【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

文字の大きさ
64 / 105

罪悪感 ⑤

しおりを挟む
「ミカエル!」
 サイモンは僕に伸ばしかけた手を、引き戻す。

「ミカエル、本当にすまない。ミカエルが俺と番になってもいいと思ってくれるまで待つと言ったのに、噛んでしまってすまない。どんな仕打ちでも受ける。だからこの通りだ!どうか許してくれ!」
 床に頭を擦り付サイモンは土下座をした。
「そんな!悪いのは僕で、サイモンは何も悪くない!お願いサイモン、頭を上げて!」
 僕もしゃがみ込みサイモンの体を持ち上げようとするが、サイモンの体はびくともしない。

「ミカエルが……ミカエルが許してくれるまで、俺は頭を上げることができない。ミカエルを見つめることも、触れることも、抱きしめることもできない。ミカエルがそばにいない人生なんて、考えられない……」
 最後の方は涙声でよく聞き取れない。
 でも、
「こんな僕を、また見てくれるの?触れてくれるの?抱きしめてくれるの?」
 額を床に擦り付けているサイモンの顔を覗き込んだ。

 サイモンはどんな表情をしているか、わからない。
 あんなことをしておいて、サイモンにまた見てもらえるなんて、そんなことあるはずないのに……。

「ごめんなさ……!!」
 謝る前に、きつくきつく、今までで一番きつく抱きしめられた。
 きつく抱きしめられ痛みが走る。
 でもその痛みすら、本当に抱きしめられていると実感できて嬉しい。

「ごめんなさい!僕、僕……サイモンに薬を飲ませて、あんなことしてしまって……、本当にごめんなさい!僕なんて消えてしまえばいいいと思ったのに、それすらできなかった……。あんなことして、ごめんなさい。サイモンの前から消えることができなくて、ごめんなさい……」
 もう二度と泣かないと決めていたのに、涙が溢れた。

 僕はなんて弱虫なんだ。
 何もできない弱虫なんだ……。

「弱虫で、役立たずで、ごめんなさい」
「ミカエルにそんな思いをさせてしまった俺を、許さなくていい。憎んでくれていい。それでもどうか俺のそばにいてくれ……。消えてしまいたいなんて、思わないでくれ……」
 悲しみに満ちたサイモンの声。

 こんな悲しみに満ちた声にしてしまったのは僕のせいだ。
「ごめんなさい、サイモン……」

ー愛してるー

 その言葉だけは言えなかった。

 僕はレオナルドでミカではない。
 偽物のミカが、サイモンに「愛している」なんて、何があっても言えない。

 こんなにも僕に気持ちを伝えてくれているサイモンを、僕は騙ししている。
 ごめんさない、サイモン。
 本当に愛してる。
 心が震えるほどに……。

 愛しているが言えないのに卑怯な僕は、サイモンを縛り付けるために言った。

「僕と番になって……」
「……え……?」
 サイモンが目を大きく見開き、息を飲み込む。
 僕たちの周りの時間が止まった。

「今……なんて……?」
 僕が言った言葉が理解できないというように、サイモンは僕の顔を覗き込む。
 僕の一挙手一投足、全て見逃さないと瞬きもせず僕を見る。

「次ヒートになった時、僕の頸を噛んで。僕をサイモンの番にして……」
 髪をかき上げ、傷一つない頸をサイモンに見せた。

「お願い……っンン…っ!」
 濃厚なキスで口を塞がれる。
 抱き上げられ、大切に大切にベッドに押し倒される。
 服を脱がされ、噛まれた首筋の痕にキスをされる。

 サイモンに何度「愛している」と言われただろう?
 何度絶頂に連れて行かれただろう?
 何度サイモンを求めたのだろう?
 わからない。
 責め立てられた僕は、獣となったサイモンに今まで見せたことのないような痴態を晒しながら抱かれた。

 サイモンは僕を悦楽の渦の中に放り込み、責めさいなむだけ苛める。

 嫌というほどの体位を教えこまれ、僕は自分でねだるようにまでなってしまう。

 僕の身体は後戻りできない境目を、ゆうに越えていた。
しおりを挟む
感想 158

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

ちゃんちゃら

三旨加泉
BL
軽い気持ちで普段仲の良い大地と関係を持ってしまった海斗。自分はβだと思っていたが、Ωだと発覚して…? 夫夫としてはゼロからのスタートとなった二人。すれ違いまくる中、二人が出した決断はー。 ビター色の強いオメガバースラブロマンス。

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

処理中です...