Closed castle ー閉ざされた城ー

ー AKIRA ー

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無知な二人

事の始まり 2

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 物音のしない場所へとさ迷いながら走ったのに、どこへ行っても物音しか聞こえない。

"ドスン、ドスン"

「ヤバイ、こっちもいる」

 走り出せば凄まじい物音が聞こえ、忍び寄れば悲鳴が聞こえた。
その繰返し。

"ドドドドドド!"

「きゃあ!」

"バリバリバリ……"

「こんなの、いつまで続くの?
 もう、耐えられない」

 走り疲れた安西は、その場に崩れてしまった。

「気持ちは分かる。
 けど、立ち止まっても見つかるのは時間の問題。
 今は逃げるしかない」

 桐生に手を取られ、安西は何とか立ち上がった。
その目にはうっすら涙が。

「安西……」

 今までの寝不足の事もある、体力を考えたらこれ以上は無理だった。

「分かった、一先ず隠れよう」

 体力的に無理だと思った桐生は、安西の身を案じ、一先ず物影に隠れることにした。


 安西を座らせた途端、膝がガクガクしていたことに気が付いた。

「安西、足……」
「ごめん、何度も止めようとしたんだけれど」

 足を擦りながら涙目を浮かべる。

「怖いって思うと怖くなるだけだって分かってるのに、どうしても」

 必至に怖さを振り切ろうとしたのか、唇をグッと噛み締めた。
しかし堪えきれず、一気に涙が頬を伝う。

「安西……」

 今までの事もあるし、体力的にも相当無理してるはず。
それでも健気に振る舞おうとする姿に、桐生は心を打たれた。
それもこれも俺の事を思ってなのだろう。
思うと、心が居た堪れなかった。

「桐生?」

 気付けば、安西を抱き締めていた。

「もう、無理するな。
 俺なら、大丈夫」

 ふと、涙が頬を伝った。
これで分かった。

「俺、安西の事が好きだ」

 二人は目と目が合い、しばらく見つめた。
徐々に距離が近付いていく。
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