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45 始めてのラッキースケベ
しおりを挟む「お邪魔します」
先に部屋に入った陽翔の背中を追いかけて、結菜は彼のお家に恐々と入室する。
内装は思っていたよりも飾り気がなくてシンプルだった。飾り気がないを通り越して殺風景な気もしなくもないが、それは本人の自由なためあまり強く言いたくない。
真っ白な壁に木製の柱、床は大理石だった。
部屋の端々には所々に綺麗に手入れされた観葉植物が飾られて、生活感の無さが増しているように感じなくもない。
「きれい………」
「ーーー汚いわけないだろ」
思わず呟いた結菜に、陽翔は呆れたような声をこぼす。
「汚かったらお前を呼ぶわけないだろ?」
「それもそうですね」
ふむふむと頷いた結菜はメロンジュースに濡れた制服をどこで脱ぐべきなのかきょろきょろと見回した。
「洗面所はこっち。服は………、俺のシャツとズボンでいいか?」
「ご迷惑をおかけします」
「気にするな」
結菜は彼に案内された洗面所に入って、結菜はブレザー、ベスト、スカートを脱ぐ。
「ん~、やっぱりブラウスもダメですね」
ズボンだけ借りるので済むのでは?という一縷の望みも無くなった結菜は、ネクタイを解いてブラウスのボタンも全て外す。
(ふぅ、やはり制服を脱ぐと開放感がありますね)
下着姿になった結菜はぎゅっと背伸びをした、ぽきぽきと背中から小気味の良い音が響いて、身体中の力が少し抜ける。
ーーーがらっ、
「服持ってきた、………ぞ」
手をぱたっと下ろした瞬間、洗面所の扉が勢いよく開かれた。
ざっと鼻から耳にかけて彼の顔が赤く染まる。
「ーーー、」
「ご、ごめん!!」
真っ白になっていた頭の中が徐々に鮮明になってきて、結菜は現状を理解し、身体中を真っ赤に染め上げた。
「わ、わざとじゃっ、」
「わ、っわざとかわざとじゃないかはこの際どうでも良いので!とりあえず閉めてください!!」
「ご、ごめん!!」
ーーーばたんっ、
扉がしまって、目の前に焦茶色の木目が現れた結菜は、安堵と恥ずかしさに足の力が抜けてへなへなと床に座り込んだ。
(身体中が熱い………、)
ぎゅっと身体を抱きしめた結菜は、真っ赤になった顔を隠すようにしたを向く。とくとくと脈打つ心臓がいつもよりも早くて、ちょっぴり苦しかった。
▫︎◇▫︎
扉を急いで閉めた陽翔は、真っ赤に染まった顔を覆い隠すようにして細く長い手を口元に持っていっていた。
特に何も考えず扉を大きく開いたほんの数十秒前の自分を頭の中でぶん殴りながら、妙に疲れ切った身体を叱責して床に座り込んだ。扉に背中を預けるようにして座り込んで精神を落ち着かせるために薄青の瞳を閉じると、目裏には女神を連想させる美しい女が肌を真っ赤に染め上げている映像が思い浮かぶ。
(………白だった)
顔になおのこと熱が集まり、それを振り払うように陽翔は深く深呼吸をする。意識して呼吸をゆっくりに保ち、心臓の高鳴りと真っ赤に染まった肌を落ち着かせる。
(はぁー、調子が狂うな)
まだ僅かに熱が残っていながらもようやく落ち着きを見せた身体に溜め息をついて、陽翔はふらっと立ち上がる。長時間座っていたか目の前が一瞬漆黒に染まってぐらっと体が傾く。
「っぶね、」
咄嗟に壁で姿勢を整えた陽翔は自分の手の中にまだシャツとズボンがあるのを見て、一瞬固まった。
「あぁー、………忘れてた」
結菜に扉の前に服を置いておいたと声をかけた陽翔は、自分も着替えるために自室へと再び向かった。
人生初のラッキースケベの余韻は、まだ微かに彼の肌に残っていた。
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
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