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1章 幸せの花園
7 目覚め (4)
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幼い頃、ノアは何度かメイドに果実水を飲んでみたいと頼んだことがあった。母妃の侍女が、母妃は果実水を好むというお話をしている場面を目にしたことがあったからだ。けれど、ノアの願いが叶えられることはなかった。
『こられは全て王妃殿下のために用意されたもの。王太子殿下のためのものは一口たりとも存在しておりません』
いつも門前払いだったし、時には母妃に泥棒だと嘲笑われることもあった。
でも、ノアはいつも母妃が望み、好きだと思うものを飲んでみたいと、そのおいしさに共感してみたいと願っていた。
ぽろりとノアの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。
「あららぁ?美味しくなかったかしらぁ?」
魔女の慌てたような言葉に、ノアは首をぶんぶん振る。
「美味しい、です」
魔女に支えられて持っていたコップを幸せいっぱいに見つめたノアは、魔女と出会ってからの幸せを噛み締める。
魔女はノアの欲しかったものを与えてくれる。
何かを言ったわけでも、欲しがっているようなそぶりを見せたわけでもない。それなのに、魔女はノアが望むことをしてくれる。
———《魔女》だから、僕の欲しいものがわかるのかな?
魔女にコップを傾けてもらいもう1口果実水を飲んだノアは、けれど次の瞬間はたっと気がつく。
「っ僕、どのぐらい寝ていましたか!?」
「んー、1週間ぐらいぃ?」
ノアは頭からちがさぁっと抜けていくのを感じた。
———1週間眠っていた。つまり、1週間お部屋の中の荷物を雨晒しにしたということ………!!
慌てたノアは起きあがろうとするが、失敗して床に崩れ落ちた。
「あらあらぁ、もう少し寝てなきゃダメよぉ」
魔女によってお布団?の中に戻されたノアが無事に起き上がることができたのは、それから約3日後のことであった。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
『こられは全て王妃殿下のために用意されたもの。王太子殿下のためのものは一口たりとも存在しておりません』
いつも門前払いだったし、時には母妃に泥棒だと嘲笑われることもあった。
でも、ノアはいつも母妃が望み、好きだと思うものを飲んでみたいと、そのおいしさに共感してみたいと願っていた。
ぽろりとノアの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。
「あららぁ?美味しくなかったかしらぁ?」
魔女の慌てたような言葉に、ノアは首をぶんぶん振る。
「美味しい、です」
魔女に支えられて持っていたコップを幸せいっぱいに見つめたノアは、魔女と出会ってからの幸せを噛み締める。
魔女はノアの欲しかったものを与えてくれる。
何かを言ったわけでも、欲しがっているようなそぶりを見せたわけでもない。それなのに、魔女はノアが望むことをしてくれる。
———《魔女》だから、僕の欲しいものがわかるのかな?
魔女にコップを傾けてもらいもう1口果実水を飲んだノアは、けれど次の瞬間はたっと気がつく。
「っ僕、どのぐらい寝ていましたか!?」
「んー、1週間ぐらいぃ?」
ノアは頭からちがさぁっと抜けていくのを感じた。
———1週間眠っていた。つまり、1週間お部屋の中の荷物を雨晒しにしたということ………!!
慌てたノアは起きあがろうとするが、失敗して床に崩れ落ちた。
「あらあらぁ、もう少し寝てなきゃダメよぉ」
魔女によってお布団?の中に戻されたノアが無事に起き上がることができたのは、それから約3日後のことであった。
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