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最終章
第五十四話 魔王上陸(13)
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そして乱戦という状況が上手く噛み合っている。
通常、感知能力者は全ての光弾を警戒しているわけでは無い。そんなことはアランほどの計算速度を持っていなければ出来ない。普通は射線が自身に向いているものだけだ。
その隙を「跳弾」という形で上手くついてきている。
だからキーラは「面倒」だと思った。
あくまでも「面倒」であるという程度だ。「厄介」では無い。
なぜなら、対処法を知っているからだ。
似ているがゆえか、その対処法は「狼牙の陣」へのそれと同じあった。
感知の範囲を狭め、取得する情報量を下げ、計算速度を増す。
音などの情報も一時削除。魔力の動きを重視する。
そして体の指揮権を本能にゆだねる。
これはかつてザウルやシャロンが見せたものとほぼ同じ対処法であった。
自身の感知の制空権に入った攻撃に対し、反射による回避行動を取る。
周りとの連携が失われるが、自己防衛に特化した状態。
その状態で四方から飛んでくる光弾を受け、そして避けながらキーラはもう一つ叫んだ。
(しかし、一つ間違いを犯したな!)と。
それは先に響いた誰かの心の声に対してのものであった。
先の一発は「狙撃」だと、狙ったと言った。
確かに、言われてみればあの一撃は都合が良すぎた。
つまり、あの一発は誰かが、または何かが「命令」して起きたものである可能性が高い。
つまり、場にいる虫を統率出来るものが、どこかにいる。
そしてそれは「あいつ」だと思える。
まだ証拠は無い。ただの女の感だ。
だがキーラはその思いを声に変えた。
「全員、私を援護しろ!」
しかしその声に対して真っ先に応えられた者は仲間の影では無かった。
バージルという巨体の影がキーラの体を覆い尽くさんと迫る。
しかし二人の影は直後にバージルの手から生まれた光によって白く塗り潰された。
「っ!」
瞬間、キーラの心に再び同じ言葉が、厄介な、という文面が浮かんだ。
やはり正面からではほとんど隙が無い。
だからキーラはこれの相手は仲間に任せることにした。
迫る光の壁から離れるように地を蹴る。
すると直後、割り込むように、入れ替わるように三つの影がキーラの前に立った。
同時に展開された三枚の防御魔法が、一つの協力魔法となってバージルのそれとぶつかりあう。
しかし三人の力をもってしても、
「「「ぐぅっ!?」」」
バージルの盾にはかなわない。
光魔法特有の破砕音と共に、影達の盾が砕ける。
しかしその時、既にバージルの背に違う影が覆いかぶさろうとしていた。
先ほどまでバージルと戦っていた者の影。
獣のように尖らせた輝く爪が背に振り下ろされようとしているのを感じ取ったバージルは、
「ふっ!」
突進の急停止と同時に、握っている槍斧を手前に鋭く引き戻した。
石突(いしづき)と呼ばれる、棒状の武器の地面に接する部位を利用した背後への迎撃。
これを影は光る手刀で叩き払ったが、
「がっ?!」
同時に放たれた後ろ回し蹴りは捌けなかった。
そしてその声が最後のものとなった。
「っ!」
その好機を掴んだケビンの追撃が、光る剣が影のわき腹から入って肺を抜ける。
そしてケビンは声すら出せなくなったその影を投げ捨てるように剣を体から振り抜き、バージルの背をかばうように位置取りながら叫んだ。
「そっちに行ったぞ、カイル!」
これにカイルは「もう見えている」と心の声を返した。
そしてその叫び声がキーラにとって決定打となった。
ゆえに思った。
やはり、お前が、と。
その思いはやはり自然と叫びになった。
「お前がこの場の指揮官だな!」
これにカイルは「そうだ」と言わんばかりにそれを見せた。
通常、感知能力者は全ての光弾を警戒しているわけでは無い。そんなことはアランほどの計算速度を持っていなければ出来ない。普通は射線が自身に向いているものだけだ。
その隙を「跳弾」という形で上手くついてきている。
だからキーラは「面倒」だと思った。
あくまでも「面倒」であるという程度だ。「厄介」では無い。
なぜなら、対処法を知っているからだ。
似ているがゆえか、その対処法は「狼牙の陣」へのそれと同じあった。
感知の範囲を狭め、取得する情報量を下げ、計算速度を増す。
音などの情報も一時削除。魔力の動きを重視する。
そして体の指揮権を本能にゆだねる。
これはかつてザウルやシャロンが見せたものとほぼ同じ対処法であった。
自身の感知の制空権に入った攻撃に対し、反射による回避行動を取る。
周りとの連携が失われるが、自己防衛に特化した状態。
その状態で四方から飛んでくる光弾を受け、そして避けながらキーラはもう一つ叫んだ。
(しかし、一つ間違いを犯したな!)と。
それは先に響いた誰かの心の声に対してのものであった。
先の一発は「狙撃」だと、狙ったと言った。
確かに、言われてみればあの一撃は都合が良すぎた。
つまり、あの一発は誰かが、または何かが「命令」して起きたものである可能性が高い。
つまり、場にいる虫を統率出来るものが、どこかにいる。
そしてそれは「あいつ」だと思える。
まだ証拠は無い。ただの女の感だ。
だがキーラはその思いを声に変えた。
「全員、私を援護しろ!」
しかしその声に対して真っ先に応えられた者は仲間の影では無かった。
バージルという巨体の影がキーラの体を覆い尽くさんと迫る。
しかし二人の影は直後にバージルの手から生まれた光によって白く塗り潰された。
「っ!」
瞬間、キーラの心に再び同じ言葉が、厄介な、という文面が浮かんだ。
やはり正面からではほとんど隙が無い。
だからキーラはこれの相手は仲間に任せることにした。
迫る光の壁から離れるように地を蹴る。
すると直後、割り込むように、入れ替わるように三つの影がキーラの前に立った。
同時に展開された三枚の防御魔法が、一つの協力魔法となってバージルのそれとぶつかりあう。
しかし三人の力をもってしても、
「「「ぐぅっ!?」」」
バージルの盾にはかなわない。
光魔法特有の破砕音と共に、影達の盾が砕ける。
しかしその時、既にバージルの背に違う影が覆いかぶさろうとしていた。
先ほどまでバージルと戦っていた者の影。
獣のように尖らせた輝く爪が背に振り下ろされようとしているのを感じ取ったバージルは、
「ふっ!」
突進の急停止と同時に、握っている槍斧を手前に鋭く引き戻した。
石突(いしづき)と呼ばれる、棒状の武器の地面に接する部位を利用した背後への迎撃。
これを影は光る手刀で叩き払ったが、
「がっ?!」
同時に放たれた後ろ回し蹴りは捌けなかった。
そしてその声が最後のものとなった。
「っ!」
その好機を掴んだケビンの追撃が、光る剣が影のわき腹から入って肺を抜ける。
そしてケビンは声すら出せなくなったその影を投げ捨てるように剣を体から振り抜き、バージルの背をかばうように位置取りながら叫んだ。
「そっちに行ったぞ、カイル!」
これにカイルは「もう見えている」と心の声を返した。
そしてその叫び声がキーラにとって決定打となった。
ゆえに思った。
やはり、お前が、と。
その思いはやはり自然と叫びになった。
「お前がこの場の指揮官だな!」
これにカイルは「そうだ」と言わんばかりにそれを見せた。
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