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謁見 ④
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「そうか……」
アレキサンドロス様は何か少し考え込んでから、
「それでお前、本当の名前はなんと言う?」
先ほどした質問をもう一度する。
「僕の名前は…『ユベール・アスファーナ』と申します」
震えてばかりでは孤児院を守ることは出来ない。
今度は怯える事なく、しっかりとした口調で答えられた。
「アスファーナだと!?」
僕が答えると、アレキサンドロス様は何かに驚きヒューゴ様を見る。
するとヒューゴ様も一瞬目を見開き、そしてアレキサンドロス様を見て大きく頷く。
僕の名前に何か引っかかることがあったのか?
「あのアスファーナ家の生き残りなのか?」
「!どうしてそれを……」
僕たちの国は小さく、ほとんど知られていない国。
なのにどうしてアレキサンドロス様がご存じなの?
「乳母と逃れたと聞いたが、今、乳母はどうしてる」
「僕の乳母は……乳母は……僕を逃すために囮になって、敵兵に捕まってしまいました…」
どうしてそんな詳しいことをご存知なのかということよりも、脳裏に国が豊かで幸せだった頃の記憶と、乳母が必死の思いで僕を助けてくれた時の記憶が蘇った。
「僕はもう二度と…二度と家族を失いたくないんです…。だからお願いです、僕を処罰してください…」
我慢していた涙が頬を伝う。
「……わかった……。処罰を下そう」
「アレク様!!」
ヒューゴ様は庇うように、僕の前に立ち塞がる。
「ユベール、今日からお前は俺の側室だ。だから夫である俺が孤児院を守る。わかったか」
「!アレキサンドロス様…。ありがとうございます!ありがとうございます!」
今まであった恐怖と安堵が一度に押し寄せ、涙が滝のように流れる。
「だが、一つ約束してくれ。これからは絶対に、俺には嘘はつくな。いいな」
「はい!つきません!絶対に嘘はつきません!」
部屋に響きわたるほどの大きな声で返事をする。
「今日は疲れただろう。ヒューゴ、ユベールを部屋に案内してやれ。食事までゆっくり休むといい」
それだけ言い残し、アレキサンドロス様は部屋を後にした。
僕は緊張から解放され、その場にへなへなと座り込んだ。
アレキサンドロス様は何か少し考え込んでから、
「それでお前、本当の名前はなんと言う?」
先ほどした質問をもう一度する。
「僕の名前は…『ユベール・アスファーナ』と申します」
震えてばかりでは孤児院を守ることは出来ない。
今度は怯える事なく、しっかりとした口調で答えられた。
「アスファーナだと!?」
僕が答えると、アレキサンドロス様は何かに驚きヒューゴ様を見る。
するとヒューゴ様も一瞬目を見開き、そしてアレキサンドロス様を見て大きく頷く。
僕の名前に何か引っかかることがあったのか?
「あのアスファーナ家の生き残りなのか?」
「!どうしてそれを……」
僕たちの国は小さく、ほとんど知られていない国。
なのにどうしてアレキサンドロス様がご存じなの?
「乳母と逃れたと聞いたが、今、乳母はどうしてる」
「僕の乳母は……乳母は……僕を逃すために囮になって、敵兵に捕まってしまいました…」
どうしてそんな詳しいことをご存知なのかということよりも、脳裏に国が豊かで幸せだった頃の記憶と、乳母が必死の思いで僕を助けてくれた時の記憶が蘇った。
「僕はもう二度と…二度と家族を失いたくないんです…。だからお願いです、僕を処罰してください…」
我慢していた涙が頬を伝う。
「……わかった……。処罰を下そう」
「アレク様!!」
ヒューゴ様は庇うように、僕の前に立ち塞がる。
「ユベール、今日からお前は俺の側室だ。だから夫である俺が孤児院を守る。わかったか」
「!アレキサンドロス様…。ありがとうございます!ありがとうございます!」
今まであった恐怖と安堵が一度に押し寄せ、涙が滝のように流れる。
「だが、一つ約束してくれ。これからは絶対に、俺には嘘はつくな。いいな」
「はい!つきません!絶対に嘘はつきません!」
部屋に響きわたるほどの大きな声で返事をする。
「今日は疲れただろう。ヒューゴ、ユベールを部屋に案内してやれ。食事までゆっくり休むといい」
それだけ言い残し、アレキサンドロス様は部屋を後にした。
僕は緊張から解放され、その場にへなへなと座り込んだ。
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