5 / 168
1章 幸せの花園
1 ノアール・フォン・アイゼン (4)
しおりを挟む
今ならば、母妃がノアールの方を向いてくれるかもしれない。
今ならば、母妃がノアールのことを受け入れてくれるかもしれない。
今ならば、母妃がノアールのことを———愛してくれるかもしれない。
薄桃色の繊細なレースの装飾が美しいネグリジェを身に纏いうずくまっている母妃の前に立ったノアールは、ゆっくりと母妃の方に向けてふっくらとした子供らしい色白な手を進める。
「王妃殿、」
「触らないでッ!!」
パンッという乾いた音と共に、ノアールの手の甲が熱くなる。
ヒリヒリとした感触に目を見開いたノアールは、震える叩かれた手をもう片方の手でぎゅっと抱きしめた。
「ご、ごめん、なさい………」
釣り上がったエメラルドみたいな涙に濡れた瞳が、ギロリとノアールのことを睨む。
ふわふわと波打った黄金色の髪を耳にかけながら、母妃はそっぽを向いた。
———王妃殿下は、僕の顔すら見たくないんだ………。
若葉色の瞳にうっすらと幕が張り始めるのを感じたノアールは、慌ててパジャマの袖で目元をごしごしと擦った。
打たれて赤くなった手の甲がヒリヒリした。
「お逃げください!陛下!!」
廊下から叫び声が聞こえた瞬間、玉座の間の扉が大きな音を立てて開かれた。
扉が開いた瞬間に見えたのは、ノアールの叔父の姿だった。
漆黒の腰まであるストレートな髪を首の下で括り、瞳の色と同じ赤いモノをたくさんかぶっている叔父は、いつになく険しい顔でノアールたちのことを睨みつけていた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
今ならば、母妃がノアールのことを受け入れてくれるかもしれない。
今ならば、母妃がノアールのことを———愛してくれるかもしれない。
薄桃色の繊細なレースの装飾が美しいネグリジェを身に纏いうずくまっている母妃の前に立ったノアールは、ゆっくりと母妃の方に向けてふっくらとした子供らしい色白な手を進める。
「王妃殿、」
「触らないでッ!!」
パンッという乾いた音と共に、ノアールの手の甲が熱くなる。
ヒリヒリとした感触に目を見開いたノアールは、震える叩かれた手をもう片方の手でぎゅっと抱きしめた。
「ご、ごめん、なさい………」
釣り上がったエメラルドみたいな涙に濡れた瞳が、ギロリとノアールのことを睨む。
ふわふわと波打った黄金色の髪を耳にかけながら、母妃はそっぽを向いた。
———王妃殿下は、僕の顔すら見たくないんだ………。
若葉色の瞳にうっすらと幕が張り始めるのを感じたノアールは、慌ててパジャマの袖で目元をごしごしと擦った。
打たれて赤くなった手の甲がヒリヒリした。
「お逃げください!陛下!!」
廊下から叫び声が聞こえた瞬間、玉座の間の扉が大きな音を立てて開かれた。
扉が開いた瞬間に見えたのは、ノアールの叔父の姿だった。
漆黒の腰まであるストレートな髪を首の下で括り、瞳の色と同じ赤いモノをたくさんかぶっている叔父は、いつになく険しい顔でノアールたちのことを睨みつけていた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる