雨のち晴れ

朔羅那弥

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強敵

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椎名さんとのデートまで、何が何でも仕事を残さない為に、必死に取り組んでいると、

「へぇー、お前も意中の相手が出来ると、仕事のスピードが上がるんだな。」

「はぁ?社会人としての嗜みですが?」

「そういうことじゃなくて、自分からデート?の為に残業しないようにするなんて無かっただろ?なんなら、デートをしたくない感じだったし。」

言われてみれば、そうかもしれない。
こんなにワクワクする予定も初めてかもしれない。

「…デートが楽しみという気持ちも初めてかもしれん。」

「良かったな~。知らずに終わらなくて。」

ニヤニヤしている小鳥遊にちょっとイライラするも、手を止めずにこなす。
フゥーとため息をついていると、

トントンとノックの音がする。
小鳥遊に合図を出す。小鳥遊が返事をしながら、ドアを開ける。

「どうぞ。」
「失礼するよ。」

入ってきたのは社長で、実の父だった。

「どうされたんですか?こんな時間に。」

「用事がなければ、来て悪いのかい?」

「貴方がここに来る時点で、悪い予感しかないですよ。」

「可愛くない息子だな。」

「貴方にどう思われようがどうでもいいですよ。」

「まぁ、無駄話はこれくらいにしてと。お前にお見合い話が来ててな」

「お断りします」

「返事が早すぎる。名家のお嬢様で、しかもα。この神宮寺家にも相応しい家柄だ。」

「何を言われようと断固拒否させていただきます。結婚相手位、自分で探します」

「お前な、我が家のことも考えて…」

「神宮寺グループは、結婚相手に頼らないと持たない会社でしたか?」

「そうではない。発展させる為にもな…」

「そこは我社でやることでしょ。いつまで、何にこだわってるんですか。会長にも言われているでしょう。αに拘るなと。」

「ったく、義父ちちと同じことを言うな。αが優秀であることは事実だ。お前もαならわかるはずだ。それにαだからこそって言うものも…」

「βでもΩでも優秀な人材はたくさんいます。我社にいる社員を貶さないでください」

「でもな、αとしての遺伝子を残さないとだな。」

「いい加減にしてください。そんなだから、いつまでも会長から何も継承されないんですよ。」

俺からの指摘に何も言えなくなったのか、急に黙る。

「…結婚相手なら、もう見つけてますから。これ以上、何かするようでしたら、こちらにも考えがあるので、覚悟しといてください。」

何も言わなくなった父は、立ち上がって、ドアの前に行く。

「これ以上は何も言わないが、私にも考えがあり、行動している。お前には屈しない。」

そう言って、去っていく。

緊張からか、ふぅーとため息が出る。

「…大丈夫なのか?社長にあんなことを言い切って。またアイツらに何かされるんじゃないか?」

心配そうに話す小鳥遊。

多分、アイツらよりも俺にダメージを与える方を考えているはず。

「アイツらは、祖父と母がいるから何とかなる。問題はそっちじゃない。きっと椎名さんに仕掛けるはずだ」

絶対に俺も父になんかに屈しない。

俺の力で守ってみせる。
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みんなの感想(1件)

まる
2024.12.28 まる

はじめまして。
話に引き込まれてしまって
夢中で読みました。
更新楽しみにしていますね

解除

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