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1章 幸せの花園
2 永遠を生きる魔女 (4)
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「はっ、」
「あらぁ?気がついたぁ?」
のんびりとした口調の女性は、にっこりと紫のリップが塗られたくちびるで笑う。
「わたしはこの国に住む魔女でぇ、永遠を生きる魔女だからぁ、永遠の魔女と呼ばれているわぁ」
「とわの、まじょ………、」
なんだかしっくりする名前を聞いたノアールは、もじもじと口を開いては閉じてを繰り返し、怯えたような表情のまま魔女を見上げ、ぎゅっと拳を握り込んだ。
「あ、アイゼン王国第1王子、ノアール・フォン・アイゼン」
「ノア———………?ごめんねぇ、もう1回言ってくれるぅ?」
微笑みのまま固まり、ゆっくりと首を傾げながら顎に人差し指を当てて瞳を泳がせた魔女に、ノアールはこくんと唾を飲み、そして上目遣いに魔女を見つめた。
「………ノアでいい、です」
「ごめんねぇ、わたし、人の名前を覚えるのが苦手でぇ………、」
「構いません」
魔女は本当に困り果てたように、神さまが直々に書いたように美しい眉毛を八の字にした。
「———ノア」
ふっと瞳を閉じたノアールは、くちびるをもにょもにょと動かし、頬を幸せそうに緩めた。
———僕がずっと、ずぅーっと欲しかった響き。僕の、僕だけの———愛称。
人外の美しさを持つ魔女は不思議そうに首を傾げる。
「ノア?」
ふっと笑ったノアールは心の中に僅かな空虚を隠し、自分は幸せなのだと言い聞かせる。
「なんでも、ありません」
チリチリの白銀の髪を尖った耳にかけた魔女は、ノアールに優しい微笑みを浮かべていた。
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「あらぁ?気がついたぁ?」
のんびりとした口調の女性は、にっこりと紫のリップが塗られたくちびるで笑う。
「わたしはこの国に住む魔女でぇ、永遠を生きる魔女だからぁ、永遠の魔女と呼ばれているわぁ」
「とわの、まじょ………、」
なんだかしっくりする名前を聞いたノアールは、もじもじと口を開いては閉じてを繰り返し、怯えたような表情のまま魔女を見上げ、ぎゅっと拳を握り込んだ。
「あ、アイゼン王国第1王子、ノアール・フォン・アイゼン」
「ノア———………?ごめんねぇ、もう1回言ってくれるぅ?」
微笑みのまま固まり、ゆっくりと首を傾げながら顎に人差し指を当てて瞳を泳がせた魔女に、ノアールはこくんと唾を飲み、そして上目遣いに魔女を見つめた。
「………ノアでいい、です」
「ごめんねぇ、わたし、人の名前を覚えるのが苦手でぇ………、」
「構いません」
魔女は本当に困り果てたように、神さまが直々に書いたように美しい眉毛を八の字にした。
「———ノア」
ふっと瞳を閉じたノアールは、くちびるをもにょもにょと動かし、頬を幸せそうに緩めた。
———僕がずっと、ずぅーっと欲しかった響き。僕の、僕だけの———愛称。
人外の美しさを持つ魔女は不思議そうに首を傾げる。
「ノア?」
ふっと笑ったノアールは心の中に僅かな空虚を隠し、自分は幸せなのだと言い聞かせる。
「なんでも、ありません」
チリチリの白銀の髪を尖った耳にかけた魔女は、ノアールに優しい微笑みを浮かべていた。
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