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罪人 ③
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「待て!!」
遠くから叫び声が聞こえる。
その場にいた全員が声のした方を見ると、包帯で腹部をぐるぐる巻きにされ、刺された場所を押さえながらアレクが処刑台に走ってきているところだった。
「アレク!」
アレクは生きている。
目覚め、ちゃんと生きている。
涙が溢れる。
「ユベール!」
アレクは処刑台に駆け寄り、僕を抱きしめる。アレクの体温も速く脈打つ鼓動も感じる。
これは夢じゃない。
アレクは本当に生きている。
刺された腹部に巻かれた包帯を見ると、血が滲み出ていて、額には脂汗が滲み出ている。
走ったせいで傷口が開いたんだ!
「アレク、血が出てる!早く処置しないと、もっと傷口が開いてしまう」
これ以上アレクの体に負担はかけられない。
「これぐらい大丈夫だ。それより俺は、今からしないといけないことがある。ユベール、それを俺のそばで見届けてくれるか?」
本当はアレクの体が心配だったけど、傷口の手当をするよりも、しなくてはいけないこと。アレクが何を思っているのかわからないけど、僕もそばで見届けたい。
大きく頷くと、アレクは僕の額に口付けをした。
「アレキサンドロス殿下。お目覚めになられ、本当に良かった……。しかしその者は殿下を殺そうとした罪人。今から罪を償わせないといけません。ですのでその罪人から離れてください」
裁判長はキッとアレクを睨む。
「それは真実とは違うな」
アレクは決して僕を離すまいと、抱きしめる力を強くする。
「俺に痺れ薬を盛り、刺客を招き入れたのはユベールではなくジェイダだ!」
アレクは大声で言いきった。
「ですがマティアス様がこの罪人が殿下を刺しているのを目撃されています」
「それは嘘だ。刺された俺が違うと言っているのだから違う」
アレクは裁判長を睨みつける。
「それは此奴を助けたいからではないですか?」
裁判長もアレクの睨みに屈しない。
「ではその刺客に聞いてみよう」
「もしそんな者がいるのなら聞きたいものです」
「それはよかった。ヒューゴ、ここに連れてこい」
一人の男が処刑台に連れて来られる。
「先ほどの話をしてみよ。さすれば命だけは助けてやる」
連れて来られた男はアレクを見、そして震えながらマティアス様を見た。
「……」
「何も言わずにここで俺に殺されたいのか?さあ言ってみろ」
今のアレクはすぐにでも、本当に目の前の男を殺す勢いがある。
遠くから叫び声が聞こえる。
その場にいた全員が声のした方を見ると、包帯で腹部をぐるぐる巻きにされ、刺された場所を押さえながらアレクが処刑台に走ってきているところだった。
「アレク!」
アレクは生きている。
目覚め、ちゃんと生きている。
涙が溢れる。
「ユベール!」
アレクは処刑台に駆け寄り、僕を抱きしめる。アレクの体温も速く脈打つ鼓動も感じる。
これは夢じゃない。
アレクは本当に生きている。
刺された腹部に巻かれた包帯を見ると、血が滲み出ていて、額には脂汗が滲み出ている。
走ったせいで傷口が開いたんだ!
「アレク、血が出てる!早く処置しないと、もっと傷口が開いてしまう」
これ以上アレクの体に負担はかけられない。
「これぐらい大丈夫だ。それより俺は、今からしないといけないことがある。ユベール、それを俺のそばで見届けてくれるか?」
本当はアレクの体が心配だったけど、傷口の手当をするよりも、しなくてはいけないこと。アレクが何を思っているのかわからないけど、僕もそばで見届けたい。
大きく頷くと、アレクは僕の額に口付けをした。
「アレキサンドロス殿下。お目覚めになられ、本当に良かった……。しかしその者は殿下を殺そうとした罪人。今から罪を償わせないといけません。ですのでその罪人から離れてください」
裁判長はキッとアレクを睨む。
「それは真実とは違うな」
アレクは決して僕を離すまいと、抱きしめる力を強くする。
「俺に痺れ薬を盛り、刺客を招き入れたのはユベールではなくジェイダだ!」
アレクは大声で言いきった。
「ですがマティアス様がこの罪人が殿下を刺しているのを目撃されています」
「それは嘘だ。刺された俺が違うと言っているのだから違う」
アレクは裁判長を睨みつける。
「それは此奴を助けたいからではないですか?」
裁判長もアレクの睨みに屈しない。
「ではその刺客に聞いてみよう」
「もしそんな者がいるのなら聞きたいものです」
「それはよかった。ヒューゴ、ここに連れてこい」
一人の男が処刑台に連れて来られる。
「先ほどの話をしてみよ。さすれば命だけは助けてやる」
連れて来られた男はアレクを見、そして震えながらマティアス様を見た。
「……」
「何も言わずにここで俺に殺されたいのか?さあ言ってみろ」
今のアレクはすぐにでも、本当に目の前の男を殺す勢いがある。
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