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1章 幸せの花園
66 毒を喰らわば皿まで? (1)
しおりを挟む魔女と共にすっかりと整理されて美しさを増しているリビングへとやってきたノアは、エレオノーラが用意してくれた朝食を食べる為に、席についた。いつの間にか現れたふかふかのクッションには、美しい四季折々の花々が刺繍されている。
———綺麗な仕事だ。
針仕事をするようになってから、ノアは王宮にいた頃よりも刺繍や縫い物に詳しくなった。だからこそ、元々美しかった彼女の刺繍の真の凄さが、ノアには手に取るようにわかる。
———僕には無理だな。
刺繍に必要なのは、図案を立ち上げる美術的センス、図案を布地に正確に写す観察力と転写力、そしてこれは当たり前のことだが、一定の細さ強さで縫うことができるソーイングスキルだ。
ノアには高いソーイングスキルと図案を正確に写す観察力、転写力がある。けれど、頭でっかちなノアには、自分で美しく独創的な図案を立ち上げることができない。図案を立ち上げることができないわけではない。しかし、どれもこれも、平凡で、普通で、筆頭すべき点がないのだ。
「どうかいたしましたの?ノアール殿下」
「………いや、なんでもないよ。エレオノーラ嬢」
美しい針仕事だと褒めるべき場面だったのだろう。ここまで美しい作品を仕上げるのにかかったであろう時間と労力を考えれば、それは当然かけるべき言葉なのだから。しかし、それはノアのちっぽけなプライドのようなものが許さなかった。要らぬ意地を張った。ただ、純粋に悔しかった。負けがこんなに悔しいものだと思い知ったのはいつぶりだろうか。
リュシエンヌに魔法で負けた時すらも、ノアはここまで悔しい思いをしなかった。けれど、エレオノーラに負けるのは心の多い深くで、心のどこかで、心底ムカつく。
「魔女さまもいらしたことだし、朝ごはんにしよう」
「そうですわね」
穏やかな表情で頷いたエレオノーラの足元に、彼女の愛猫が心配そうな表情をしてすり寄る。純白の柔らかな毛がふわっと揺れ、この部屋の誰よりも高貴な女王を思わせる。その様に苦笑したノアは、ゆっくりと手を合わせる。
「いただきます」
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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
皆さまお久しぶりです!
水鳥楓椛です。
長い間、1ヶ月近く更新が止まってしまい申し訳ございませんでした。
作者、繁忙期で日々の睡眠時間が2時間から3時間と1ヶ月以上そんな日々を続けているため、只今死んでおります。
更新、もうしばらく遅いペースのままになってしまいそうです。
数日分のストックができたため、ストック分は放出させていただきます。
皆さまお身体にはご自愛ください。
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※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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