雨のち晴れ

朔羅那弥

文字の大きさ
13 / 32

帰り道

しおりを挟む
資料を持って、学科長室を出る。

-戻ったら、フェロモン抑制剤の方のデータをまとめるか


Ωの体質によって、俺の作っている抑制剤でも副作用が出る人が稀にいる。
その人達用に、別のものを考えたのがフェロモン抑制剤だ。こっちだと副作用が出た人には良かったのだ。

-全部抑えられたら、一番なんだけどな。

頭の中で考えている間に、研究所に着く。
扉を開けると、帰り支度をしている葛城がいた。

「遅かったな。大丈夫だったか?」
「おぅ、何とかなった……?」
「何だよ。その言い方、ダメだったのか?」
「なんていうか、一旦仕切り直しにはなったけどさ。相手がさ……。」
「何?迫られた?」
「何笑ってんだよ。押しが強かったんだよな。あと胡散臭い感じがした。」
「ふーん、まぁ、次から教授が対応してくれるンじゃね?」
「…ここにも来たいって言われたんだよな…」
「お前な…。まぁ、その時は俺が対応してやるよ。」
「助かる。葛城は帰るのか?」
「今日の分は終わったから、帰るよ。お前は?」
「もう少ししたら、帰る。帰らないとまた教授に怒られるし。」
「無理するなよー!また明日。」

さっさと帰ると葛城を見送り、自分の席に着き、データを確認していく。

今日の分として仕事を終える。
データもきちんと保存しておく。

帰る支度をして、研究所を施錠する。

帰り道にあるコンビニに寄る。軽く食べれるものを買おうとしていると、

「椎名さん??」

誰かに呼ばれた。声の方を向くと、

「…小鳥遊さん??」
「やはり、椎名さんでしたか。お疲れ様です。買い物ですか?」

ニコッと笑いながら、近寄ってくる小鳥遊さん。距離感が近い感じがして、苦手なんだよな。

「…そんなところです。小鳥遊さんは何故ここに?」
「あぁ、従兄弟が近くに住んでまして、そこへのちょっとした土産を買いに来てました」
「そうなんですか。お先に失礼します。」
「そんなに怯えないで下さいよ。何もしませんよ。」
「いや、慣れないだけですから、気にしないで下さい。」

何とか離れたいが、なかなか離れてくれない小鳥遊さん。

「何かあるなら、さっさと話して貰えませんか。」
「潔いですね。単刀直入にお聞きしますが、椎名さんはΩですか?」

急に小さい声で確認してくる当り、まだ常識人だなと思いつつも、答える

「そうですが、何か?」
「いえ、ありがとうございます。大変苦労されたんですね。」
「私自身何もしてません。もっと大変な方々がいますし。」
「そんなことありませんよ。でも、今日はこの辺で失礼します。」

目的の物があったのか、さっさと行ってしまった。

小鳥遊さんも厄介な人かもしれないと思いながら、自分もレジに行く。

今日一日でどっと疲れた……、

蓮さんとこにいこうかな……。

自分の話を聞いてくれるだろう、
もう1人の身内のとこへ、向かう。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

処理中です...