【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

文字の大きさ
57 / 105

白い粉と訪問者 ②

しおりを挟む
「このまま番にならないお前が、ずっとここにいられると思っているの?後継が産めないオメガなんて、なんの役にも立たないのよ。そんなオメガなんてすぐに捨てられて、サイモンは新しい人と結婚してしまうわよ。お前は捨てられて、ここから追い出されるの。追い出されても、お前みたいな役立たず家には入れてあげないわよ」
 捲し立てるように母様が言った。

 本当のことすぎて、何も言い返せず黙ってしまう。
「本当にお前は昔から何があっても黙り込んで。陰気な子ね」
 汚いモノでも見るように、母様が僕をみた。
「ごめんな、さい……」
 消え入るような声しか出ない。
「謝るぐらいなら、ちゃんと仕事をしてちょうだい」
 そう言いながら母様は、バックから白い粉が入った小指ほどの小瓶を2本取り出した。

「これをサイモンに飲ませなさい」
 飲ませなさいって、こんな怪しいものは飲ませられない。
「これは……?」
「痺れ薬と媚薬よ」
「!どうしてそんなものをサイモンに飲ませないとダメなんですか!?」
 思わず大きな声が出てしまい、
「静かにしなさい」
 小声だがら威圧的な声で凄まれた。

「夜、サイモンと2人っきりになった時が狙い目よ。この二つは一緒に飲んでも害はないし、無味無臭だからサイモンも薬の効果が出てくるまで気が付かないわ」
「……」
「これをお茶に混ぜて飲ませるの。薬の効果が出てきてサイモンが自分で動けなくなったら、妊娠するぐらいまで行為をするのよ。一度達してからの精の方が、妊娠しやすいから。わかったわね。必ず飲ませて、必ず妊娠するの。子供ができてしまえば、サイモンもお前をここから追い出すことはできないわ。役立たずのお前でも、これぐらいはできるわよね。そうねサイモンにそれを飲ませるのは、今晩がいいかしらね」
 有無を言わせず、母様は僕の服のポケットに薬を入れる。

「もしこの薬を飲ませず、妊娠していなかったら、サイモンに私達は『僕がミカエルだ』とお前に騙されていたと言うからね。それが嫌なら番になって妊娠するのです。もしものために、お前にはヒート促進剤を渡しておくわ。行為の前に飲んでおくのよ。わかったわね」
 昔から母様の言うことは絶対だ。
「はい……母様……」
 そう答えた僕は、また昔の僕に連れ戻されたようだった。
しおりを挟む
感想 158

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

ちゃんちゃら

三旨加泉
BL
軽い気持ちで普段仲の良い大地と関係を持ってしまった海斗。自分はβだと思っていたが、Ωだと発覚して…? 夫夫としてはゼロからのスタートとなった二人。すれ違いまくる中、二人が出した決断はー。 ビター色の強いオメガバースラブロマンス。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

処理中です...