72 / 93
第一章【出会い編】
48.南の大地へ
しおりを挟む
照りつける太陽。
白い砂浜。
どこまでも続く青い海。
「いやぁ~目の保養にいいなぁ~♪」
軽快な音楽と共に暢気な声が白い砂浜から聞こえてきた。
ここは南の大地サザンウォート。
四大陸のうち一番太陽が近いといわれ一年中暖かい場所だ。
しかもほとんどが海に覆われており複数の島が連なって一つの大陸のようになっている。
陸地よりも水の面積の方が多いここでは漁業が盛んだった。
もちろん特産物は海の幸、毎日取れたての魚介類が世界中に輸出されている。
その他にもここでしか取れない巨大真珠や七色珊瑚が有名だ。
そのお陰でこの大地に住む人々はいつでも水に入れるように機能的な格好をしていた。
カイパンとビキニ。
というらしい。
男性は上半身裸で下には水捌けの良い素材を使ったズボンを履いている。
種類は様々で膝丈のものから際どいラインのものまで様々だ。
女性は上半身は胸だけを隠すようなデザインの布を巻きつけ下には短いパンツやスカートを履いている。
最近の流行では上半身には貝の形をしたものが人気らしい。
この地方独特の民族衣装らしく実に大胆な服装だ。
しかも肌の露出が多いせいかサザンウォートの住人達はみな日に焼けて真っ黒な体をしていたのだった。
「良い所だなぁ~♪」
と、先程から砂浜にいる美女達を眺めては、アランが鼻の下を伸ばしながら喜んでいた。
「そろそろ行きますよ。」
そんなアランにマクレーンは素っ気無く言うとできるだけ早足で離れていった。
「あ、ちょっと待ってくれよ~!!」
仲間だなんて思われたくない。
少なくとも今のアランさんとは!
エロ親父さながらに厭らしい目つきで女性のお尻を目で追う変態とは思われたくない。
今だってほら、アランが見ていた女性達がこちらを見ながらヒソヒソしている……。
マクレーンは慌てて追いかけてくるアランを置いて宿屋へと急ぐのだった。
暫く砂浜を歩いていると巨大な三角屋根のようなものが見えてきた。
その三角屋根のようなものはよく見ると渦を巻きその天辺は空を突き刺すかのように鋭く尖っていた。
近くまで来るとその大きさに目を見張った。
サザンウォート名物ヤドカリハウス。
この地方にだけ生息する巨大ヤドカリの殻の中に部屋を作ったという大胆な住まいだ。
そしてこのヤドカリハウスこそが今日のマクレーン達の泊まる宿だった。
「はあ、やっと見つけた……。」
マクレーンはヤドカリハウスを見上げながらぽつりと呟く。
このハウス実は移動するのだ。
ヤドカリハウスとはいえ、相手は生き物。
彼は一日かけて島を一周して来るらしく日中は何処にいるかわからないのだとか……。
お陰でマクレーンはヤドカリの足跡を辿って追いかけなければならず汗だくになっていた。
「おや、お客さん随分早いねぇもうお帰りかい?」
ヤドカリハウスの一室から真っ黒に日焼けした中年の男性が声をかけてきた。
この宿屋の主人だ。
にかっと白い歯を見せながら笑う店主にマクレーンは引き攣った笑顔で返す。
「ええ、それにしても本当に移動するんですね、探すのに苦労しましたよ。」
「ははははは、夕方になれば元いた場所に戻ってくるんだがねぇ。」
マクレーンの言葉に屈託無く笑いながら返す店主。
どうやらここの住人達はマイペースな人が多いらしい。
店主の言葉も態度もこの地域の雰囲気全てがのんびりとしていた。
マクレーンが諦めたように溜息を吐いていると、宿屋の店主が「お!」と言いながら海の方を見た。
マクレーンもつられてそちらを振り向く。
そこには砂浜に面して点在するように家が建っていた。
何故かゆらゆらと揺れる家の屋根を不思議に思いマクレーンが目を凝らしてよく見ると家の土台が海に面していた。
更によく見ると家は上下左右に揺れている。
ぷかぷかとまるで波間に漂う海草のような動きをする不思議な家にマクレーンはようやくその理由を知った。
土台の下から覗くキラキラ光る鱗が太陽の光を反射して瑠璃色に輝いていた。
そう、その家は瑠璃海魚という巨大魚の背の上に建てられていたのだった。
マクレーンが見ていると家の一つがスイーっと海の上を滑り出した。
そしてその家から人が出てきたかと思うと建物の先頭に立ち何やら手にロープを持ち始める。
すると家の下からぬっと大きな魚の頭が出てきた。
魚の口にはロープが繋がっており家の住人がロープを引くと魚はスピードを上げあっという間に海の彼方へと消えていってしまったのだった。
「お、漁の時間だな。」
宿屋の店主がそう言うと浜辺にいた家が次々と沖へと動き出した。
水しぶきを上げて滑るように移動していく家達はさながら船のようである。
漁船と住まいを兼ねたその家は気が付くと一軒も残らず沖へと泳いでいってしまったのであった。
「どうだい港町ダスの名物移動ハウスは?」
店主は、ぽかんと瑠璃怪魚の家を見送るマクレーンを可笑しそうに笑いながらそう言ってきた。
「え、ええまあ、面白いですね。」
店主の言葉にマクレーンは愛想笑いを浮かべて曖昧に答える。
「そうだろ、そうだろ」と満足そうに頷く店主を見ながら思わず。
別に移動しなくてもいいんじゃないか?
と思った事は内緒であった。
白い砂浜。
どこまでも続く青い海。
「いやぁ~目の保養にいいなぁ~♪」
軽快な音楽と共に暢気な声が白い砂浜から聞こえてきた。
ここは南の大地サザンウォート。
四大陸のうち一番太陽が近いといわれ一年中暖かい場所だ。
しかもほとんどが海に覆われており複数の島が連なって一つの大陸のようになっている。
陸地よりも水の面積の方が多いここでは漁業が盛んだった。
もちろん特産物は海の幸、毎日取れたての魚介類が世界中に輸出されている。
その他にもここでしか取れない巨大真珠や七色珊瑚が有名だ。
そのお陰でこの大地に住む人々はいつでも水に入れるように機能的な格好をしていた。
カイパンとビキニ。
というらしい。
男性は上半身裸で下には水捌けの良い素材を使ったズボンを履いている。
種類は様々で膝丈のものから際どいラインのものまで様々だ。
女性は上半身は胸だけを隠すようなデザインの布を巻きつけ下には短いパンツやスカートを履いている。
最近の流行では上半身には貝の形をしたものが人気らしい。
この地方独特の民族衣装らしく実に大胆な服装だ。
しかも肌の露出が多いせいかサザンウォートの住人達はみな日に焼けて真っ黒な体をしていたのだった。
「良い所だなぁ~♪」
と、先程から砂浜にいる美女達を眺めては、アランが鼻の下を伸ばしながら喜んでいた。
「そろそろ行きますよ。」
そんなアランにマクレーンは素っ気無く言うとできるだけ早足で離れていった。
「あ、ちょっと待ってくれよ~!!」
仲間だなんて思われたくない。
少なくとも今のアランさんとは!
エロ親父さながらに厭らしい目つきで女性のお尻を目で追う変態とは思われたくない。
今だってほら、アランが見ていた女性達がこちらを見ながらヒソヒソしている……。
マクレーンは慌てて追いかけてくるアランを置いて宿屋へと急ぐのだった。
暫く砂浜を歩いていると巨大な三角屋根のようなものが見えてきた。
その三角屋根のようなものはよく見ると渦を巻きその天辺は空を突き刺すかのように鋭く尖っていた。
近くまで来るとその大きさに目を見張った。
サザンウォート名物ヤドカリハウス。
この地方にだけ生息する巨大ヤドカリの殻の中に部屋を作ったという大胆な住まいだ。
そしてこのヤドカリハウスこそが今日のマクレーン達の泊まる宿だった。
「はあ、やっと見つけた……。」
マクレーンはヤドカリハウスを見上げながらぽつりと呟く。
このハウス実は移動するのだ。
ヤドカリハウスとはいえ、相手は生き物。
彼は一日かけて島を一周して来るらしく日中は何処にいるかわからないのだとか……。
お陰でマクレーンはヤドカリの足跡を辿って追いかけなければならず汗だくになっていた。
「おや、お客さん随分早いねぇもうお帰りかい?」
ヤドカリハウスの一室から真っ黒に日焼けした中年の男性が声をかけてきた。
この宿屋の主人だ。
にかっと白い歯を見せながら笑う店主にマクレーンは引き攣った笑顔で返す。
「ええ、それにしても本当に移動するんですね、探すのに苦労しましたよ。」
「ははははは、夕方になれば元いた場所に戻ってくるんだがねぇ。」
マクレーンの言葉に屈託無く笑いながら返す店主。
どうやらここの住人達はマイペースな人が多いらしい。
店主の言葉も態度もこの地域の雰囲気全てがのんびりとしていた。
マクレーンが諦めたように溜息を吐いていると、宿屋の店主が「お!」と言いながら海の方を見た。
マクレーンもつられてそちらを振り向く。
そこには砂浜に面して点在するように家が建っていた。
何故かゆらゆらと揺れる家の屋根を不思議に思いマクレーンが目を凝らしてよく見ると家の土台が海に面していた。
更によく見ると家は上下左右に揺れている。
ぷかぷかとまるで波間に漂う海草のような動きをする不思議な家にマクレーンはようやくその理由を知った。
土台の下から覗くキラキラ光る鱗が太陽の光を反射して瑠璃色に輝いていた。
そう、その家は瑠璃海魚という巨大魚の背の上に建てられていたのだった。
マクレーンが見ていると家の一つがスイーっと海の上を滑り出した。
そしてその家から人が出てきたかと思うと建物の先頭に立ち何やら手にロープを持ち始める。
すると家の下からぬっと大きな魚の頭が出てきた。
魚の口にはロープが繋がっており家の住人がロープを引くと魚はスピードを上げあっという間に海の彼方へと消えていってしまったのだった。
「お、漁の時間だな。」
宿屋の店主がそう言うと浜辺にいた家が次々と沖へと動き出した。
水しぶきを上げて滑るように移動していく家達はさながら船のようである。
漁船と住まいを兼ねたその家は気が付くと一軒も残らず沖へと泳いでいってしまったのであった。
「どうだい港町ダスの名物移動ハウスは?」
店主は、ぽかんと瑠璃怪魚の家を見送るマクレーンを可笑しそうに笑いながらそう言ってきた。
「え、ええまあ、面白いですね。」
店主の言葉にマクレーンは愛想笑いを浮かべて曖昧に答える。
「そうだろ、そうだろ」と満足そうに頷く店主を見ながら思わず。
別に移動しなくてもいいんじゃないか?
と思った事は内緒であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる