【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

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デート ①

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「今日は街に行くよ」
 書斎でサイモンと執事のアボットさんと書き仕事をしている時に、サイモンが言った。

「お仕事?」
「いや、今日はデートだ」
「でぇと?」
 初めて聞く言葉に、僕は首を傾げる。

 サイモン曰く、今、帝都で恋人同士や夫婦、愛する人と出かける『デート』というものが流行っているそうだ。
「流行りだからしたいわけじゃなくて、俺は大好きなミカエルと仕事以外でもたくさん出掛けたい」
 サイモンは僕を引き寄せ、髪にキスをする。

「もう、まだ仕事中だよ」
 アボットさんの視線を感じて、気まずい。
「ミカエルとデートに行きたくて一生懸命頑張って、仕事終わらせた」
 デスクの上に置かれた書類の山を見ると、全て完成している。

「ここに、ご褒美くれる?」
 サイモンはヒョイと僕を片手で抱き上げ、もう片方の手の人差し指で自分の唇を指差す。
「えっ?今?ここで?」
 今は2人っきりじゃないのに。
 ちらりとアボットさんを見ると、わざと僕たちに背を向けて知らないふりをしてくれている。

 気を使わせてしまって、すみません……。
 心の中でアボットさんに謝ってから、
「大人のはしないからね」
 アボットさんには聞こえないように耳元で囁くと、そのままの勢いでサイモンの唇に軽いキスをした。

 するとサイモンは僕の後頭部に大きな手を添えて、僕がサイモンから逃げられないようにしてから、ぬるりと舌を口内に入れてくる。
 大人のキスはしないって言ったのに!
 そう思ったのは一瞬で、すぐにサイモンの濃厚なキスに流されてしまう。
 向きを変え、舌を吸う力を変え、舌と舌を絡み合わせる。
 大人のキスだけで蕩けてしまう身体は、熱をもち楔が疼く。

「ふっ……、ぅん……」

 鼻から吐息が漏れる。
 アボットさんが、すぐそこにいるのに……。
 頭ではそうわかっていても、腕をサイモンの首に回し歪みついてしまう。
「可愛いな……」
 サイモンがそう呟いた時、僕たちに背を向けたまま、コホンッとアボットさんがわざと大きく咳払いをする。

「サイモン様。早く出発しないと、出店がみな閉まってしまいます」
 サイモンがちらっと時計を見る。
「そんな時間か……」
 そう言ってから、
「続きは帰ってから」
 僕の耳元で囁いた。
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