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1章 幸せの花園
28 夜とフク (1)
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「うぎゃあああ!!おんぎゃあああああぁぁぁ!!」
星空が輝く真夜中に耳を引き裂くかのような激しい泣き声に起こされたノアは、ぎゅうぅっと顔を顰めて自分のベッドの隣に置いてある揺かごで泣き叫ぶ赤子フクに視線を向けた。フクをお家に迎えて1週間、ノアは際限の無い寝不足によって目の下に再び隈を飼い始めてしまっていた。
時計をチラリと見たノアは、ノロノロと布団から起き出し、キッチンへと向かう。ヤギの乳を煮沸し、魔女特製の薬を混ぜ合わせるとフク専用のミルクが完成する。
ミルクを木製の器に移し小さめの木製スプーンを器に入れたノアは、1階にまで響くような激しい鳴き声をあげ続けているフクの元に足早に戻る。
「ほうら、ご飯だよー」
ベッドサイドのテーブルにミルクを置きフクを抱き上げたノアは、スプーンにミルクを掬い上げフクの口の中にミルクを注いでやる。途端に目の色を変えてゴキュゴキュと口の中に注がれるミルクを一心不乱に飲み始めたフクは、器の中が空になった頃には大分ご機嫌になっていた。
きゃきゃっと笑うフクに苦笑をこぼしたノアは、フクにゲップをさせてからゆっくりと背中を叩くことで寝かしつける。
「あと3時間か………、」
自分の睡眠時間を確認しながら、ノアはあまりのハードなスケジュールに苦笑する。
「ここに来てからは楽をしすぎたみたいだな。今までだったらこれぐらいへっちゃらだったのに………、」
ベッドですやすやと安らかな寝息を立てているフクに苦笑したノアは、瞼に自らの腕を乗せてゆっくりと呼吸する。
ゆっくりとした呼吸はやがて睡眠導入へと繋がり、ノアの疲れ切った身体を癒しへの世界へと運んでくれる。
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