【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月

文字の大きさ
85 / 105

許さない! ②

しおりを挟む
「エマ、少し痛いけど我慢してね」
 サラにぶたれ腫れてしまった頬に、冷たい水で冷やしたタオルをあてる。
 エマは一瞬、痛みで体をビクリとさせたが、
「ありがとうございます」
 と礼を言うと、僕のなされるがままとなった。

「どんな辛い時でも、エマは僕のそばにいてくれて、僕を守ってくれて、ありがとう。エマは僕にとって、本当の姉様みたいだよ」
 桶に入った水にタオルを浸して絞りながら言うと、
「滅相もございません」
 そう言いながら、エマは涙目になっていた。

「二人の時は、エマの事『姉様』って呼んでいい?」
 エマは僕の言葉に目を丸くしたけれど、すぐに
「私にこんなに可愛い弟ができるなんて、思いもよりませんでした」
 と嬉しそうに微笑んだ。

「ではレオナルド様の姉になったと言うことで、一つお聞きしてもいいですか?」
「エマの弟になったんだから、僕のことは『レオ』って呼んで。それにそんな堅苦しい言葉使いもなし。ね」
「じゃあレオ。一つ聞いてもいい?」
 エマに『レオ』と呼ばれて、エマとの距離がぐんと近くなった気がした。
「なに?」
「どうしてサイモン様に本当のことを言わずに、宮殿ここに残ったの?」

「え?」
「何もないのに、レオがここに残ってルーカス様の妃になるなんて考えられない。一体何があったの?」
 エマには何もかも見透かされているような気がした。

 それでも僕の口から真実は言えない。
 もし知ってしまって、エマが何かに巻き込まれてしまったら、僕は自分が許せない。
「何も、ないよ」
 エマに嘘をついた。
 それはサイモンに嘘をついていた時に感じていた、申し訳なさが込み上げてくる。
「じゃあ、どうしてそんなに苦しそうな顔をしているの?」
 エマ姉様は両手で僕の頬を包み込む。

「言ったら姉様に迷惑がかかる……」
「あら、そんなことを考えていたの?弟っていうのはね、姉さんに迷惑をかけるものなのよ」
「……」
「レオの苦しい気持ち、姉さんに教えて」
 姉様に抱きしめられた。そこは暖かくて優しくて……。
 なんでも包み込んでくれそうだった。
 こんな出来損ないの僕でも、許してくれそうだった。
「あのね……」

 とうとう僕は話してしまった。
 僕がミカのフリをしてサイモンと結婚した事。みんなを騙していたこと。
 サイモンは僕がミカではないと知りながら、殿下に僕をミカと紹介し、それをルーカス様が気づいたこと。そして、僕がルーカス様と交わした約束のこと……。

「あの時はルーカス様も、僕の行動で怒ってられたけれど、ちゃんと話したら許してくれて、今では本当に良くしてくださってる。だから僕は、ルーカス様が本当のお妃様とご結婚されるまで、おそばにいたいと思っているんです」
 僕を助けくださったルーカス様のお役にたちたい。
「サイモンには僕と結婚してしまったという汚点を残してしまったことが、悔やまれて。だからサイモンには本当に幸せになってほしい」
 素敵な人と出逢い、家族を持ち、オリバー家を守っていってほしい。

「話してくれて、ありがとう」
 何度も何度も姉様は僕の頭を撫でてくれた。
「これからは一人で抱え込まず、姉さんと一緒に乗り越えていきましょう」
 姉様は、また僕の心を助けてくれた。
しおりを挟む
感想 158

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

ちゃんちゃら

三旨加泉
BL
軽い気持ちで普段仲の良い大地と関係を持ってしまった海斗。自分はβだと思っていたが、Ωだと発覚して…? 夫夫としてはゼロからのスタートとなった二人。すれ違いまくる中、二人が出した決断はー。 ビター色の強いオメガバースラブロマンス。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

僕はあなたに捨てられる日が来ることを知っていながらそれでもあなたに恋してた

いちみやりょう
BL
▲ オメガバース の設定をお借りしている & おそらく勝手に付け足したかもしれない設定もあるかも 設定書くの難しすぎたのでオメガバース知ってる方は1話目は流し読み推奨です▲ 捨てられたΩの末路は悲惨だ。 Ωはαに捨てられないように必死に生きなきゃいけない。 僕が結婚する相手には好きな人がいる。僕のことが気に食わない彼を、それでも僕は愛してる。 いつか捨てられるその日が来るまでは、そばに居てもいいですか。

処理中です...