雪山のペンションで、あなたひとり

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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Ep2 友人とオーナーの章(2)

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   ◆◆◆

「……」

 しばらく車に揺られてから、友人は後悔し始めた。
 二人の間に会話が無いからだけでは無い。
 思っていたより遠いのだ。
 かなり奥まで来ている。既に山を一つ越えたような気がする。
 もう何分経った? それを確認するために友人は携帯をポケットから出した。
 見ると、出発から既に二十分が経過していた。
 これは帰りが遅くなりそうだ、そう思った友人はあなたに一言入れておこうと、携帯を操作した。
 だがその指はすぐに止まった。
 圏外だからだ。
 あなたを心配させるかもしれない、そう思った友人は少し憂鬱になった。
 そしてその感情は直後に友人の口から漏れた。

「けっこう遠いんですね。まだですか?」

 それは遠まわしの非難であった。
 こんなに遠いのなら事前に言っておいてほしかったという文句。
 だが、直後に帰ってきたオーナーの答えは、その非難に対しての謝罪では無かった。

「もうすぐそこです。着きましたよ」

 その言葉は本当だった。
 前方には伐採場らしき施設があった。
 オーナーはその敷地に入ったすぐのところで車を止めた。
 二人同時に車を降りる。
 見ると、その伐採場はあまり使われていないようであった。
 伐採された木が積み上げられているが、かなり長く放置されているように見えた。

「すみませんがあれを車のところまで運ぶのを手伝ってください」

 あれ、その言葉が指すものをオーナーの目線を追って確認すると、そこには積み上げられた薪の山があった。
 思ったとおり重そうだ。
 再び憂鬱になりながらその薪の山のほうへと足を進める。
 そして友人は歩きながら、ふと沸いた疑問を後ろにいるオーナーに尋ねた。

「何本くらい必要なんです?」

 そして背中越しに返ってきた答えはさらに憂鬱なものだった。

「とりあえず持てるだけ運んでください!」

 来るんじゃなかった、友人はそう思った。
 来るにしても、あなたも一緒に連れてくるべきだったと、友人は思った。
 それは正解であることが直後に証明された。
 友人の真後ろで、オーナーが斧を振り上げたからだ。
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