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第三章 荒れる聖域。しかしその聖なるは誰がためのものか
第十七話 地獄の最後尾(41)
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◆◆◆
確実に終わったと思った。
意識が回復すること無くこのまま終わると。
たとえ目覚めたとしても既に撃たれた後であり、苦痛の中で何も出来ぬまま終わるだけだろうと。
フレディはそう思ってあきらめていた。死を受け入れていた。
だが、現実はそのどちらでも無かった。
「!?」
フレディは何事も無く目覚めた。
なぜまだ生きている? 最初に浮かんだ疑問はそれだった。
見ると、女は別の者を相手にしていた。
いや、相手にさせられていた。仲間達が果敢に女に斬りかかっていた。
光弾も飛んでいっている。
そして光弾が狙っているのは女だけでは無かった。
屋根上にいる敵の銃兵にも飛んでいっている。
まさか、自分は『これ』のおかげで助かったのか?! フレディはそう叫んだ。
そしてその叫びが指す『これ』とは、味方の援護射撃のことだけでは無かった。
自分を援護してくれている味方の周囲に自分の虫が飛び回っている。
それを見て思い出した。
やられる直前、自分は「誰か」と叫んだ。
それに虫達が応えたのだ。
とても深く仲間達と繋がっているのを感じる。
小さな感情までやりとりしている。
大きな感情は二つ。
恐怖と勇気だ。
その二つの感情がせめぎあってる。
感情のぶつかり合いは互角。それ自体は行動の決定打になってない。
だが、勇気を後押しする小さな感情があった。それで感情の天秤は傾いていた。
それが何かは、直後に味方の一人が叫んだ。
「フレディを援護しろ!」
しかしその声にフレディは疑問を抱いた。
どうして自分なんかにそこまで必死になってくれる? そう思ってしまった。
戦況は好転していない。見ればわかる。他者を助ける余裕なんて無い。みんな自分の身を守るのに精一杯。
なのに、自分の体に傷が増えるのも躊躇せず、みなが自分を助けてくれている。
その疑問に対して誰かの心の声が響いた。
「お前が意外と頼りになるからだ」
直後に別の誰かの声が続いた。
「任せたぞ」
何を? とフレディは真剣に聞き返してしまった。
その理解の遅さに少しあきれたのか、次の返事はやや軽い調子の声であった。
「この場を指揮してほしいってことだよ! お前が隊長代理だ!」
その声は目の前からのものだった。
女に斬りかかっている一人の戦士の心の声。
その声は女をイラつかせたのか、戦士への攻撃は直後に激しさを増した。
烈火のような連続突き。
戦士の体が穴だらけになり、そのうちの一つは心臓の位置にあった。
だから戦士は最期の言葉を遺した。
「だから、あとは頼んだぞ」と。
気付けば、フレディは歯を食いしばっていた。
自分に全てを託して仲間が散った、そんな経験は初めてだったっからだ。
フレディは自分の中で熱い何かが膨らんでいくのを感じた。
それを止めようとするかのように、女はついに再び自らフレディに向かって踏み込んだ。
これに対し、フレディは動かなかった。
動く必要が無いと思ったからだ。
直後、フレディの眼前は赤色に染まった。
血では無い、より色鮮やかな、焼け付くような熱を帯びた赤。
だが、同じ熱を抱いているゆえに、フレディはその熱が心地よかった。
その熱が女を押し返す。
直後にその熱を放った者が、ナンティがフレディをかばうように前に立った。
ナンティの体には傷が増えていた。
そしてすごいと感じた。
デュラン達を攻撃していた連中の数を減らしてきた、あっちはしばらくは大丈夫だ、そんな報告が心の声で響いたからだ。
だからフレディは思った。
やれるかもしれない、と。
なぜだかわからないが、みんな死に立ち向かえる戦士になっている。
これならば本当にこの女を倒せるかもしれない、そう思った。
さらになぜだか本当にわからないが、みんな自分を助けてくれている。
だからフレディはいまの正直な気持ちを響かせた。
「ありがとう……本当にありがとう……!」
その目には涙がたまっていたが、恐怖によるものでは無かった。
その思いは目の前にいるナンティの心に強く響いた。
だからナンティは声を上げた。
「お前に合わせる! 私を上手く使って魅せろ!」
その声は同じくらい強くフレディに響いた。
だからフレディも応えた。
「よし、みんなやるぞ! みんなの力を俺に貸してくれ!」
確実に終わったと思った。
意識が回復すること無くこのまま終わると。
たとえ目覚めたとしても既に撃たれた後であり、苦痛の中で何も出来ぬまま終わるだけだろうと。
フレディはそう思ってあきらめていた。死を受け入れていた。
だが、現実はそのどちらでも無かった。
「!?」
フレディは何事も無く目覚めた。
なぜまだ生きている? 最初に浮かんだ疑問はそれだった。
見ると、女は別の者を相手にしていた。
いや、相手にさせられていた。仲間達が果敢に女に斬りかかっていた。
光弾も飛んでいっている。
そして光弾が狙っているのは女だけでは無かった。
屋根上にいる敵の銃兵にも飛んでいっている。
まさか、自分は『これ』のおかげで助かったのか?! フレディはそう叫んだ。
そしてその叫びが指す『これ』とは、味方の援護射撃のことだけでは無かった。
自分を援護してくれている味方の周囲に自分の虫が飛び回っている。
それを見て思い出した。
やられる直前、自分は「誰か」と叫んだ。
それに虫達が応えたのだ。
とても深く仲間達と繋がっているのを感じる。
小さな感情までやりとりしている。
大きな感情は二つ。
恐怖と勇気だ。
その二つの感情がせめぎあってる。
感情のぶつかり合いは互角。それ自体は行動の決定打になってない。
だが、勇気を後押しする小さな感情があった。それで感情の天秤は傾いていた。
それが何かは、直後に味方の一人が叫んだ。
「フレディを援護しろ!」
しかしその声にフレディは疑問を抱いた。
どうして自分なんかにそこまで必死になってくれる? そう思ってしまった。
戦況は好転していない。見ればわかる。他者を助ける余裕なんて無い。みんな自分の身を守るのに精一杯。
なのに、自分の体に傷が増えるのも躊躇せず、みなが自分を助けてくれている。
その疑問に対して誰かの心の声が響いた。
「お前が意外と頼りになるからだ」
直後に別の誰かの声が続いた。
「任せたぞ」
何を? とフレディは真剣に聞き返してしまった。
その理解の遅さに少しあきれたのか、次の返事はやや軽い調子の声であった。
「この場を指揮してほしいってことだよ! お前が隊長代理だ!」
その声は目の前からのものだった。
女に斬りかかっている一人の戦士の心の声。
その声は女をイラつかせたのか、戦士への攻撃は直後に激しさを増した。
烈火のような連続突き。
戦士の体が穴だらけになり、そのうちの一つは心臓の位置にあった。
だから戦士は最期の言葉を遺した。
「だから、あとは頼んだぞ」と。
気付けば、フレディは歯を食いしばっていた。
自分に全てを託して仲間が散った、そんな経験は初めてだったっからだ。
フレディは自分の中で熱い何かが膨らんでいくのを感じた。
それを止めようとするかのように、女はついに再び自らフレディに向かって踏み込んだ。
これに対し、フレディは動かなかった。
動く必要が無いと思ったからだ。
直後、フレディの眼前は赤色に染まった。
血では無い、より色鮮やかな、焼け付くような熱を帯びた赤。
だが、同じ熱を抱いているゆえに、フレディはその熱が心地よかった。
その熱が女を押し返す。
直後にその熱を放った者が、ナンティがフレディをかばうように前に立った。
ナンティの体には傷が増えていた。
そしてすごいと感じた。
デュラン達を攻撃していた連中の数を減らしてきた、あっちはしばらくは大丈夫だ、そんな報告が心の声で響いたからだ。
だからフレディは思った。
やれるかもしれない、と。
なぜだかわからないが、みんな死に立ち向かえる戦士になっている。
これならば本当にこの女を倒せるかもしれない、そう思った。
さらになぜだか本当にわからないが、みんな自分を助けてくれている。
だからフレディはいまの正直な気持ちを響かせた。
「ありがとう……本当にありがとう……!」
その目には涙がたまっていたが、恐怖によるものでは無かった。
その思いは目の前にいるナンティの心に強く響いた。
だからナンティは声を上げた。
「お前に合わせる! 私を上手く使って魅せろ!」
その声は同じくらい強くフレディに響いた。
だからフレディも応えた。
「よし、みんなやるぞ! みんなの力を俺に貸してくれ!」
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