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パタンとドアが閉まる音が聞こえた途端、盛大な溜息が聞こえてきた。
「はぁ~、あんた何やってんのよ、もう……。」
見ると、ジュリアスが疲れた顔で、こちらを見ていた。
「え?」
ヴィヴィアーナは、突然言われた文句にポカンとしてしまう。
「まったく……危なっかしいったらありゃしない。もう少し警戒しなさいよね!あのままあそこに居たら、あいつらに連れて行かれてたわよ。」
そう言いながら、ジュリアスはヴィヴィアーナをキッと睨んできた。
「う……。」
さすがのヴィヴィアーナも今回ばかりは反論できず、シュンと項垂れる。
そんなヴィヴィアーナを見ていたジュリアスは、額に手を当て溜息を吐きながら言ってきた。
「それにしても、ひっどい顔ね~。あなた今、もの凄く顔色が悪いわよ。」
「え……。」
ジュリアスの言葉に、思わず目を見張る。
そして「あら、気づいてなかったの?」と言ってくる婚約者に、ヴィヴィアーナは、まさかと思い休憩室の壁に備え付けられてある鏡を見ると、真っ青な顔をした自分の姿に目を見張ったのであった。
しかも、青を通り越して白くなっている。
自分では平気だと思っていただけに、驚きだった。
「まったく……あのままだったら、倒れていたでしょうね。」
ジュリアスは腕を組みながら、呆れたように嘆息してきた。
そんな彼の言葉を聞きながら、ヴィヴィアーナは「自分の事なのに……」と、ショックで落ち込む。
項垂れるビビアーナにジュリアスは、「少し座って休みなさい」とソファを勧めてきたのだった。
ビビアーナは言われるがまま、素直にソファに腰掛けた。
その途端、忘れていた寒気がヴィヴィアーナを襲う。
「う……か、痒っ!!」
「まったく、何やってんだか……。」
安心したせいか、寒気と同時に襲ってきた痒みにヴィヴィアーナが悶えていると、ジュリアスが呆れたように溜息を吐いてきた。
「これ飲んで、少し落ち着きなさい。」
すると、いつの間に淹れたのかジュリアスは備え付けの茶器に、お茶を注いで差し出してきてくれたのだった。
驚いてジュリアスを見ると、彼は向かい側のソファに腰掛け茶を飲んでいた。
「冷めないうちに飲んじゃいなさい。体が温まるわよ。」
ヴィヴィアーナが呆けて見ていると、お茶を飲むよう勧められてしまった。
「あ、ありがとう……。」
てっきり揶揄われるのかと思っていたヴィヴィアーナは、拍子抜けした顔をしながら素直にお茶を一口飲む。
思ったよりも体が冷えていたのか、お茶の温かさが体に沁みた。
しかもジュリアスが淹れてくれたのは、ヴィヴィアーナがいつも飲んでいるハーブティーだった。
飲み慣れた味と甘い香りに癒されつつ、じんわりと温かくなっていく体に緊張が段々と解れていく。
それに比例して、体を襲っていた痒みも治まっていった。
ほぉっと息を吐くと、それまで観察するように、こちらを見ていたジュリアスがクスリと笑ってきたのだった。
「あんまり、無茶するんじゃないわよ。見ていて、こっちがヒヤヒヤしちゃうわ。」
思いがけない優しい言葉に、ビビアーナが目を見開いて驚いていると、ジュリアスが「なによ?」と不満そうな声を上げてきた。
「う、ううん。なんでもないわ。」
慌てて首を振ると、ジュリアスはそれ以上何も言ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジュリアスが淹れたハーブティーは、ネトルという茶葉です。
ヴィ―の為に、いつも懐に忍ばせています(笑)
【ちょこっと雑学】
ネトルとは、イラクサ科イラクサ属の多年性植物で、緑茶に似た香りと味が特徴です。
抗アレルギー作用があり、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの症状の緩和や予防する働きがあります。
他にも、ビタミン・ミネラル・鉄分が豊富で妊婦さんや授乳中の方にもお勧めだそうです。
「はぁ~、あんた何やってんのよ、もう……。」
見ると、ジュリアスが疲れた顔で、こちらを見ていた。
「え?」
ヴィヴィアーナは、突然言われた文句にポカンとしてしまう。
「まったく……危なっかしいったらありゃしない。もう少し警戒しなさいよね!あのままあそこに居たら、あいつらに連れて行かれてたわよ。」
そう言いながら、ジュリアスはヴィヴィアーナをキッと睨んできた。
「う……。」
さすがのヴィヴィアーナも今回ばかりは反論できず、シュンと項垂れる。
そんなヴィヴィアーナを見ていたジュリアスは、額に手を当て溜息を吐きながら言ってきた。
「それにしても、ひっどい顔ね~。あなた今、もの凄く顔色が悪いわよ。」
「え……。」
ジュリアスの言葉に、思わず目を見張る。
そして「あら、気づいてなかったの?」と言ってくる婚約者に、ヴィヴィアーナは、まさかと思い休憩室の壁に備え付けられてある鏡を見ると、真っ青な顔をした自分の姿に目を見張ったのであった。
しかも、青を通り越して白くなっている。
自分では平気だと思っていただけに、驚きだった。
「まったく……あのままだったら、倒れていたでしょうね。」
ジュリアスは腕を組みながら、呆れたように嘆息してきた。
そんな彼の言葉を聞きながら、ヴィヴィアーナは「自分の事なのに……」と、ショックで落ち込む。
項垂れるビビアーナにジュリアスは、「少し座って休みなさい」とソファを勧めてきたのだった。
ビビアーナは言われるがまま、素直にソファに腰掛けた。
その途端、忘れていた寒気がヴィヴィアーナを襲う。
「う……か、痒っ!!」
「まったく、何やってんだか……。」
安心したせいか、寒気と同時に襲ってきた痒みにヴィヴィアーナが悶えていると、ジュリアスが呆れたように溜息を吐いてきた。
「これ飲んで、少し落ち着きなさい。」
すると、いつの間に淹れたのかジュリアスは備え付けの茶器に、お茶を注いで差し出してきてくれたのだった。
驚いてジュリアスを見ると、彼は向かい側のソファに腰掛け茶を飲んでいた。
「冷めないうちに飲んじゃいなさい。体が温まるわよ。」
ヴィヴィアーナが呆けて見ていると、お茶を飲むよう勧められてしまった。
「あ、ありがとう……。」
てっきり揶揄われるのかと思っていたヴィヴィアーナは、拍子抜けした顔をしながら素直にお茶を一口飲む。
思ったよりも体が冷えていたのか、お茶の温かさが体に沁みた。
しかもジュリアスが淹れてくれたのは、ヴィヴィアーナがいつも飲んでいるハーブティーだった。
飲み慣れた味と甘い香りに癒されつつ、じんわりと温かくなっていく体に緊張が段々と解れていく。
それに比例して、体を襲っていた痒みも治まっていった。
ほぉっと息を吐くと、それまで観察するように、こちらを見ていたジュリアスがクスリと笑ってきたのだった。
「あんまり、無茶するんじゃないわよ。見ていて、こっちがヒヤヒヤしちゃうわ。」
思いがけない優しい言葉に、ビビアーナが目を見開いて驚いていると、ジュリアスが「なによ?」と不満そうな声を上げてきた。
「う、ううん。なんでもないわ。」
慌てて首を振ると、ジュリアスはそれ以上何も言ってこなかった。
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ジュリアスが淹れたハーブティーは、ネトルという茶葉です。
ヴィ―の為に、いつも懐に忍ばせています(笑)
【ちょこっと雑学】
ネトルとは、イラクサ科イラクサ属の多年性植物で、緑茶に似た香りと味が特徴です。
抗アレルギー作用があり、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの症状の緩和や予防する働きがあります。
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