ぼくのかみさま

紅月 燐

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かえりみち

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楽しいお茶会が終わってお昼すぎになった。そろそろ帰る時間ってリュイさま言ってたんだけど王様が相談があるからリュイさまは残ってくれって……だから、帰りはぼく一人で帰ることになった。一応ロイさんが着いてきてくれるって。リュイさまはすごく怖い顔してぼくと帰るって言ってくれてたけど王様が言ってるからぼくが「ひとりでかえれます」って言ったんだ。リュイさまはとっても心配そうにしていたけど、バイバイって手を振って馬車に乗った。

本当はちょっぴり不安だし寂しい……でも、リュイさまの邪魔はしたくないから……寂しさを紛らわせるように今日の出来事を思い出した。王様との出会いや王妃様とのお話、お城の中の廊下やお庭……お庭とってもきれいだったなぁ……お屋敷に帰ってからもう一度お庭に行ってお散歩しようかなぁ……そんなことを考えながら馬車に揺られた。


しばらく揺られるとスっと止まった。着いたのかな?って思ったんだけど外を見たらお屋敷じゃなかった。なんだか道の途中で止まってる。どうしたんだろう?って思っていたら……

「リラ様~ちょ~っと外が騒がしくなりますけど~絶対に~出ないでくださいね~」

ロイさんが馬車の外からそう言う。
これから、何か起こるみたい……じっと息をひそめていると……
 

「おうおう!豪華な馬車じゃねぇか!襲いがいがあるなー!」

なんだか、大きな声が……
それから、何かがぶつかり合う音……金属音……
キンッ!キンッ!
いろんな音がする。きっとぼくが外に出ちゃったら邪魔になっちゃう。だから、できるだけ……息を潜める。そして、窓から見えないように小さくなる。

音はまだするけれど、キィ……っと馬車の扉が開いた……
そっと目を向けると……


馬車についていた騎士さんではない……

ボサボサの怖い顔をした男の人……

「おいおい!べっぴんさんが居るじゃねぇか!それに、この匂い……オメガだな?貴族でオメガなんて高く売れるぜ!」

ニヤッと笑ってそう言う男の人……あのお屋敷でのご主人様の顔を思い出す……
怖くて……体が震える……あの時の痛みや苦しみを思い出す……

男の人の手が伸びる……

ギュッと目をつぶって『こないで!』っと強く思う。

いつまで経っても手が触れない……


そっと目を開ける……



そこには……


黒いトゲが刺さって血まみれの……


それをじっと見つめる。


うん。うん。もうこわくない。


そうだ……ぼくには魔法がある。


血まみれの人を見ながら……黒いトゲも見る。それは僕の影に繋がっていて……動けっ!って思ったらトゲが柔らかくなって男の人から抜ける。そのまま、ドサリっと男の人が崩れ落ちる。
男の人を乗り越えて馬車からおりる。

「ちょっ!なんで、出てきてるんですかー!」

馬車から降りたのをロイさんが見つけて叫ぶ。急いでこっちに来ようとするけど悪そうな人たちが邪魔をしてる。
剣で戦っている2人の影をじっと見つめる。
動かせるかな……って魔力を体の中から動かす。すると影が伸びて悪そうな人にトゲのようになってまた刺さる。
ロイさんもびっくりしてる。
それも気にせず周りを見る……まだ、戦ってる人が多い。多分、野盗?っていうのかな?騎士さんはみんな知ってるから、なるべくなるべく、トゲが刺さらないように気をつける。野盗に刺さるように影をじっと見つめて後ろから刺す。バタバタと倒れていく。

「う、うわぁ……えげつなぁ……」

ぼくの影の攻撃を見てロイさんがぽつりと呟く。騎士さんも倒れていく野盗をぽかんと見つめる。
全員倒してからほっと力を抜く。

「リラ様大丈夫ですか~?」

そばにロイさんがくる。

「大丈夫です。」

そう答える。

「あぁ……馬車に野盗が……すみません~……」
「大丈夫です。」

ロイさんは謝るけどぼくは怪我もしてないから大丈夫。

「リラ様……そんな魔法の使い方どこで習ったんですか~?」
「……?動けって思ったらできました。」
「いやいや……そんなことできないですって~影を触手みたいに動かすなんて~」

ロイさんはそう言うけど……ぼくは影を見つめて動けって思ってみる。そしたら、影が動いてうにょうにょ動いてる……触るとちょっとヒンヤリしてて柔らかい。

「うわぁ……出せてる~。動いてる~」
「はい。動きます。」

ロイさんが何だかおかしな顔をしてる。影とっても気持ちいいのに……うにょうにょしてるのをよしよしする。影も擦り寄ってくる……これって……生きてるのかな……??でも、影だし……

「ま、まぁ!帰ってからリュイさまに相談しましょ~!そうしましょう~!さぁ!さっさと片付けますよ~!」

騎士さんたちと野盗の片付けをする。生きてる人もいたみたいで縄でぐるぐる巻きにしてる。聞いたら騎士さんが少し残って警備隊を呼んでもらってるから待ってるんだって。ぼくは帰ってもいいよって。そのまま馬車に乗ろうと思ったけど馬車の中は血まみれ……しょうがないから、ロイさんに馬に乗せてもらった。初めて乗ったからどきどきした。何とか馬に乗ったらおもったよりも高くってちょっとこわい……体に力が入ってると…

「リラ様~体の力抜いてください~この馬は大人しいですからね~大丈夫ですよ~俺に体を預けてくださいね~」

ロイさんの言う通りにする。ちょっとだけ乗り方が安定した気がする。そのまま、馬に揺られてお屋敷に帰っていった。


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諸事情により明日明後日もこのくらいの時間の更新になりそうですm(_ _)m
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