167 / 545
第二章 アリスは不思議の国にて待つ
第十五話 一つの象徴の終わり(6)
しおりを挟む
◆◆◆
その感覚ははるか後方の、街のそとで待機しているシャロンにまで響いていた。
「……っ」
ゆえに、シャロンの体は「ぞくり」と、高揚感に震えた。
原因はもう一つあった。
それはやはりルイスの凄まじさであった。
こんなに熱い彼は今まで見たことが無い。
おそらく、これが本当の彼の姿なのだろう。
灰のような人、それがルイスの第一印象だった。
しかし彼の心は燃え尽きてはいなかった。
その灰は赤く鈍く光っていた。
そんな荒涼とした心の中から、時々ほのかな火柱が立つことがあった。
悪い魔法使いを見聞きした時だ。
同時に彼の記憶が漏れ出すことがあった。
それは明らかに時代が違っていた。太古の時代の映像のように見えた。
私も長生きをしているが、それでもルイスがどれほど長い時間を歩んできたのか想像もつかない。
その古い映像と共にあふれ出す感情はいつも同じだった。
とても大きな喪失感と、敗北の苦汁。
きっと、彼は悪い魔法使いにとても酷い目に遭わされたのだろう。
だからなのだろう、彼はいつも魔法が使えない体を選んでいる。彼は心の底から魔法使いが嫌いなのだ。
魔王使いを憎むあまり、不利であることが明らかな弱い体を選んで立ち向かう、はっきり言って狂人だ。
しかしそんな狂人だからこそ、私に力を貸してくれたのだろう。
魔王に敗れた私は国を奪われ、ほぼすべてを失った。
だけどルイスはそんな私に二つ返事で全面的な協力を約束してくれた。
絶望的な戦力差とか、そんな数字のことはまるで気にもしていなかった。
それから長い時間をかけて私達は再びここまで這い上がってきた。
しかしその狂おしき関係もこの戦いを最後に終わってしまうのかもしれない。
「……」
シャロンはその感覚を噛み締めた。
感慨深いと同時に、喪失感のようなものも少し混じっていた。
が、直後、
「!?」
シャロンは何か大きなものが動き出したのを感じ取った。
その感覚ははるか後方の、街のそとで待機しているシャロンにまで響いていた。
「……っ」
ゆえに、シャロンの体は「ぞくり」と、高揚感に震えた。
原因はもう一つあった。
それはやはりルイスの凄まじさであった。
こんなに熱い彼は今まで見たことが無い。
おそらく、これが本当の彼の姿なのだろう。
灰のような人、それがルイスの第一印象だった。
しかし彼の心は燃え尽きてはいなかった。
その灰は赤く鈍く光っていた。
そんな荒涼とした心の中から、時々ほのかな火柱が立つことがあった。
悪い魔法使いを見聞きした時だ。
同時に彼の記憶が漏れ出すことがあった。
それは明らかに時代が違っていた。太古の時代の映像のように見えた。
私も長生きをしているが、それでもルイスがどれほど長い時間を歩んできたのか想像もつかない。
その古い映像と共にあふれ出す感情はいつも同じだった。
とても大きな喪失感と、敗北の苦汁。
きっと、彼は悪い魔法使いにとても酷い目に遭わされたのだろう。
だからなのだろう、彼はいつも魔法が使えない体を選んでいる。彼は心の底から魔法使いが嫌いなのだ。
魔王使いを憎むあまり、不利であることが明らかな弱い体を選んで立ち向かう、はっきり言って狂人だ。
しかしそんな狂人だからこそ、私に力を貸してくれたのだろう。
魔王に敗れた私は国を奪われ、ほぼすべてを失った。
だけどルイスはそんな私に二つ返事で全面的な協力を約束してくれた。
絶望的な戦力差とか、そんな数字のことはまるで気にもしていなかった。
それから長い時間をかけて私達は再びここまで這い上がってきた。
しかしその狂おしき関係もこの戦いを最後に終わってしまうのかもしれない。
「……」
シャロンはその感覚を噛み締めた。
感慨深いと同時に、喪失感のようなものも少し混じっていた。
が、直後、
「!?」
シャロンは何か大きなものが動き出したのを感じ取った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる