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第七話 ふわふわであまあま(3)
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実は、俺は化学のレポートを返してもらっていないことについては特に深刻に考えてはいなかった。
遅れるけどあとで提出すればいいだろう、その程度に考えていた。
しかし彼女は休み時間に俺の教室に来てくれた。
彼女が教室に入った瞬間、明らかに注目が集まった。
目の前で俺と話していた友達も彼女のほうに視線を移していた。
だが、彼女はその注目の中、俺のほうに歩み寄り、
「カズノリ」
と俺の名前を呼びながら、レポートと弁当を差し出し、
「あんたの母親に頼まれたから」
と付け加えた。
それをいいわけにするならレポートを一緒に持ってきたのはマズい。
高校生になった子供のレポート提出期限を把握している母親なんて普通いないからだ。
だが、なんと言っていいのかわからなかった俺は、
「あ、うん、ありがとう」
とだけ答え、レポートとお弁当を受け取った。
彼女はそれ以上なにも言わず、足早に教室から出て行った。
俺は彼女の背中が見えなくなってから気付いた。
(苗字じゃなくて名前で呼んでなかったか……?)と。
そして同時に抱いた危惧は現実のものとなった。
俺達はうわさされるようになってしまったのだ。
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