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▫︎◇▫︎

 わたしが再び目を覚ますと、窓の外では鮮やかなカナリートルマリンを連想させる小鳥が軽やかな歌を歌っていた。
 ぐいっと背筋を伸ばすように太陽のきらきらした光を浴びる身体をいっぱいいっぱいに伸ばすと、くあっとあくびが漏れた。

「ふぁうぅー、よく寝たわ」
「そうだな、よおぉく寝ていたようだ」
「!?」

 いきなり横から聞こえた声にビクッと身体を震わせたわたしは、恐る恐る声のした方を向いた。

「ぎ、」
「ぎ?」
「ぎゃああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 屋敷中を劈くような絶叫をあげたわたしにびっくりしたらしい目の前の男、旦那さまは耳元でわたしの叫びを受けてしまったためか頭を少し回しながら、焦点の合わない瞳でわたしの方を向き、額に青筋を浮かべていた。

(まずったわね。こりゃあヤバいわ。何で怒られるか分からないけれど、なんかヤバそうだわ)

 というか、なんでレディーのお部屋に男が忍び込んでいるのよ!!

「夫が妻の部屋にいて何が悪い」

 どうやら疑問が顔に出ていたらしい。
 わたしは面倒臭さを隠さない表情で、にっこりと笑う。

「………あらあらまあまあ、夫とはいえ、わたしはあなたにとって仮面夫婦未満の契約妻のはずです。そんな人間の部屋に無言で入るとは破廉恥なお方ですわね」
「はあ?」

 ドスの効いた声に、わたしはぴゃあっと泣きたくなる。

 真面目に怖い。
 美形の怒りって怖い。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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