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1章 幸せの花園
25 星空と赤子 (1)
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「はぁ、はぁ、」
走って走って走った先に、何が待っているのかなんてノアは知らない。
でも、走りたい気分だった。
心の中を燻るやるせない気持ちを、いっぱいいっぱい叫びたい気持ちを、走って解放したかった。
走って走って足がもつれて、地面に身体を叩きつけられる。
あの日誓いを立てた星空の花畑にハマり込んだノアは、起き上がる気力も元気も残っていなくて、荒くなった息を鎮めながら花畑の中で寝転がり続ける。
新緑の瞳の端からは幾度も涙がこぼれ落ち、薄いくちびるからははふはふと悲しげな嗚咽が漏れる。
ごろりと寝返りをうつと、視線の先には大きく夜空を占拠する満月が悠々自適に輝いている。その月に少しでも近づきたくて、少しでも光を分けてほしくて、ノアは満月へと導かれるがままに手を伸ばす。
「なんで、………なんで僕は………!!」
自分の周りから死んでいく状況に絶望した。
自分だけが生き残る現状に絶望した。
自分だけが、幸せになる現状に絶望した。
ノアはただ運良く魔女に拾われただけで、生きる道を示されていただけで、ティアラとの違いなんて、両親に愛されていたか否かや家柄ぐらいだった。
———僕はまた見殺しにしてしまった。僕は、僕は………!!
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
25話開始です!!
走って走って走った先に、何が待っているのかなんてノアは知らない。
でも、走りたい気分だった。
心の中を燻るやるせない気持ちを、いっぱいいっぱい叫びたい気持ちを、走って解放したかった。
走って走って足がもつれて、地面に身体を叩きつけられる。
あの日誓いを立てた星空の花畑にハマり込んだノアは、起き上がる気力も元気も残っていなくて、荒くなった息を鎮めながら花畑の中で寝転がり続ける。
新緑の瞳の端からは幾度も涙がこぼれ落ち、薄いくちびるからははふはふと悲しげな嗚咽が漏れる。
ごろりと寝返りをうつと、視線の先には大きく夜空を占拠する満月が悠々自適に輝いている。その月に少しでも近づきたくて、少しでも光を分けてほしくて、ノアは満月へと導かれるがままに手を伸ばす。
「なんで、………なんで僕は………!!」
自分の周りから死んでいく状況に絶望した。
自分だけが生き残る現状に絶望した。
自分だけが、幸せになる現状に絶望した。
ノアはただ運良く魔女に拾われただけで、生きる道を示されていただけで、ティアラとの違いなんて、両親に愛されていたか否かや家柄ぐらいだった。
———僕はまた見殺しにしてしまった。僕は、僕は………!!
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