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77 アルフォード

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「っ、アザリアッ!!」


 鋭い声が耳に響いた。


 ずっとずっと聴きたかった人の声。

 死の瀬戸際に立たされて、やっと認めることのできた愛おしい人の声。


「ガハッ!!」


 国王の口からこぼれた短い苦鳴と共に、首にかかっていた重圧からいきなり解放されて、アザリアは軽く咳き込む。

 酸欠状態から解放され、視界が明瞭になったアザリアの目の前には、息を切らせて肩で呼吸する愛おしい人の姿。


「ある、さま………、」


 自然と溢れでた呼び方にばっと振り返ってきた彼の顔面には、これでもかというほどの、あの、走馬灯で見た少年と酷似した、満面の笑み。


「ありがとう、リア。君のおかげで。全ての真相が分かったよ」


 そう言ったアルフォードの右手には剣が、左手にはアザリアの手帳が握られていた。

 振り子時計の扉の中に隠していた手記を、アザリアの会話の意図に気がついた彼は、ちゃんと見つけてくれたようだ。


「………赤の一族によって人生をメチャクチャにされたもの同士で群れるのはご自由ですが、それで周りを巻き込むのはいかがなものかと思いますよ、父上」

「はっ、自由に生きてきたお前に余や紅鬼の気持ちなど分かるまい」

「はっ、よく言う。
 ………あなたによって全てを奪われた俺が、あなたの気持ちが分からないと?

 笑止千万!!
 あなたのせいで、俺は嫌と言うほどに味わってきましたよ、………絶望も、苦痛も、不自由も悔いも後悔もッ!!

 何度全てを恨んだことか!
 何度全てを呪おうとっ。殺そうとっ、壊そうと思ったことか!!

 俺にはあなたの感じたこと全てを理解することなんてできやしない。
 俺は、あんたじゃないから。

 でも、想像をつけることはできるよ。
 あんたに、あんたが赤の一族にされてきたことを、俺はされたんだから!!」


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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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