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Ep2 友人とオーナーの章(8)
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壁伝いに玄関のほうに進む。
吹雪が酷い。本当に何も見えない。
壁から手を離すだけで遭難してしまいそうだ。
この吹雪の中ではあの友達は無事ではいられまい、オーナーはそんな自分が安心出来る呪文を心の中で呟いていたが、
「!」
突如耳に届いた玄関のドアが開く音に、オーナーは肩を震わせて振り向いた。
だが、そこには誰もいなかった。
どうやら、風で開いただけのようだ。
オーナーは驚きで乱れた心を落ち着けながら、窓のそばに近づいた。
当たり前だがやはり暗い。
しかし幸いなことにカーテンの隙間はそのままであり、目が暗闇になれたおかげで輪郭ぐらいならば判別することが出来た。
あなたの姿が闇の中に浮かんでいるのが見える。
そして思ったとおり、包丁を持っているのも確認できた。
音がした玄関のほうに向かって包丁を構えている。
震えているのがわかるが、その背中は前傾姿勢。いつでも体当たりできるような構えだ。
もしもうかつに前に姿を現せば、その直後に体当たりされかねない。
ならば、このまま窓ガラスの上から一撃をお見舞いしてみるか?
いいや、それで倒せる可能性は低い。何も障害物が無い状態で一度失敗しているのだから。包丁による反撃は怖い。
ならばどうすればいい? 自分に何ができる?
……わからない。
しかしこいつのこともよくわからない。なぜ携帯で助けを呼ばない? 通話している気配は無かった。
もしや、客室に置きっぱなしなのか?
ならどうして客室に戻らない?
その理由はすぐに分かった。
きっと、こいつも怖いのだ。
怖くて怖くてしょうがないのだ。恐怖で動けないのだ。
だからこいつは広間に陣取ってるんだ。
もしかしたら、こいつはこのまま吹雪がやむまで、または朝までやりすごそうとしているのかもしれない。
……それはそれで困る。
なんとか動いてもらわないと。
呼べば来るだろうか?
いやいや、それはありえないだろう。
こいつが玄関を警戒していることからわかるように、異音がしたほうには近づこうとはしないだろう。
ならばどうすればいい?
「……っ」
考えてもわからぬゆえに、オーナーは奥歯を噛み締めた。
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