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Ep5 コモリガミ様の章(10)
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◆◆◆
そして時は流れ――
「……雰囲気あるなあ」
廃墟と化し始めているペンションに、三人の男達が忍び込んでいた。
「マジでこわくねえか?」
一番後ろにいる男が「もう帰りたい」というような顔でそう言うと、カメラを持つ二番目の男が言った。
「だから良いんだよ」
そうじゃなきゃ再生数を稼げない、という意味がその言葉には含まれていた。
そしてカメラマンである二番目の男は、その再生数を伸ばすために、この日のために仕入れておいたネタを語り始めた。
「問題のゴミ袋は二階の突き当たりにある客室で見つかったんだ」
その部屋に行くのは最後の予定であったため、カメラマンは次々とうんちくを語り始めた。
「犯行自体はあちこちで行われていたらしい。今いるこの玄関には男の血痕が、正面突き当りの台所と、すぐ左にある広間からは二人の女性の血痕が見つかったらしい」
喋りながら、カメラマンは先頭の男についていくように移動した。
そして食堂に入った直後、最後尾の男が尋ねた。
「台所と広間で検出された二人の女性の血痕っていうのは、両方とも同じものなのか?」
これにカメラマンは肯定を返した。
「ああそうだ。どっちかの部屋で殺して、その後で死体を移動させたんだろうって言われてる」
言いながら荒れ果てた食堂内を見回すようにカメラを回していると、ある一枚の写真が意識にとまった。
五人の男女が並んで写っている写真。
それだけならば気にしない。
が、その写真は明らかに異常であった。
真ん中に立っている男らしき者の顔の部分がくりぬかれるように破り取られているのだ。
そしてその隣にいる老婆のことは知っていた。
このペンションのオーナーだ。
カメラマンは知らないが、真ん中の男はオーナーだと偽っていたあの男だ。
こんな写真がいつ撮られたのか? あっただろうか? いいや、あるはずが無い。
しかし現実にその写真は壁にかけられていた。
そしてその写真の中では、本当のオーナーであった老婆だけが、不気味なほどに口を歪ませて笑っていた。
他の男女は全員無表情だ。
一見対照的であるが、その表情は全員不気味という共通点を有していた。
ゆえに、
「……」
カメラマンは何も言わず、別の場所を映し始めた。
この時、誰も知らなかった。思いもしていなかった。
その写真の中に自分達も入ることになろうとは。
完
そして時は流れ――
「……雰囲気あるなあ」
廃墟と化し始めているペンションに、三人の男達が忍び込んでいた。
「マジでこわくねえか?」
一番後ろにいる男が「もう帰りたい」というような顔でそう言うと、カメラを持つ二番目の男が言った。
「だから良いんだよ」
そうじゃなきゃ再生数を稼げない、という意味がその言葉には含まれていた。
そしてカメラマンである二番目の男は、その再生数を伸ばすために、この日のために仕入れておいたネタを語り始めた。
「問題のゴミ袋は二階の突き当たりにある客室で見つかったんだ」
その部屋に行くのは最後の予定であったため、カメラマンは次々とうんちくを語り始めた。
「犯行自体はあちこちで行われていたらしい。今いるこの玄関には男の血痕が、正面突き当りの台所と、すぐ左にある広間からは二人の女性の血痕が見つかったらしい」
喋りながら、カメラマンは先頭の男についていくように移動した。
そして食堂に入った直後、最後尾の男が尋ねた。
「台所と広間で検出された二人の女性の血痕っていうのは、両方とも同じものなのか?」
これにカメラマンは肯定を返した。
「ああそうだ。どっちかの部屋で殺して、その後で死体を移動させたんだろうって言われてる」
言いながら荒れ果てた食堂内を見回すようにカメラを回していると、ある一枚の写真が意識にとまった。
五人の男女が並んで写っている写真。
それだけならば気にしない。
が、その写真は明らかに異常であった。
真ん中に立っている男らしき者の顔の部分がくりぬかれるように破り取られているのだ。
そしてその隣にいる老婆のことは知っていた。
このペンションのオーナーだ。
カメラマンは知らないが、真ん中の男はオーナーだと偽っていたあの男だ。
こんな写真がいつ撮られたのか? あっただろうか? いいや、あるはずが無い。
しかし現実にその写真は壁にかけられていた。
そしてその写真の中では、本当のオーナーであった老婆だけが、不気味なほどに口を歪ませて笑っていた。
他の男女は全員無表情だ。
一見対照的であるが、その表情は全員不気味という共通点を有していた。
ゆえに、
「……」
カメラマンは何も言わず、別の場所を映し始めた。
この時、誰も知らなかった。思いもしていなかった。
その写真の中に自分達も入ることになろうとは。
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