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「なぜ、エドワード叔父上に従っている」

 彼の言わんとする言葉の意味を理解できないほど、わたしも馬鹿ではない。

 この国は、アイリーン男爵家なしでは成り立たない。
 そもそもアイリーン男爵家がこの国で担っている仕事が重要すぎるのだ。

 電灯、水道、王家で使われる魔道具、そして、———王宮。
 その他にも魔法学、文学、数学、農学、地学、………ありとあらゆる分野においてこの国の最先端を行く研究はアイリーン男爵家が担っている。

 もちろん、そのことは表向き秘密になっている。

 周囲にこのことが知られれば、わたしたちは間違いなく貴族派の過激派に瞬殺される。だからこそ、普通の家はアイリーン男爵家を侮蔑の瞳で見つめる。全員が変態レベルの研究家なのだから仕方がないけれど、稀に心に刺さることもある。

 王家と御三家だけはアイリーン男爵家の顔色を常に窺っている。
 窺わざるを得ない状況なのは理解しているけれど、それすらも周囲の家からやっかみを受ける原因なのだから皮肉なものだ。

「………借金から逃げ出すため」
「はあ!?」
「お父さまがとんでもない額の借金をこさえて帰ってきましたので、その借金を返済するため旦那さまと契約婚をしたのです」
「………それって僕に言って良い内容?」
「さあ?けれど、契約にはこの契約に関する黙秘義務はございませんでしたので」
「………おじうえ………………、」

 あまりの間抜けさに頭を抱えてしまっている雰囲気がある王太子殿下にクスッと笑ったわたしは、双殿下を客室に招き入れて座るように促しながら、のんびりとした口調で話し続ける。


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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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