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「オリヴィア・ルクイエム辺境伯令嬢!貴様との婚約を破棄する!!貴様の能面には耐えられんし、伯爵家ごときが俺の婚約者などまっぴらだ!!」
王立学園の卒業パーティーの会場である学園の大広間の中央にて、事件は唐突に、そして着実に起こった。
キラキラと輝く七色のシャンデリアに照らされる美男美女はその美しさに似合わぬ大騒動を起こしていながらも、決して優雅さを損なわない。
「……………承知いたしましたわ、アレク殿下」
ふわっとした美しい微笑みを浮かべるオリヴィアに、周囲は息を飲み込む。
ゆったりと背中に流される銀髪は絹のようにすべらかな光沢を放ち、若葉のような優しい瞳は慈悲のみを映し出す。
「どうかお元気で。———あなたの未来に幸多からんことを」
恭しい所作でカーテシーをしたオリヴィアは完璧な笑みを崩すことなくパーティー会場から去っていく。
悲しみも喜びも驚きも浮かんでいない背中に忌々しいものを見るような視線を向けたラトビア王国第7王子アレク・ラトビアは、大きくため息をつく。
「皆、騒がせた。俺たちのことは気にせず夜会を楽しむといい」
輝く金髪を半分上げているアレクは、夜空のような濃紺の瞳に笑みを映してから何事もなかったかのような表情でオリヴィアの後に続く。
貴族たちは皆一様にこれでもかというほどに豪華絢爛なドレスを見に纏い、ぎらぎら輝く宝石を身につけてひそひそと話す。
「今日もルクイエム辺境伯令嬢は地味な布地でしたわね。あれでは品格を疑われても仕方がないことですわ」
「あら、あなたあの方が宝石も身につけていなかったのにも気づかなかったの?りぼんで飾るだなんて、貴族として恥ずかしくないのかしら」
「そうね、あたくしなら恥ずかしくて舞踏会にすら来られないわ!!」
「それにしても、第7王子殿下は今日も大変麗しかったですわね。あぁ!あのお方と結婚できる可能性があるだなんて、夢のようだわ」
「そうね。あたくし、お父さまに新しいジュエリーをねだらなくっちゃ」
「うふふっ、楽しみですわね」
「えぇ」
そんな様子を、2階の隠し部屋から一言一句聞き逃さず記録している人間がいるとは知らずに………。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
王立学園の卒業パーティーの会場である学園の大広間の中央にて、事件は唐突に、そして着実に起こった。
キラキラと輝く七色のシャンデリアに照らされる美男美女はその美しさに似合わぬ大騒動を起こしていながらも、決して優雅さを損なわない。
「……………承知いたしましたわ、アレク殿下」
ふわっとした美しい微笑みを浮かべるオリヴィアに、周囲は息を飲み込む。
ゆったりと背中に流される銀髪は絹のようにすべらかな光沢を放ち、若葉のような優しい瞳は慈悲のみを映し出す。
「どうかお元気で。———あなたの未来に幸多からんことを」
恭しい所作でカーテシーをしたオリヴィアは完璧な笑みを崩すことなくパーティー会場から去っていく。
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「皆、騒がせた。俺たちのことは気にせず夜会を楽しむといい」
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貴族たちは皆一様にこれでもかというほどに豪華絢爛なドレスを見に纏い、ぎらぎら輝く宝石を身につけてひそひそと話す。
「今日もルクイエム辺境伯令嬢は地味な布地でしたわね。あれでは品格を疑われても仕方がないことですわ」
「あら、あなたあの方が宝石も身につけていなかったのにも気づかなかったの?りぼんで飾るだなんて、貴族として恥ずかしくないのかしら」
「そうね、あたくしなら恥ずかしくて舞踏会にすら来られないわ!!」
「それにしても、第7王子殿下は今日も大変麗しかったですわね。あぁ!あのお方と結婚できる可能性があるだなんて、夢のようだわ」
「そうね。あたくし、お父さまに新しいジュエリーをねだらなくっちゃ」
「うふふっ、楽しみですわね」
「えぇ」
そんな様子を、2階の隠し部屋から一言一句聞き逃さず記録している人間がいるとは知らずに………。
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