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【5章・イタズラなトモダチ】
『5-4・知らないところで、始まちゃって!?』
しおりを挟むショッピングモールのトイレから足早に去りながら、純恋は自分の早鐘の様な鼓動を鎮めることが出来なかった。ついさっきまで触れていた男性器の感触と、そしてまるでそれに支配されてしまったかのように痴態を晒す椿の姿が、脳裏から離れない。
あんな椿の姿を初めて見た。普段からはとても想像の出来ない、卑猥な姿。興奮し悶え嬌声を上げる。それは純恋の知らない椿だった。
そして何よりも。
椿に男性器が生えていた事が一番のショックだった。
純恋はその光景を何度も反芻しながら、呟く。
「ゆるさない、ゆるさない、ゆるさない……」
私をだましていたなんて、そんな気持ちが渦巻いていて。純恋は歩いている先に、誰かが立っているのに気が付けなかった。ぶつかって、慌てて顔を上げる。そこに立っていたのは鈴菜だった。
「こんにちは、純恋さん」
鈴菜が妖艶な笑みを見せて、純恋の手を取った。
「少し話があるのだけれど……」
そう言われて、有無を言わさず手を引かれる。純恋が困惑している内に連れていかれたのは喫茶店で、客のいない隅の一画に座らされる。
正直、純恋は鈴菜が苦手だった。こんな所で急に会うとは思っていなかったし、こんな風に突然喫茶店に連れていかれるとも思っていなかった。何の用だろうか。
鈴菜が周囲に人がいないのを、視線だけで確認して。そして口を開く。
「ねぇ、椿さんの身体とってもエッチだったでしょ?」
「え……」
「ごめんなさい、楽しそうだから見てたのだけれど」
あの行為を見られていた、という事に純恋は動揺したけれども。それよりも、鈴菜の口ぶりの方が気になった。
「椿さんの身体はね、今すこしだけおかしくなってるのよ。だから女の子なんだけど、生えちゃってるの」
「何を言っているんですか」
「鈴菜さんも弄ってたでしょ、椿さんのおちんぽ」
その四文字を、ねっとりと鈴菜は言う。その言葉を使う事を楽しんでいる様な口ぶりだった。
純恋にはよく分からないものの、鈴菜はどうやら状況を把握しているらしい。
「でも、それは期限付きなのよ。ある時が来れば、それも治るの」
「……どうしてそれを、知ってるんですか」
「まぁ、それは良いじゃない? それより大事な事があるでしょ?」
「……?」
「椿さんのおちんぽは、いいえ。あんなに敏感になっているのは今だけという事。時間制限があるのよ」
「何を言いたいのか……分かりません」
「あなたって、椿さんの事好きなんでしょ? 恋愛という意味で」
「え、え?」
「良いのよ、分かってるもの」
鈴菜は、その笑顔を崩さない。けれども、言葉の裏には絶対の自信が見える様で。
純恋は頷きはしないものの、否定もしなかった。
鈴菜の指摘は当たっている。純恋は椿の事を恋愛対象として見ていた。ずっと前から片想いをしていた。叶う筈がないと気持ちを押し込めていても、けれども諦めることが出来ない感情。
そして何より、男性というものが嫌いだった。
だから。椿に男性器が生えているのを見た時、裏切られた様に感じた。困惑と動揺と、そして許せないという感情を抱いた。なのに、あの時、男性器を刺激されて悶えている椿の姿に。懇願してくる姿に。昂っている自分がいるのも確かだった。
「……それがどうしたんですか」
鈴菜に向かって努めて冷静に問いかける。
「私と純恋さんで競争しようかな、と思ったの」
「競争?」
「どちらがより早く、椿さんをモノに出来るか」
「え?」
「椿さんの事、好きなんでしょ?」
鈴菜の提案に、純恋は答えに窮した。そもそも無茶苦茶な提案なのに、それなのにその事を微塵も感じていないようで。
純恋の脳内で、卑猥な声を漏らして頬を紅く染める椿の姿が過る。そしてそれと同時に、そうさせている想像上の鈴菜の姿も。
「私が椿ちゃんを好きだったとして、どうして競争なんて」
「理由は二つあるのだけれど。一つは椿さんが元の身体に戻ると私に不都合な事があるの」
純恋は首を傾げる。時間制限付きで身体が変化していると言っていたのに、その原因は防げるということなのだろうか、と。
「だから椿さんに気持ちいい事を一杯教えて戻りたくなくさせたいの。その為に一応の保険として、人手は多い方が良いわ」
「よく分かりません」
「まぁ、私の事情だから分からなくても良いのよ。それともう一つはね」
ふと、鈴菜が純恋の頬に手をやった。突然頬から顎までをなぞられて、驚き身を引く。鈴菜が楽し気に言う。
「私、あなたの事も嫌いじゃないの」
「な、なにをいってるんですか……」
「私のモノにしたいんだけれど、でも、見た目に反して頑固そうだから。勝負にしたいの。純恋さんが先に椿さんをモノにしたら私は潔く手を引くわ。でも、私が勝ったら……、いいえ、条件を設定するまでもないわね。愛しの椿さんが私を選んだなら、あなたはきっと私に屈服せざるを得ないだろうか」
これは宣言、宣戦布告だと思った。そして、何より自信に満ちている。そんな必要ないのに、わざと勝負を持ち掛けている。
それが分かっていても、純恋の中では、椿を渡したくないという独占欲が沸き上がっていた。こんな人に渡してはいけない、と。
「ふふ、楽しみね? 純恋さん?」
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