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謁見 ③
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「まぁいい。それでお前は本当は誰なんだ?名前をなんと言う?」
「……」
こんなにも何度も本当の名前を聞かれるとは思っていなくて、なんと答えたらいいかわからず言葉が詰まる。
「ダインズの好意で養子になったというのは嘘だな」
「!いえ!真実でございます!本当です!本当でございます!」
「どうせそのご厚意でとやらで養子になった見返りに、『孤児院を助ける』などと言われたんじゃないのか?」
娘でも女性でもないということは、すぐに気付かれるとは思っていた。でも真相までも見破られるなんて一ミリも思っていなかった。
「どうしてそれを!!」
口走ってしまい慌てて両手で口を押さえた。
「それで『娘のローズを羨んだことにして、お前が俺のところへ行け』とでも言われたんだろう」
「!それは……」
まさか言わされたセリフさえ言い当てられ、なんと答えればいいかわからない。
「俺がそんな茶番、見抜けないとでも思ったのか…。ヒューゴ、急いでダインズ家の取り壊しにかかれ」
ダインズ家のお取り壊し!?
先ほどまでと違う恐ろしさが込み上げてくる。
「待ってください!ダインズ伯爵家がお取り壊しになれば、僕のいた孤児院は潰されてしまいます。あそこには身寄りのいない子供たちしかおらず、孤児院がなくなれば、また路頭で彷徨うことになります。ですからお願いします!処罰は僕が…僕が全て受けますので、どうかお取り壊しだけはしないでください!」
瞳に涙が浮かぶが必死にその涙を堪え、藁をもすがる思いでアレキサンドロス様をじっと見つめる。
「どんな処罰も受けるのか?」
威圧的に見下ろされ意図せず震え上がるが、ここで孤児院を救えるのは僕しかいない。
「はい!どんな処罰でも受けます」
「俺を欺いた罪で処刑台に行く羽目になってもか?」
「……、はい…」
一瞬返答が遅れたけど、それは恐怖からではなく、僕が処刑されれば子供たちが助かると思った安堵からだとすぐにわかった。
「わかった。用意させよう」
「殿下!それはいくらなんでも!この者に罪はありません」
ヒューゴ様が止めてくださるが、僕の気持ちは固まっている。
「ヒューゴ様ありがとうございます。でも僕が処罰されて、あの子たちが助かるなら本望です」
「本当だな?」
アレキサンドロス様の問いかけに、
「はい」
僕は力強く頷いた。
「……」
こんなにも何度も本当の名前を聞かれるとは思っていなくて、なんと答えたらいいかわからず言葉が詰まる。
「ダインズの好意で養子になったというのは嘘だな」
「!いえ!真実でございます!本当です!本当でございます!」
「どうせそのご厚意でとやらで養子になった見返りに、『孤児院を助ける』などと言われたんじゃないのか?」
娘でも女性でもないということは、すぐに気付かれるとは思っていた。でも真相までも見破られるなんて一ミリも思っていなかった。
「どうしてそれを!!」
口走ってしまい慌てて両手で口を押さえた。
「それで『娘のローズを羨んだことにして、お前が俺のところへ行け』とでも言われたんだろう」
「!それは……」
まさか言わされたセリフさえ言い当てられ、なんと答えればいいかわからない。
「俺がそんな茶番、見抜けないとでも思ったのか…。ヒューゴ、急いでダインズ家の取り壊しにかかれ」
ダインズ家のお取り壊し!?
先ほどまでと違う恐ろしさが込み上げてくる。
「待ってください!ダインズ伯爵家がお取り壊しになれば、僕のいた孤児院は潰されてしまいます。あそこには身寄りのいない子供たちしかおらず、孤児院がなくなれば、また路頭で彷徨うことになります。ですからお願いします!処罰は僕が…僕が全て受けますので、どうかお取り壊しだけはしないでください!」
瞳に涙が浮かぶが必死にその涙を堪え、藁をもすがる思いでアレキサンドロス様をじっと見つめる。
「どんな処罰も受けるのか?」
威圧的に見下ろされ意図せず震え上がるが、ここで孤児院を救えるのは僕しかいない。
「はい!どんな処罰でも受けます」
「俺を欺いた罪で処刑台に行く羽目になってもか?」
「……、はい…」
一瞬返答が遅れたけど、それは恐怖からではなく、僕が処刑されれば子供たちが助かると思った安堵からだとすぐにわかった。
「わかった。用意させよう」
「殿下!それはいくらなんでも!この者に罪はありません」
ヒューゴ様が止めてくださるが、僕の気持ちは固まっている。
「ヒューゴ様ありがとうございます。でも僕が処罰されて、あの子たちが助かるなら本望です」
「本当だな?」
アレキサンドロス様の問いかけに、
「はい」
僕は力強く頷いた。
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