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魔王
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「魔王?」
「はい」
「...魔王、魔王」
カルミアはうわ言のように魔王という言葉を繰り返した。
初めて聞く単語ではないはずなのに、スッと頭に入ってこない。衝撃的な事実に、思考が凍結してるからだろう。
「魔王ってあれだよな?魔族の王様ってことだよな?」
「それ以外何があるんですか」
「だよな」
カルミアは乾いた笑みをこぼした。
そして一呼吸置いてーー。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
王宮全域に響き渡る程の大声を出した。
(なんだって魔王がここに。・・・・いや、呼び出したのはそもそも僕なんだけど。でもまさか魔王が召還されるなんてそんなの誰も思わないって。というかあの魔笛は一体どういう仕組みなんだ?魔笛を吹いたら魔王が現れるってどういうことだよ。)
とめどない疑問が浮かんでは消える。
つまるところカルミアは混乱していた。
カルミアはジキルの両肩を掴んで、ゆさゆさと揺さぶった。
「ジキル!!それならそうといってくれよ!!魔物だと思って抱っこしたりとか、軽々しく頭撫でたりとかしちゃっただろ!!」
「こ、こらカルミア、辞めなさい。そして敬語をつかいなさい敬語を」
「別に、いい」
カルミアは揺さぶる手を止めた。
頭一分背の大きいジキルを見上げる。
暗闇に浮かぶ緋色の瞳が、カルミアを射抜く。
「ジキル様」
「ジキルでいい」
「・・・でも」
「いいと言ったらいい。お前は特別だ」
そう言ってジキルはカルミアの頭を撫でた。
宝物を扱うような手つきに不思議な錯覚を覚える。
初めて触れられたはずなのに、なんだか懐かしいような気がするのは何故だろう。
二人は出会って間もないというのに、親しげな雰囲気を醸し出している。
ヨハンはそんな二人の様子を複雑そうに見つめ、けれど諦めたようにフッと息を吐いた。
「まぁ、聞きたい事は山ほどあるでしょうが、ギルバートに見つかってしまった今、ここも危険だ。早くこの王宮から抜け出して、フロレーテ家が所有している別荘に向かいましょう。カルミアに会わせたい人もいますしね」
「会わせたい人?」
「ええ。きっと会ったら驚くと思いますよ」
そう言って、ヨハンは悪戯っぽく笑った。
ヨハンが門まで歩きだそうと、カルミアに背を向ける。
「ーー待ってヨハン」
カルミアは慌ててヨハンの腕をつかんだ。
ヨハンの視線とカルミアの視線が交差する。
「・・・・・一つだけ教えて欲しい。何でそこまで、僕のためにしてくれるんだ?」
「何でって、友達だからでしょう?友達を助けたいと思うのは当然じゃありませんか?」
「それはそうだけど。でもたった数日会っただけの友達のために度が過ぎてるというか」
長年夢見てきたものを、そう簡単に諦められるもの?
計画がギルバートに知られたら、どんな報復が待ってるかも分からないのに、身の危険をおかしてまで、逃亡の手助けしようと思うもの?
カルミアは不思議で仕方なかった。
「...頃合いですかねぇ」
「...え?」
「いいえ、何でもありません。確かになんでもかんでも友達で片付けてしまうのはよくないですね。カルミアが気付いている通り、純粋な善意だけではありません」
ヨハンはゴホンと咳払いをした。
心なしか頬はほんのり桜色に染まっている。
「――私は、あなたが好きなんですよ。カルミア」
カルミアの瞳が限界まで開かれる。
「はい」
「...魔王、魔王」
カルミアはうわ言のように魔王という言葉を繰り返した。
初めて聞く単語ではないはずなのに、スッと頭に入ってこない。衝撃的な事実に、思考が凍結してるからだろう。
「魔王ってあれだよな?魔族の王様ってことだよな?」
「それ以外何があるんですか」
「だよな」
カルミアは乾いた笑みをこぼした。
そして一呼吸置いてーー。
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
王宮全域に響き渡る程の大声を出した。
(なんだって魔王がここに。・・・・いや、呼び出したのはそもそも僕なんだけど。でもまさか魔王が召還されるなんてそんなの誰も思わないって。というかあの魔笛は一体どういう仕組みなんだ?魔笛を吹いたら魔王が現れるってどういうことだよ。)
とめどない疑問が浮かんでは消える。
つまるところカルミアは混乱していた。
カルミアはジキルの両肩を掴んで、ゆさゆさと揺さぶった。
「ジキル!!それならそうといってくれよ!!魔物だと思って抱っこしたりとか、軽々しく頭撫でたりとかしちゃっただろ!!」
「こ、こらカルミア、辞めなさい。そして敬語をつかいなさい敬語を」
「別に、いい」
カルミアは揺さぶる手を止めた。
頭一分背の大きいジキルを見上げる。
暗闇に浮かぶ緋色の瞳が、カルミアを射抜く。
「ジキル様」
「ジキルでいい」
「・・・でも」
「いいと言ったらいい。お前は特別だ」
そう言ってジキルはカルミアの頭を撫でた。
宝物を扱うような手つきに不思議な錯覚を覚える。
初めて触れられたはずなのに、なんだか懐かしいような気がするのは何故だろう。
二人は出会って間もないというのに、親しげな雰囲気を醸し出している。
ヨハンはそんな二人の様子を複雑そうに見つめ、けれど諦めたようにフッと息を吐いた。
「まぁ、聞きたい事は山ほどあるでしょうが、ギルバートに見つかってしまった今、ここも危険だ。早くこの王宮から抜け出して、フロレーテ家が所有している別荘に向かいましょう。カルミアに会わせたい人もいますしね」
「会わせたい人?」
「ええ。きっと会ったら驚くと思いますよ」
そう言って、ヨハンは悪戯っぽく笑った。
ヨハンが門まで歩きだそうと、カルミアに背を向ける。
「ーー待ってヨハン」
カルミアは慌ててヨハンの腕をつかんだ。
ヨハンの視線とカルミアの視線が交差する。
「・・・・・一つだけ教えて欲しい。何でそこまで、僕のためにしてくれるんだ?」
「何でって、友達だからでしょう?友達を助けたいと思うのは当然じゃありませんか?」
「それはそうだけど。でもたった数日会っただけの友達のために度が過ぎてるというか」
長年夢見てきたものを、そう簡単に諦められるもの?
計画がギルバートに知られたら、どんな報復が待ってるかも分からないのに、身の危険をおかしてまで、逃亡の手助けしようと思うもの?
カルミアは不思議で仕方なかった。
「...頃合いですかねぇ」
「...え?」
「いいえ、何でもありません。確かになんでもかんでも友達で片付けてしまうのはよくないですね。カルミアが気付いている通り、純粋な善意だけではありません」
ヨハンはゴホンと咳払いをした。
心なしか頬はほんのり桜色に染まっている。
「――私は、あなたが好きなんですよ。カルミア」
カルミアの瞳が限界まで開かれる。
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