17 / 22
エピローグ 愛は永遠に
しおりを挟む▫︎◇▫︎
この国には昔、難聴の貴き妃がいた。
その妃は純白の美しい髪に、氷のような透き通った水色の瞳を持っていたらしい。
大変に美しい容姿で、誰もが惚れ惚れとしていたが、その妃に対して男性は誰もその妃の美しさを褒め称えなかったらしい。
何故なら、妃の夫は大変嫉妬深く、心の奥底から妃のことを愛しすぎていたからだ。
妃の夫はかつてこの地にあった国の王弟であったらしい。黄金の髪にルビーのような真っ赤な瞳を持つ夫は、妃に遜色することがない程に大変麗しく、それでいて文武両道であり、沢山の女性に言い寄られたという記述を残している。
けれど、夫である王はどんな美女に言い寄られても、一切靡かなかったそうだ。それどころか、妃を陥れてその座に成り代わろうと画策した人間には、未遂か否かに関わらず、手酷い罰を与えたらしい。
妃と王は、かつてこの地にあった王国の貴族たちによる暴挙によって大飢饉が起きた際、公爵という地位をフルに活用して国民のために尽くしたそうだ。
先代の公爵と違い、平民に寄り添う姿勢を大事にしていた妃と王は、平民に対するあまりの仕打ちに怒り、悲しみ、そして行動を起こしたそうだ。
王は贅を尽くすことにしか興味がない傀儡の兄王と兄王を傀儡にしていた妃の父を討ち取り、この国『ルミ王国』を建国したそうだ。
初代国王オリオンはこの国の平和のために尽力し、妃であるネージュは難聴でありながらもそれゆえに優れている視力や洞察力で国の発展に貢献したらしい。
国王夫婦は仲が良いことで有名で子宝に恵まれ、4人もの子供を立派に育て上げた。
長女は2代目の王として賢王と名高い女王となり、
長男は妃ネージュの実家アクアマリン公爵家の跡を継いだ。
次男は宰相として女王を陰日向から的確に支え、
次女は最強の騎士団長として王国の守りに生涯を捧げた。
全員とても優秀で、全員が歴史に名を残した。
けれどやっぱり、この国で最も有名なのは国王オリオンと妃ネージュであり、それは不変である。
この国を立ち上げ、国民全てを愛し続けた国王夫婦は、この国の誉であり永遠の光である。
仲が良い国王夫婦は、早いうちに沢山の人に惜しまれながら王位を退き、余生は自然の多い場所でお互いを気遣い、慈しみながら過ごしたらしい。
毎日恋文をしたため続けたという逸話を持つ国王夫婦にちなんで、雪の王国という意味を持つルミ王国では、恋人と交換をしながら恋文をつづる魔法の本が名産品となっている。
真実を知る者はもう誰も生きていない。
けれど、この逸話は本当にあったことなのではないかと伝えられている。
何故なら、同時期に同じ寝台で手を繋いで亡くなった国王夫婦のお墓の中央には時代を感じさせることがない対になる美しい魔法の本が2冊飾られているからだ。
誰も開けることができない高度な魔法がかけられた本は、長い長い時を得てもなお誰1人として開けられない。
けれど、その本の側には国王夫婦が書き記したであろう時代を感じる古い紙が添えられているらしい。
その紙には丁寧な字で3行に分けて、2人分の文字が綴られているらしい。
~~~
ネージュ、僕の雪の精霊。君のことを永遠に愛している。
オリオン、私の太陽。あなたのことを永遠に愛しているわ。
愛おしい人に、愛しているよりも愛を届けたい。
~~~
お互いを愛し続けた国王夫婦は、いつ何時も愛を大事にしていたらしい。
虹の先の世界で一緒に暮らしているであろう妃の音は取り戻されただろうか、王の身体に残っていた傷跡は消えただろうか。
虹の先の世界でも愛は永遠であることを信じてーーー。
*************************
読んでいただきありがとうございました🐈🐈⬛🐈
これにて本編完結になります。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
次話でオリオンとネージュのプロフィールを出します。
番外編のご希望の方は感想欄からお知らせください!!
頑張って執筆いたします!!
10
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月 瑠々奈
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる