異世界国家の建て直し!

らしん

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ローレンスが目を覚ますと空には陽が登り始めていた。
いつ眠ったのかさえ覚えていない。

僕がこの窮地の皆を救わなければ…

すっかり悲しみを前向きに無理やり昇華させたローレンスは外壁に登り夜通し監視にあたっていた衛兵に声を掛けると夜は何事もなく無事に乗り切ったと報告を受けた。

ローレンスが皆の所に戻ろうと歩いていたら後ろから追いかけてくる声があった。

「ローレンスくん!待って」
声をかけてきたのはカルロだった。
カルロはこの街の領主の息子で父親同様に剣技に優れていた。

「君がこの街を守ってくれたと聞いてずっと探していたんだ。」
「いや…僕は守れてなんてないよ。こんなにも壊滅的な被害を防げなかった。」
「そんな事を言わないでくれよ。いまは君が僕たちの希望なのだから。」

カルロとは領主が定期的に王都へ現状報告に来る時に着いてきていたのでよく遊んでいた仲だ。
歳も近く、同じような立場だったこともあり特に親しかった。

「僕が希望か…」
「そうだよ。生きてる人間たちは君に救われたのだから、皆は深い悲しみがあっても、この希望に縋ってなんとか心を保っているのだから」
「その希望を裏切るわけにはいかないね。ところでお父さまは?」
「父は…」
カルロが悲しみの表情を浮かべながら話した。
門が破られそうな時に最前線で戦っていたが、穴から大量のジャイアントアントが湧き出して街に広がると1人で人々を避難させる為にジャイアントアントの群れに立ち向かって力尽きた…と。

「命を賭けて守ろうとしたこの街を僕らで立て直そう。」
「ローレンスありがとう。当然僕も全力で協力するよ」


2人は当面の対応を話し合った。

幸い、食料庫が無事で食料や水の心配はなさそうだった。
だが、このまま生き残った人々を悲しみにくれさせていたのではいけない。

「まずはこの街のために命を捧げた人々をちゃんと弔おう」
「そうだな。既に衛兵たちに埋葬の準備は進めさせていたから取り急ぎ葬儀を執り行えるよう急がせる」
「頼む。ルーナさんとレミルさんに伝えてくるからそっちは任せた。」
そう言うとローレンスは戻った。


ローレンスはルーナとレミルに話すと2人も葬儀の準備を始め、最低限の準備を整えると人々を集めた。


「突然の深い悲しみに私たちは心に大きな傷を負いました。大切な人々を亡くし、目の前には絶望しか無いように思えるかもしれません。しかし、命をかけて私たちの命を守ってくれたその人たちは悲しみにくれる日々を生きていくことを願っているでしょうか。その人たちのあとを追うことを願っているでしょうか。私たちがすべきは、この悲しみに負けないこと、胸を張って誇れるような素敵な未来を生きていくことなのです。この葬儀は命を賭けて守って良かったと思える未来を作ると誓うものです。どうかこの悲しみから新たな一歩を踏み出して、いつかその天命を全うして天国で再会した時に私たちを命をかけて守って良かったと言ってもらえるように。」

人々はそれぞれに涙を流しローレンスの言葉を聞いていた。
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