俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

俺のスパダリはギャップがすごい ー立花蓮sideー

ランチ ②

林が言う通り、キッチンカーの前には長い行列ができていた。
知ってる顔も知らない顔も、沢山の人々。
その人々は皆楽しそう。
それを見て蓮はふと考えた。

ここにいる人たちも例外なく、何かしら悩むことや思うことがあると思う。
でも今は楽しそうだ。
俺は今、楽しそうだろうか？
今朝の事は今朝のこと。
悩んだって事実は事実で、松野さんが真司のことを好きだという気持ちも真実で、それは誰に変えられることでもない。
だから、俺が何を思っても仕方のないこと。
だからといって割り切れないけど……
今俺ができることは？

「…ーフ？チーフ？大丈夫ですか？」
林が蓮の顔を覗き込む。
「順番次ですよ。注文決まりましたか？」
林が蓮にメニューを渡した。
「じゃあ…林さんと同じで」
蓮は微笑んだが……

うまく笑えただろうか…

蓮は自分の笑顔が心配になった。
また2人に気を使わせてしまわないかと…
そんな事を知ってか知らずか、

「大丈夫ですよ、チーフ。いつもと同じ、チーフの素敵な笑顔です」
林がいつものように微笑んだ。