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第八話 修行の成果(4)
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「「いただきます」」
そしてテーブルの前に座ったわたしと彼は、一緒に手を合わせて日本人らしく食べ始めた。
うん、おいしい。手前味噌な感じだけど上手くできてると思う。
だから尋ねるまでもなく、
「おいしい」
彼は嬉しい言葉を言ってくれた。
その言葉を聞いたあと、わたしはテレビのほうに視線を移した。
画面には彼の好きな映画が流れていた。
クリスマスの夜は映画でも見ながらゆっくりすごすことに決まっていたのだ。
もちろん、クリスマスにハズレ映画なんて見たくないので、既に見たことがあるやつの中から選ばれている。
「「……」」
わたしと彼は肩を並べて映画を見ながら、黙々と料理を口に運んでいった。
食べながらわたしはぼーっと考えていた。
そういえば、恋人同士で過ごすクリスマスというものにあこがれていたなー、って。
その相手がカズノリになるなんて思ってもいなかったけれど。
「……」
だからわたしは映画を見ながらちょっと緊張していた。
やっぱり、その……恋人らしいことをすることになるんだろうか、と身構えていた。
「……」
料理を口に運んでその緊張を紛らわせ、思考を中断する。
だが、やはりその思考は止められるものでは無かった。
されるにしてもナニをされるんだろう、
いきなりアレとかは無いだろう。それだったらさすがに拒絶してしまうかもしれない。
「……」
そしてそれを想像したわたしはますます緊張してしまった。
映画の内容があまり頭に入ってこない。
だからわたしは再び料理を口に放り込むことにした。
もうケーキ以外残っていなかったが、構わず口に入れる。
口の中があまうまで一杯になる。
「……!」
直後、わたしは気付いた。気付いてしまった。
彼の手が止まっていることに。
つまり、いつ始まってもおかしくないということ。
だが、わたしが手を動かしていれば彼も手を出しづらいのでは? わたしはそんな浅い考えで次のケーキを口に運ぼうとしたが、
「!」
それはやっぱり浅い考えだった。
彼はわたしの考えなどお見通しであるかのように、肩に手を回してきた。
「……っ!」
そしてわたしは目を閉じた。
それは受け入れるための行動では無かった。
注射から目を背けるのを同じ行為。
だから固く目を閉じた。
だけど、
「……」
直後に重なってきた感触はすごく優しいものだった。
わたしの防御行動が大げさすぎて自分がバカに思えるほどに。
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