異世界国家の建て直し!

らしん

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ローレンスたちは残ったジャイアントアントを倒しながら街に向かって馬を走らせた。

魔法で生成した壁を取り除いて街に入ると予想外の惨状で、ローレンスはその光景が嘘ではないかと何度も目を閉じては開いて確認するもその惨状は現実だった。


門は塞いだものの、穴を掘って地中をくぐり抜けて街の中に侵入したジャイアントアントたちは人を襲い、食い殺し、おびただしい身体の欠損した遺体と飛び散った血液にローレンスはたまらず激しく嘔吐し、ルーナでさえも堪えきれずに嘔吐した。

「ローレンスさん!ルーナさん!まだ終わってはいません!」

レミルだった。

外壁の上から敵の方向を指し示している。


「ローレンス、行くわよ」
ルーナの怒りは極限に達していた。
同じくローレンスも、平和な街を襲い人々の暮らしをぶち壊した怒りが極限に達していた。

2人は表情を失い、敵を見つけると淡々と駆除をして地中の穴は全て塞いでいった。

「ほぼ倒しきったみたいなので、負傷者の治療に移りましょう。」
「そうね。」
街の中心に行くと守りを固めて負傷者と避難者を看ている衛兵たちに出会った。

「すまない、この惨状を防ぐことが出来なかった。」
ローレンスは唇を噛みしめ、血が滲んでいる。

「とんでもない。ローレンス殿下とルーナ様が来て下さったおかげで我々はなんとか生き延びられたのですから」

「しかし…」
ローレンスが言いかけるとルーナが制した。
「今はこの人々を救うことが先決よ」

ルーナは負傷者の治療にあたり、ローレンスは外壁や門の修理に取り掛かると残った衛兵を周囲の監視に配置してレミルは炊き出しに回った。


この時、三千人近くいたこの街の住民はたった百数十人にまでなっていた。


「クソ!クソ!クソ!なんでだ!」
夜になって皆が寝静まった後、裏の方でローレンスの声が聞こえたルーナは外に出て裏に回ると地面に倒れ込んだローレンスが涙を流しながらこのどうにも出来ない悲しみをひたすら地面を殴って晴らそうとしているようだった。

「ローレンス、それじゃ悲しみは拭えないわよ」

「でも…でも……僕は………この国の人々を守るべき僕は壁の中なら安心だと思いこんでこんなにも酷い有り様を許してしまったんです…僕がすぐに街に入って守っていたらもっと大勢の人を救えたはずなんです!」

「そうね。この結果があなたも私も今の限界なのよ。あなたは全員を守れるとでも思っていたの?だとしたらただの思い上がりよ!」

「クソっ…もっと早く対策をしていたら…もっと早くこの地に着いていれば……」

「まだ言ってるの?この現実はもう変えられない。あなたがすべきは自分の無力さを嘆くことじゃない。家族や友人や大切な人を失った人々の悲しみを和らげ、そしてこれからに導いていくことでしょ?それがあなたの役割なのよ!残念ながらあなたには悲しむ時間すら与えられないのよ、ローレンス」

ルーナの言葉にローレンスは何も答えられなかった。

「今夜は休んで明日から取り返すのよ」

ルーナはそう言い残してローレンスの元を去っていった。
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