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罪人 ②
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石畳と足に繋がれた鎖が擦れる音がする。
手首を縄で縛られて兵士に引っ張られ、時折転びそうになる。
今僕は、裁判所に連れて行かれていた。
裁判室の中央には被告人台があり、その周りを貴族達が取り囲んでいて、一番見晴らしのいいところに裁判官と裁判長と皇帝陛下の席がある。
突き飛ばされるように僕は被告人台に突き出された。
「何か言い残すことはないか?」
裁判官が訊く。
『何か言いたいことはないか?』ではなく、『何か言い残すことはないか?』
僕の話は訊かない。
死刑は確定している言い方。
それでも僕は
「僕はアレクを刺していません。刺したのは黒ずくめの刺客で、その刺客を部屋に招き入れたのはジェイダです」
裁判長から目を逸らさずに言った。
「この後の及んで、まだそんな戯言を!お前がしたことマティアス様が全部目撃されている」
「それは真っ赤な嘘です!」
「なにを!」
裁判長が言うと、
「この嘘つきめ!」
「恥知らず!」
「人殺し!」
貴族席から罵倒と物が飛んでくる。
その中に分厚い本があって、僕の頭に直撃する。当たったところから、ドロっとした生暖かい血が流れ出るのがわかった。
「それでも僕はアレクを刺していません!刺したのは黒ずくめの男で、その男を招き入れたのはジェイダです!」
そう叫んだが、数多くの罵声で僕の声は書き消される。
「僕は……」
言いかけた時、
「マティアス様という目撃者。殿下の血のついた短剣。証拠は全て出揃っている。貴族委員の皆さんに訊く。この者が無罪だと思う方は挙手を」
裁判長は挙手を求めたが誰も手を挙げない。
「では有罪だと思う方は挙手を」
全員手を上げる。
「では判決を言い渡す。この者はアレキサンドロス殿下を殺そうとした罪で有罪、極刑を言い渡す」
裁判長が告げると、室内は歓喜の声が響いた。
裁判が行われた後そのまま、僕は兵士に連れられて死刑台へと連れて行かれる。
道中、街の人たちが出てきていて「濡れ衣だ!」「ユベール様ははめられている!」「真犯人を見つけろ!」「ユベール様はそんなことしない!」「この処刑は間違っている」と僕に手を伸ばし助け出そうとしてくれている。
それを兵士に止められ、無理やり人混みに押し戻されていた。
広間の中央にある処刑台まで道はひどく長くて、でもとても短く感じた。
「このものは帝国第一王子アレキサンドロス様を殺害しようとした罪で処刑とする」
そう裁判長がみんなに聞こえるように大声で告げると、兵士が僕を両サイドから押しつけられ、僕は跪かされた。
死刑執行人が近づいてくる。
僕の命はここまで……。
神様どうかお願いです。
アレクだけでも助けてください。
そしてもしできるなら、最後にアレクに会わせてください。
執行人が持つ大きな斧が太陽の光で反射し、不気味に光る。
あの斧でいったい何人の罪人が処刑され、僕は濡れ衣を着せられたまま、愛するアレクを殺そうとした罪で殺される。
「僕はアレクを殺そうとなんてしていない!」
叫ぶと、
「黙れ罪人!」
体が吹っ飛んでいくほど頬を殴られ、髪を掴まれながら引っ張られ、僕の首が死刑台に固定されようとした時、
手首を縄で縛られて兵士に引っ張られ、時折転びそうになる。
今僕は、裁判所に連れて行かれていた。
裁判室の中央には被告人台があり、その周りを貴族達が取り囲んでいて、一番見晴らしのいいところに裁判官と裁判長と皇帝陛下の席がある。
突き飛ばされるように僕は被告人台に突き出された。
「何か言い残すことはないか?」
裁判官が訊く。
『何か言いたいことはないか?』ではなく、『何か言い残すことはないか?』
僕の話は訊かない。
死刑は確定している言い方。
それでも僕は
「僕はアレクを刺していません。刺したのは黒ずくめの刺客で、その刺客を部屋に招き入れたのはジェイダです」
裁判長から目を逸らさずに言った。
「この後の及んで、まだそんな戯言を!お前がしたことマティアス様が全部目撃されている」
「それは真っ赤な嘘です!」
「なにを!」
裁判長が言うと、
「この嘘つきめ!」
「恥知らず!」
「人殺し!」
貴族席から罵倒と物が飛んでくる。
その中に分厚い本があって、僕の頭に直撃する。当たったところから、ドロっとした生暖かい血が流れ出るのがわかった。
「それでも僕はアレクを刺していません!刺したのは黒ずくめの男で、その男を招き入れたのはジェイダです!」
そう叫んだが、数多くの罵声で僕の声は書き消される。
「僕は……」
言いかけた時、
「マティアス様という目撃者。殿下の血のついた短剣。証拠は全て出揃っている。貴族委員の皆さんに訊く。この者が無罪だと思う方は挙手を」
裁判長は挙手を求めたが誰も手を挙げない。
「では有罪だと思う方は挙手を」
全員手を上げる。
「では判決を言い渡す。この者はアレキサンドロス殿下を殺そうとした罪で有罪、極刑を言い渡す」
裁判長が告げると、室内は歓喜の声が響いた。
裁判が行われた後そのまま、僕は兵士に連れられて死刑台へと連れて行かれる。
道中、街の人たちが出てきていて「濡れ衣だ!」「ユベール様ははめられている!」「真犯人を見つけろ!」「ユベール様はそんなことしない!」「この処刑は間違っている」と僕に手を伸ばし助け出そうとしてくれている。
それを兵士に止められ、無理やり人混みに押し戻されていた。
広間の中央にある処刑台まで道はひどく長くて、でもとても短く感じた。
「このものは帝国第一王子アレキサンドロス様を殺害しようとした罪で処刑とする」
そう裁判長がみんなに聞こえるように大声で告げると、兵士が僕を両サイドから押しつけられ、僕は跪かされた。
死刑執行人が近づいてくる。
僕の命はここまで……。
神様どうかお願いです。
アレクだけでも助けてください。
そしてもしできるなら、最後にアレクに会わせてください。
執行人が持つ大きな斧が太陽の光で反射し、不気味に光る。
あの斧でいったい何人の罪人が処刑され、僕は濡れ衣を着せられたまま、愛するアレクを殺そうとした罪で殺される。
「僕はアレクを殺そうとなんてしていない!」
叫ぶと、
「黙れ罪人!」
体が吹っ飛んでいくほど頬を殴られ、髪を掴まれながら引っ張られ、僕の首が死刑台に固定されようとした時、
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