳内は『優斗、可愛すぎる』でいっぱいだ。
『もう!そんなに可愛い可愛い言わないで!恥ずかしいじゃん!』
「え?だってマジで可愛い。世界で一番可愛い。本当に可愛い」
 どうしてこの可愛さがつたわらない?と、力説するが、力説している相手が優斗なので、どうもおかしな話になっている。
『もうわかったって!わかったから、もう「可愛い」って言わないで…。俺のこと可愛いって思ってくれてるなら、明日は…早く帰ってきて…』
 恥ずかしながらも、健の帰りを待ってくれていることが、嬉しくてたまらない。
「!!優斗!!どうして会えない日に、そんな可愛いこと言うんだよ…。マジで会いたくなる!でも今日は仕事頑張って、明日の分も終わらせてくる!それで、明日、優斗の好きなケーキ買って帰る!優斗、何が食べたい?」
 
今日買ったケーキは一緒に食べられないけど、明日は絶対!なにがあっても早く帰って、一緒に食べる!
急な会議の招集がかかっても、絶対に行かない!

『レアチーズケーキが、食べたいです!』
 元気な優斗の声がする。
「レアチーズケーキね。了解。絶対買って帰るから、待ってて。仕事、光の速さで終わらせてくるから」

すぐに優斗の元に帰るから。
だから、待ってて。

『光の速さって』
 あははと、楽しそうに優斗が笑う。
『じゃあ仕事頑張ってる健にご褒美あげる』
「ご褒美?」
『うん。夕食の後、時間があったら膝枕してあげる』
「膝枕!?」
 喜びのあまり、健の声がうわずる。

今、膝枕してくれるっていってた?

『膝枕で映画鑑賞だよ。どう?頑張れそう?』
「映画鑑賞ってことは、映画観てる間ずっと膝枕?」

映画鑑賞中、優斗を独り占め!?

『それじゃご褒美にならない?』
「最上級のご褒美!!ありがとう優斗!仕事頑張る!優斗のために、膝枕のために頑張ってくるよ!」
 最高の提案に電話越しの健は、喜びで飛び跳ねそうになる。
『でも、あんまり無理しないでね。大好きだよ、健。またいっぱいイチャイチャしようね』
 優斗は健に音が聞こえるように『チュッ』とキスをする。
「!!」
 今、電話越しに、何が起こったのか、一瞬わからなかった。

でも…あの音は…、もしかして…!?

「今、スマホ越しにキスしてくれた!?!あー、ヤバい!マジヤバい!仕事頑張ってくる。優斗は大人しく寝てるんだぞ!俺が壊れるから、それ以上可愛くなるなよ!おやすみ優斗。愛してる!」
 そういうと健は電話を切った。
 健は目を閉じ、優斗との会話を思い出す。

照れたり、はにかんだり…。
可愛すぎて仕方ない。
言葉の行き違いで、悲しい思いをさせてしまったけど、これからはあんな思いはさせない。
いつまでも、優斗のあの笑顔を守っていきたい。

 健の疲れ切った体と気持ちは、優斗との会話で一気に癒されていった。

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

黒の執愛~黒い弁護士に気を付けろ~

ひなた翠
BL
小野寺真弥31歳。 転職して三か月。恋人と同じ職場で中途採用の新人枠で働くことに……。 朝から晩まで必死に働く自分と、真逆に事務所のトップ2として悠々自適に仕事をこなす恋人の小林豊28歳。 生活のリズムも合わず……年下ワンコ攻め小林に毎晩のように求められてーー。 どうしたらいいのかと迷走する真弥をよそに、熱すぎる想いをぶつけてくる小林を拒めなくて……。 忙しい大人の甘いオフィスラブ。 フジョッシーさんの、オフィスラブのコンテスト参加作品です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

処理中です...