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35,対峙
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ウェア王国、ウェア城。窓の外は変わらず雪が降り続き、闇夜を白く凍りつかせる。
やっと眠ってくれた。
ライカはほっと一息つく。王の自室隣の護衛待機室で、膝を枕に眠るヒナタの頭を優しくなでる。彼女は任務に復帰してからずっと、待機室に詰めていた。自室にこもる王に何かあった時、すぐに対応するためである。
国境の森で衰弱した状態で保護されたヒナタは、2週間ほどで体力は回復していた。しかし、蓮が自分の代わりに外国人らの元に行ってしまったと知り、荒れて誰とも口をきかず、食事もとらず、手のつけられないほどだった。なついていたシオンとクラウドもいないため、彼の世話役に手を挙げたのがライカだ。彼女も金眼保有者の血縁であり、他人でも保有者に対して守りたいという気持ちが強い。
ヒナタはだんだんとライカに心を開き、彼女となら話したり、食事したり出来るようになった。ただ、夜になると蓮のいない寂しさから眠れず、精神的に不安定になる。今夜も泣いて蓮を求めるヒナタを、ようやく寝かしつけた。
「早く帰ってきてください、レン様。この子のためにも」
祈るようにつぶやき、ヒナタのほほを濡らす涙をぬぐう。
つい1時間ほど前、シオンから待望の連絡が入り、召集されたアラシを始め十数名の護衛たちが国境の森に向かっている。状況がよくわからないが、森で蓮を見つけ次第、保護しろとの指示らしい。蓮が無事帰国するということだと、ライカは願っていた。
「ライカ、どうだ?寝たか?」
城に残っている先輩護衛が、そっと扉を開けて待機室をのぞきこむ。
「はい、部屋に寝かせてきます」
「ああ、頼む」
ライカはヒナタを抱き上げ、先輩護衛が代わりに待機室に入ろうとした時
「?!」
1ヶ月以上開くことのなかった王の自室の扉ががちゃりと音をたてる。
「は、へ、陛下…!!」
扉がゆっくりと開き、現れたウェア王の姿に、先輩護衛は腰を抜かしたかのように床に片膝をつく。
「えっ?!」
彼の様子を見て、まさかとライカも廊下に出る。
「あ…陛下…!」
1ヶ月ぶりに見る、荘厳な君主の姿。驚きと安堵で涙が込み上げ、ヒナタを抱えたまま片膝をついた。
「レ…が…きた」
寝間着姿の王はうつむき、つぶやく。
「?」
何と言ったのか、ライカは顔を上げる。
「レンが、帰ってきた」
「え…?」
はっきり言うと、膝をつくライカの横を通り過ぎていく。
「陛下!!どちらへ…っ?!」
廊下を滑るように走り始めた王の背に、ライカはあわてて声をかける。
「私が陛下のお供をします!ヒナタ君をお願いします!」
立ち上がり、呆然としている先輩護衛に眠るヒナタを預ける。
「あ、ああ!大臣たちには知らせておく!気をつけろ!!」
「はい!」
待機室にかけてあるマントを取って羽織りながら、ライカは王を追い廊下を走って行った。
「参ったなぁ…。あんな、あからさまなのに、気づかなかった…なんて…」
「黙れ。死ぬぞ」
暗闇に包まれた、深い国境の森。蓮はノームを背負い、足早にウェア王国を目指していた。
森に入る手前で、ふたりは突然の銃撃を受けた。おそらく、犯罪組織の一味がミカビリエに入国した一般のウェア人…シオンとクラウドを狙い、ふたりが帰国の際に通ることを期待して国境の森近くに潜んでいたのだろう。こんな深い森に深夜に入る者など、そのふたり以外いないと彼らはノームに狙いを定めた。
予想もしていなかったというのもあるが、背後のヨイチを気にしていたノームは彼らの殺気に気づくのが遅れた。いち早く気づいた蓮の声で、蓮への被弾は避けられたが、すべての弾丸を避けきることは出来ず、一発の弾丸がノームの脇腹を貫いた。
蓮は彼に代わり、その場にいた狙撃手含めた十数人を撃退したが、連絡を受けたらしい仲間が次々と集まってくる。負傷したノームをかばいながらでは全員の相手は難しい。そう判断して彼を背負い、国境の森に入ったのだ。遭難の可能性が高い夜間の森にはさすがに入れないらしく、犯罪組織の者たちは追って来ていない。
「いいよ…。どうせ、死ぬんだし…。こうして、あんたの背中で死ねるなら、本望だよ…」
「ジョーダンじゃねー。キモい」
ぐったりと背中におぶさり、弱々しい声で話すノームに蓮は悪態をつく。
「はは…っひどいなぁ…。普通、もっとしおらしくするでしょ…」
笑う彼の脇腹から流れ出る血が背に感じるほど蓮の服に染み込み、地に滴る。
「も、マジ黙れ」
いくらノームが金眼の血縁者でも、これ以上の出血は命が危ない。蓮は話すのを止めさせようとするが
「嫌だね…ずっと、あんたと…話していたいんだから…」
ノームは血に染まる腕で、ぎゅっと蓮の首元を抱きしめる。
「…チッ」
蓮は何と返したらいいかわからず舌打ちし、走るスピードを速めた。
一方、国境の森のウェア王国側では。
「本当に、レン様はこの森にいらっしゃるのですか?」
積もった雪に腰近くまで埋まり、マントやブーツで防寒した王室護衛たち十数人が暗闇に浮かぶ断崖絶壁上の森を見つめていた。
「ああ…シオンさんの話では、何者かと共にここに向かっているとのことだ」
彼らを率いる護衛長、アラシが緊張気味に話す。
「何が起こるかわからない。気を弛めず…っ?!」
と、続けるアラシの横を、突然現れた驚異的な速さの何者かが走り抜けていく。そして、断崖絶壁をあっという間に登っていった。
「な…っ?!へ、陛下?!」
あの姿、あの輝く金髪はずっと自室にこもっていたウェア王しかいない。アラシは驚愕して頭上を見上げる。
「何だっ?何が…っ?!」
護衛たちも何が起こったのかすらわからず、混乱する。
「はぁっ!は…っ!護衛長!!」
そこへ、ライカが大きく息を乱して走ってくる。現役護衛最速を誇る彼女も、王を見失わないようにするだけで精一杯だった。
「ライカ!い、今のは陛下か?!」
「はい!急に、お部屋を出られて…っレン様がお帰りになられたと…!」
聞くアラシに、なんとか説明をする。
「レン様が?まだ、気配も感じられないが…」
と、アラシは断崖絶壁上の森を見上げる。
「と、とにかく陛下を追おう!私も行く!他の者はここで待機してくれ!」
はっとしてあわてて護衛たちに指示し、崖に手をかける。
「はい!」
ライカもアラシに続き、崖を登り始めた。
ミカビリエ側の国境の森入り口。
「うぅ…」
「が、ぁあ…」
蓮が撃退した者たちに加え、残っていた犯罪組織の者たちが、痛みに悶えて地面に転がっていた。
その中で、ヨイチは多量の血がこぼれた場所に手をつく。ほとんど視力のない彼だが、彼らを倒すくらいなら容易かった。
「…違う」
蓮の血ではないと気づき、ぼそりとつぶやくと立ち上がる。そして、左目の眼帯を外すと、アンバランスな金色の両目を森の奥へと向けた。
「は…はぁ…っ」
蓮は暗く足場の悪い森を走り続けていた。方向はあっているはずだが、ウェア王国にたどり着くにはまだしばらくかかるだろう。背中のノームはもう話も出来なくなり、かろうじて呼吸をしている状態。早くウェア城に行かなければ、冗談でなく命が危うい。それだけを考えていた。
「…レン!」
「っ!」
名を呼ぶのはヨイチだ。声が聴こえるほど近くまで追いつかれていたとは。蓮は焦り、背中のノームを乱暴に下ろすと走って離れる。彼を見たら、ヨイチは何をするかわからない。なるべく離れなければと思った、その時。ウェア王国側からやって来る、大きな覇気をまとった気配を感じた。
「!?」
蓮はまさかと驚き、その方向を見る。木々の間から現れたのは暗闇を照らすような、輝く金色。ウェア王だった。
「レン」
王は光輝く両の眼で蓮を見つめ、名を呼ぶ。
「ティル…?」
そこにいるのは確かに、ずっと会いたかった友達なのだが。蓮は再会の喜びより、ゾッとするような恐怖が上回る。王の恐ろしいほどの強い覇気と、見たことのない冷たい表情に。
「はぁ…っレン…!」
そこへ、息を切らしたヨイチがやって来る。蓮を挟み、生来の金眼保有者と造られた金眼保有者が対峙した。お互い相手を認識したらしく、森の冷えきった空気が更に張り詰める。
「…っ」
蓮はどうしたらよいかわからず、その場でふたりを交互に見る。
「レン、そこにいるのだろう?こっちに来い」
先に言葉を発したのはヨイチだった。姿は見えなくともすぐそこに蓮がいるのはわかり、右手を差し出す。
「貴様が、金色の目を持つ外国人か」
王の眼が蓮からヨイチに向く。
「ウェア王…か」
ヨイチはそれに気づき、つぶやく。蓮の向こうにいるのが最も強大な力の金眼を持つ者、ウェア王だと嫌でもわかった。
「今、我はレンを迎えに来たのみ。貴様に用はない。早急に我が国から出るがよい」
王は蓮に向かい、歩を進める。
「ふざけるな。レンをあんたらの元に返すつもりはない。レンは俺のものだ」
王の足が止まる。
「我に、逆らうのか」
「俺はウェア人ではない。従う訳がないだろう」
「今ここで、罰を与えられたいのか」
光を放つ金眼が、ゆらりと再びヨイチをとらえる。
「罰?俺のしたことが罪で罰が必要なら、あんたらのしたことは罪ではないのか」
「何?」
何を言い出すのかと、王は顔をしかめる。
「あんたらは王や国にいる少数の金眼保有者を守るために、どれだけの者を見放し、犠牲を払った?」
ヨイチは当時生まれてもいない現ウェア王に訴えても仕方がないとわかりつつ、言わずにいられなかった。
やっと眠ってくれた。
ライカはほっと一息つく。王の自室隣の護衛待機室で、膝を枕に眠るヒナタの頭を優しくなでる。彼女は任務に復帰してからずっと、待機室に詰めていた。自室にこもる王に何かあった時、すぐに対応するためである。
国境の森で衰弱した状態で保護されたヒナタは、2週間ほどで体力は回復していた。しかし、蓮が自分の代わりに外国人らの元に行ってしまったと知り、荒れて誰とも口をきかず、食事もとらず、手のつけられないほどだった。なついていたシオンとクラウドもいないため、彼の世話役に手を挙げたのがライカだ。彼女も金眼保有者の血縁であり、他人でも保有者に対して守りたいという気持ちが強い。
ヒナタはだんだんとライカに心を開き、彼女となら話したり、食事したり出来るようになった。ただ、夜になると蓮のいない寂しさから眠れず、精神的に不安定になる。今夜も泣いて蓮を求めるヒナタを、ようやく寝かしつけた。
「早く帰ってきてください、レン様。この子のためにも」
祈るようにつぶやき、ヒナタのほほを濡らす涙をぬぐう。
つい1時間ほど前、シオンから待望の連絡が入り、召集されたアラシを始め十数名の護衛たちが国境の森に向かっている。状況がよくわからないが、森で蓮を見つけ次第、保護しろとの指示らしい。蓮が無事帰国するということだと、ライカは願っていた。
「ライカ、どうだ?寝たか?」
城に残っている先輩護衛が、そっと扉を開けて待機室をのぞきこむ。
「はい、部屋に寝かせてきます」
「ああ、頼む」
ライカはヒナタを抱き上げ、先輩護衛が代わりに待機室に入ろうとした時
「?!」
1ヶ月以上開くことのなかった王の自室の扉ががちゃりと音をたてる。
「は、へ、陛下…!!」
扉がゆっくりと開き、現れたウェア王の姿に、先輩護衛は腰を抜かしたかのように床に片膝をつく。
「えっ?!」
彼の様子を見て、まさかとライカも廊下に出る。
「あ…陛下…!」
1ヶ月ぶりに見る、荘厳な君主の姿。驚きと安堵で涙が込み上げ、ヒナタを抱えたまま片膝をついた。
「レ…が…きた」
寝間着姿の王はうつむき、つぶやく。
「?」
何と言ったのか、ライカは顔を上げる。
「レンが、帰ってきた」
「え…?」
はっきり言うと、膝をつくライカの横を通り過ぎていく。
「陛下!!どちらへ…っ?!」
廊下を滑るように走り始めた王の背に、ライカはあわてて声をかける。
「私が陛下のお供をします!ヒナタ君をお願いします!」
立ち上がり、呆然としている先輩護衛に眠るヒナタを預ける。
「あ、ああ!大臣たちには知らせておく!気をつけろ!!」
「はい!」
待機室にかけてあるマントを取って羽織りながら、ライカは王を追い廊下を走って行った。
「参ったなぁ…。あんな、あからさまなのに、気づかなかった…なんて…」
「黙れ。死ぬぞ」
暗闇に包まれた、深い国境の森。蓮はノームを背負い、足早にウェア王国を目指していた。
森に入る手前で、ふたりは突然の銃撃を受けた。おそらく、犯罪組織の一味がミカビリエに入国した一般のウェア人…シオンとクラウドを狙い、ふたりが帰国の際に通ることを期待して国境の森近くに潜んでいたのだろう。こんな深い森に深夜に入る者など、そのふたり以外いないと彼らはノームに狙いを定めた。
予想もしていなかったというのもあるが、背後のヨイチを気にしていたノームは彼らの殺気に気づくのが遅れた。いち早く気づいた蓮の声で、蓮への被弾は避けられたが、すべての弾丸を避けきることは出来ず、一発の弾丸がノームの脇腹を貫いた。
蓮は彼に代わり、その場にいた狙撃手含めた十数人を撃退したが、連絡を受けたらしい仲間が次々と集まってくる。負傷したノームをかばいながらでは全員の相手は難しい。そう判断して彼を背負い、国境の森に入ったのだ。遭難の可能性が高い夜間の森にはさすがに入れないらしく、犯罪組織の者たちは追って来ていない。
「いいよ…。どうせ、死ぬんだし…。こうして、あんたの背中で死ねるなら、本望だよ…」
「ジョーダンじゃねー。キモい」
ぐったりと背中におぶさり、弱々しい声で話すノームに蓮は悪態をつく。
「はは…っひどいなぁ…。普通、もっとしおらしくするでしょ…」
笑う彼の脇腹から流れ出る血が背に感じるほど蓮の服に染み込み、地に滴る。
「も、マジ黙れ」
いくらノームが金眼の血縁者でも、これ以上の出血は命が危ない。蓮は話すのを止めさせようとするが
「嫌だね…ずっと、あんたと…話していたいんだから…」
ノームは血に染まる腕で、ぎゅっと蓮の首元を抱きしめる。
「…チッ」
蓮は何と返したらいいかわからず舌打ちし、走るスピードを速めた。
一方、国境の森のウェア王国側では。
「本当に、レン様はこの森にいらっしゃるのですか?」
積もった雪に腰近くまで埋まり、マントやブーツで防寒した王室護衛たち十数人が暗闇に浮かぶ断崖絶壁上の森を見つめていた。
「ああ…シオンさんの話では、何者かと共にここに向かっているとのことだ」
彼らを率いる護衛長、アラシが緊張気味に話す。
「何が起こるかわからない。気を弛めず…っ?!」
と、続けるアラシの横を、突然現れた驚異的な速さの何者かが走り抜けていく。そして、断崖絶壁をあっという間に登っていった。
「な…っ?!へ、陛下?!」
あの姿、あの輝く金髪はずっと自室にこもっていたウェア王しかいない。アラシは驚愕して頭上を見上げる。
「何だっ?何が…っ?!」
護衛たちも何が起こったのかすらわからず、混乱する。
「はぁっ!は…っ!護衛長!!」
そこへ、ライカが大きく息を乱して走ってくる。現役護衛最速を誇る彼女も、王を見失わないようにするだけで精一杯だった。
「ライカ!い、今のは陛下か?!」
「はい!急に、お部屋を出られて…っレン様がお帰りになられたと…!」
聞くアラシに、なんとか説明をする。
「レン様が?まだ、気配も感じられないが…」
と、アラシは断崖絶壁上の森を見上げる。
「と、とにかく陛下を追おう!私も行く!他の者はここで待機してくれ!」
はっとしてあわてて護衛たちに指示し、崖に手をかける。
「はい!」
ライカもアラシに続き、崖を登り始めた。
ミカビリエ側の国境の森入り口。
「うぅ…」
「が、ぁあ…」
蓮が撃退した者たちに加え、残っていた犯罪組織の者たちが、痛みに悶えて地面に転がっていた。
その中で、ヨイチは多量の血がこぼれた場所に手をつく。ほとんど視力のない彼だが、彼らを倒すくらいなら容易かった。
「…違う」
蓮の血ではないと気づき、ぼそりとつぶやくと立ち上がる。そして、左目の眼帯を外すと、アンバランスな金色の両目を森の奥へと向けた。
「は…はぁ…っ」
蓮は暗く足場の悪い森を走り続けていた。方向はあっているはずだが、ウェア王国にたどり着くにはまだしばらくかかるだろう。背中のノームはもう話も出来なくなり、かろうじて呼吸をしている状態。早くウェア城に行かなければ、冗談でなく命が危うい。それだけを考えていた。
「…レン!」
「っ!」
名を呼ぶのはヨイチだ。声が聴こえるほど近くまで追いつかれていたとは。蓮は焦り、背中のノームを乱暴に下ろすと走って離れる。彼を見たら、ヨイチは何をするかわからない。なるべく離れなければと思った、その時。ウェア王国側からやって来る、大きな覇気をまとった気配を感じた。
「!?」
蓮はまさかと驚き、その方向を見る。木々の間から現れたのは暗闇を照らすような、輝く金色。ウェア王だった。
「レン」
王は光輝く両の眼で蓮を見つめ、名を呼ぶ。
「ティル…?」
そこにいるのは確かに、ずっと会いたかった友達なのだが。蓮は再会の喜びより、ゾッとするような恐怖が上回る。王の恐ろしいほどの強い覇気と、見たことのない冷たい表情に。
「はぁ…っレン…!」
そこへ、息を切らしたヨイチがやって来る。蓮を挟み、生来の金眼保有者と造られた金眼保有者が対峙した。お互い相手を認識したらしく、森の冷えきった空気が更に張り詰める。
「…っ」
蓮はどうしたらよいかわからず、その場でふたりを交互に見る。
「レン、そこにいるのだろう?こっちに来い」
先に言葉を発したのはヨイチだった。姿は見えなくともすぐそこに蓮がいるのはわかり、右手を差し出す。
「貴様が、金色の目を持つ外国人か」
王の眼が蓮からヨイチに向く。
「ウェア王…か」
ヨイチはそれに気づき、つぶやく。蓮の向こうにいるのが最も強大な力の金眼を持つ者、ウェア王だと嫌でもわかった。
「今、我はレンを迎えに来たのみ。貴様に用はない。早急に我が国から出るがよい」
王は蓮に向かい、歩を進める。
「ふざけるな。レンをあんたらの元に返すつもりはない。レンは俺のものだ」
王の足が止まる。
「我に、逆らうのか」
「俺はウェア人ではない。従う訳がないだろう」
「今ここで、罰を与えられたいのか」
光を放つ金眼が、ゆらりと再びヨイチをとらえる。
「罰?俺のしたことが罪で罰が必要なら、あんたらのしたことは罪ではないのか」
「何?」
何を言い出すのかと、王は顔をしかめる。
「あんたらは王や国にいる少数の金眼保有者を守るために、どれだけの者を見放し、犠牲を払った?」
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