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第二章 アリスは不思議の国にて待つ
第八話 もっと力を(11)
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◆◆◆
数日後――
「……いったいここで何があった?」
異常を察知して駆けつけてきた部隊のうちの一つの影は、それを見たと同時に思わずそう漏らした。
周囲に点々と仲間達の死体が転がっている。
その死にかたはどれも異常であった。
外傷が見当たらないもの。
背後からの斬撃によるもの。
どれもそのどちらかであった。
普通では無い何かがここで起きた、それが察せられる様相であった。
しかしその何かの正体を示すものは何も見つからない。情報が無いゆえに対策の立てようが無い。
逃げてきた連中は「ただ恐ろしかった」としか言わなかった。
もしもこの何かを引き起こしたやつとこのまま無策でぶつかれば、我々も同じ結末をたどる、そう思えた。
ゆえに影達はその追撃の手を緩めるしか無かった。
だが、相手を追い詰める手段は他にもある。ゆえに影達は別の手を打つ事にした。
◆◆◆
一方、味方の村にまでたどりついたルイスは既に次の行動に移っていた。
ルイスはある小屋であるものが帰ってくるのを待っていた。
それはすぐに戻ってきた。
それは一羽の白い鳥。
ハトでは無いが、伝書鳩と同じくこの雪国での情報伝達を担っている重要な動物であった。
ルイスは帰ってきたばかりのその鳥を使おうとしたが、
「待って。その鳥は休ませないと」
突如部屋に響いた若い女の声に、ルイスは手を止めた。
そしてルイスは声のしたほうに振り返りながら、口を開いた。
「困ったな。急ぎの用事なんだ」
そこには不思議な娘が立っていた。
右肩には鷹が乗っており、足元には娘を守るように白い豹がついていた。
二匹の獣を従えるその不思議な娘はルイスの言葉に答えた。
「わかってる。あなたのことは『長老』から聞かされているから」
そう言ったあと、娘は鷹のほうに視線を向けながら再び口を開いた。
「だからこの子を使わせてあげる」
それは狩猟用に見えたが、伝書も出来ると彼女の心が言っていた。
ルイスは娘のその厚意に頼ることにした。
数日後――
「……いったいここで何があった?」
異常を察知して駆けつけてきた部隊のうちの一つの影は、それを見たと同時に思わずそう漏らした。
周囲に点々と仲間達の死体が転がっている。
その死にかたはどれも異常であった。
外傷が見当たらないもの。
背後からの斬撃によるもの。
どれもそのどちらかであった。
普通では無い何かがここで起きた、それが察せられる様相であった。
しかしその何かの正体を示すものは何も見つからない。情報が無いゆえに対策の立てようが無い。
逃げてきた連中は「ただ恐ろしかった」としか言わなかった。
もしもこの何かを引き起こしたやつとこのまま無策でぶつかれば、我々も同じ結末をたどる、そう思えた。
ゆえに影達はその追撃の手を緩めるしか無かった。
だが、相手を追い詰める手段は他にもある。ゆえに影達は別の手を打つ事にした。
◆◆◆
一方、味方の村にまでたどりついたルイスは既に次の行動に移っていた。
ルイスはある小屋であるものが帰ってくるのを待っていた。
それはすぐに戻ってきた。
それは一羽の白い鳥。
ハトでは無いが、伝書鳩と同じくこの雪国での情報伝達を担っている重要な動物であった。
ルイスは帰ってきたばかりのその鳥を使おうとしたが、
「待って。その鳥は休ませないと」
突如部屋に響いた若い女の声に、ルイスは手を止めた。
そしてルイスは声のしたほうに振り返りながら、口を開いた。
「困ったな。急ぎの用事なんだ」
そこには不思議な娘が立っていた。
右肩には鷹が乗っており、足元には娘を守るように白い豹がついていた。
二匹の獣を従えるその不思議な娘はルイスの言葉に答えた。
「わかってる。あなたのことは『長老』から聞かされているから」
そう言ったあと、娘は鷹のほうに視線を向けながら再び口を開いた。
「だからこの子を使わせてあげる」
それは狩猟用に見えたが、伝書も出来ると彼女の心が言っていた。
ルイスは娘のその厚意に頼ることにした。
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