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第一章【出会い編】
49.たまには夜の散歩でも、と連れ出されました
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「ふう……。」
風呂に入り砂と汗を流してさっぱりしたマクレーンは一息つきながらベッドへと腰掛けていた。
今回の宿は上手く一人部屋がそれぞれ取れたためマクレーンは久しぶりに一人を満喫していた。
久々の自由に思わず鼻歌まで出てしまう。
珍しく機嫌の良いマクレーンがいる部屋を誰かがノックしてきた。
「どうぞ?」
こんな遅い時間に誰だろうと旅のお供二人の顔を頭に浮かべながら返事をする。
ガチャリと開いた扉から現れたのは案の定アランだった。
「よっ」と言いながら部屋へと入ってくるアランの姿に一気にマクレーンの機嫌メーターが下がっていく。
「何か用ですか?」
ジト目になりながらアランに問いかけると彼はいつもの笑顔でこう言ってきた。
「よう、散歩にでも行かないか?」
「はあ?なんでですか?」
突然の誘いにマクレーンは嫌そうな顔をする。
そんなあからさまな表情をするマクレーンの反応に怯む事無くアランが言葉を続けてきた。
「いや~さっき窓から外眺めてたらさ、すっげ~海が綺麗なんだよ!な、見に行こうぜ!」
アランはそう言うとずかずかと部屋に入ってきて有無を言わさずマクレーンの腕を掴んできた。
「は?僕は行きませんよ!?」
相変わらず強引なアランの行動にマクレーンは不機嫌な顔で抵抗する。
「まあまあまあまあ、せっかくなんだしさ♪」
「ちょっ、離してください!!」
マクレーンは慌てて抵抗する。
しかし、そこはチビとデカ。
親子ほどの体格差のあるマクレーンはアランに軽々と持ち上げられるとひょいっと肩に担がれてしまった。
そしてそのまま部屋の外に連れ出される。
「は、は~な~せ~~~!!」
マクレーンの抵抗する声が虚しく宿屋の廊下に響くのだった。
「お~綺麗だなぁ~!」
浜辺へとやって来たアランは目の前に広がる景色に感嘆の声を上げていた。
目の前に広がる海は昼の鮮やかなコバルトブルーの色彩はなりを潜め、今は漆黒の海へと変貌を遂げていた。
空には満点の星空。
地平線まで続くその星空を鏡のように澄んだ海が綺麗に映し出していた。
天の星を映した海が地平線の彼方で空と繋がりまるで星が地上へと零れ落ちているかのような錯覚を与えてくる。
その美しい景色に思わずマクレーンが見惚れていると。
「な、綺麗だろ?」
とアランが声をかけてきた。
その言葉に素直に頷くマクレーンだったが今いる状況にはっと気づくとみるみる眉間に皺が寄っていく。
「おいおいおいおい、な~んでそんな顔するかな~?せっかく連れて来てやったのに。」
不満そうに口を尖らせるアランにマクレーンは米神をピキピキと痙攣させながら絶叫した。
「だったらいい加減僕を降ろしてくださいよ!」
あろうことかマクレーンはアランに拉致された格好のままだった。
「おっと、悪い悪い!」
アランは悪びれる風も無くそう言うと、マクレーンをひょいと持ち上げすとんと砂地へ降ろした。
その軽々とした動作にマクレーンは複雑になる。
相変わらず子供のような扱いだな……。
出会ってからずっと続くこの扱いに慣れてきている自分に気づき胸中で舌打ちする。
その時――。
ぽん。
マクレーンの頭に大きな手が置かれた。
驚いて見上げるとアランの笑顔があった。
マクレーンが声を上げるより早くわしゃわしゃと頭を乱暴に撫でられた。
「な、なにするんですか!?」
突然の行動に驚いたマクレーンはアランの手から慌てて離れる。
ぐしゃぐしゃになった髪の毛を整えながらぎろりと睨んでやればアランは全く気にする様子も無くにこにこと笑顔のままだった。
「はは、いつもの調子に戻ったな♪」
マクレーンを見ながらアランが嬉しそうに言ってきた。
その言葉の意味がわからなくてマクレーンは不審そうに相手を見上げた。
しかしアランは何も言わずにこちらを見ているばかりだった。
「なんなんですかいきなり?」
痺れを切らせたマクレーンが胡散臭そうに聞き返すとアランは「ん~?」と言いながらまた頭を触ってきた。
せっかく直した頭がまたぐしゃぐしゃになる。
いままでされたことの無い感触にマクレーンは堪らず身を捻ってアランの手から逃れた。
「やめてください!!」
今度こそ怒った顔で言ってやればアランは焦ったように手を引っ込めてきた。
「わるいわるい……いや、まあその……なんだ……。」
らしくない歯切れの悪い言い方と共に困ったような顔をしながら頭を掻くアランにマクレーンも意味がわからないと首を傾げる。
「ほら……イーストウインの事件の時から元気なかっただろ?」
アランは言い辛そうにそう答えてきた。
「その……気分が滅入ったときは綺麗なもの見ると元気が出るっていうか、心が落ち着くっていうか……。」
ぽりぽりと頭を掻きながらなんとか言葉を選ぶアランにマクレーンは思わず目を逸らしてしまった。
何なんですかこの人は!?
そっぽを向いたマクレーンの頬が何故か薄っすらと赤くなっていた。
「別に僕は落ち込んでなんかいません!」
早口でそう答えると、アランの「え、そうなの?」という間抜けな声が聞こえてきた。
一瞬吹き出しそうになってしまったがなんとか堪える。
そして怒った風を装ってアランに向かって釘を刺した。
「こんな事されなくても僕は大丈夫です!明日は早いからもう宿屋に戻りますよ。」
素っ気無く言い放ちくるりと踵を返す。
背後で気まずそうなアランの気配を感じマクレーンは小さな声でしかし聞こえるように呟いた。
「その……心配してくれてありがとうございます……。」
最後の方は蚊の鳴くような声だった。
思わぬ言葉にアランが驚いた声を上げる。
アランが声をかけるよりも早くマクレーンは真っ赤な顔をしたまま逃げるように宿屋へと戻っていったのだった。
風呂に入り砂と汗を流してさっぱりしたマクレーンは一息つきながらベッドへと腰掛けていた。
今回の宿は上手く一人部屋がそれぞれ取れたためマクレーンは久しぶりに一人を満喫していた。
久々の自由に思わず鼻歌まで出てしまう。
珍しく機嫌の良いマクレーンがいる部屋を誰かがノックしてきた。
「どうぞ?」
こんな遅い時間に誰だろうと旅のお供二人の顔を頭に浮かべながら返事をする。
ガチャリと開いた扉から現れたのは案の定アランだった。
「よっ」と言いながら部屋へと入ってくるアランの姿に一気にマクレーンの機嫌メーターが下がっていく。
「何か用ですか?」
ジト目になりながらアランに問いかけると彼はいつもの笑顔でこう言ってきた。
「よう、散歩にでも行かないか?」
「はあ?なんでですか?」
突然の誘いにマクレーンは嫌そうな顔をする。
そんなあからさまな表情をするマクレーンの反応に怯む事無くアランが言葉を続けてきた。
「いや~さっき窓から外眺めてたらさ、すっげ~海が綺麗なんだよ!な、見に行こうぜ!」
アランはそう言うとずかずかと部屋に入ってきて有無を言わさずマクレーンの腕を掴んできた。
「は?僕は行きませんよ!?」
相変わらず強引なアランの行動にマクレーンは不機嫌な顔で抵抗する。
「まあまあまあまあ、せっかくなんだしさ♪」
「ちょっ、離してください!!」
マクレーンは慌てて抵抗する。
しかし、そこはチビとデカ。
親子ほどの体格差のあるマクレーンはアランに軽々と持ち上げられるとひょいっと肩に担がれてしまった。
そしてそのまま部屋の外に連れ出される。
「は、は~な~せ~~~!!」
マクレーンの抵抗する声が虚しく宿屋の廊下に響くのだった。
「お~綺麗だなぁ~!」
浜辺へとやって来たアランは目の前に広がる景色に感嘆の声を上げていた。
目の前に広がる海は昼の鮮やかなコバルトブルーの色彩はなりを潜め、今は漆黒の海へと変貌を遂げていた。
空には満点の星空。
地平線まで続くその星空を鏡のように澄んだ海が綺麗に映し出していた。
天の星を映した海が地平線の彼方で空と繋がりまるで星が地上へと零れ落ちているかのような錯覚を与えてくる。
その美しい景色に思わずマクレーンが見惚れていると。
「な、綺麗だろ?」
とアランが声をかけてきた。
その言葉に素直に頷くマクレーンだったが今いる状況にはっと気づくとみるみる眉間に皺が寄っていく。
「おいおいおいおい、な~んでそんな顔するかな~?せっかく連れて来てやったのに。」
不満そうに口を尖らせるアランにマクレーンは米神をピキピキと痙攣させながら絶叫した。
「だったらいい加減僕を降ろしてくださいよ!」
あろうことかマクレーンはアランに拉致された格好のままだった。
「おっと、悪い悪い!」
アランは悪びれる風も無くそう言うと、マクレーンをひょいと持ち上げすとんと砂地へ降ろした。
その軽々とした動作にマクレーンは複雑になる。
相変わらず子供のような扱いだな……。
出会ってからずっと続くこの扱いに慣れてきている自分に気づき胸中で舌打ちする。
その時――。
ぽん。
マクレーンの頭に大きな手が置かれた。
驚いて見上げるとアランの笑顔があった。
マクレーンが声を上げるより早くわしゃわしゃと頭を乱暴に撫でられた。
「な、なにするんですか!?」
突然の行動に驚いたマクレーンはアランの手から慌てて離れる。
ぐしゃぐしゃになった髪の毛を整えながらぎろりと睨んでやればアランは全く気にする様子も無くにこにこと笑顔のままだった。
「はは、いつもの調子に戻ったな♪」
マクレーンを見ながらアランが嬉しそうに言ってきた。
その言葉の意味がわからなくてマクレーンは不審そうに相手を見上げた。
しかしアランは何も言わずにこちらを見ているばかりだった。
「なんなんですかいきなり?」
痺れを切らせたマクレーンが胡散臭そうに聞き返すとアランは「ん~?」と言いながらまた頭を触ってきた。
せっかく直した頭がまたぐしゃぐしゃになる。
いままでされたことの無い感触にマクレーンは堪らず身を捻ってアランの手から逃れた。
「やめてください!!」
今度こそ怒った顔で言ってやればアランは焦ったように手を引っ込めてきた。
「わるいわるい……いや、まあその……なんだ……。」
らしくない歯切れの悪い言い方と共に困ったような顔をしながら頭を掻くアランにマクレーンも意味がわからないと首を傾げる。
「ほら……イーストウインの事件の時から元気なかっただろ?」
アランは言い辛そうにそう答えてきた。
「その……気分が滅入ったときは綺麗なもの見ると元気が出るっていうか、心が落ち着くっていうか……。」
ぽりぽりと頭を掻きながらなんとか言葉を選ぶアランにマクレーンは思わず目を逸らしてしまった。
何なんですかこの人は!?
そっぽを向いたマクレーンの頬が何故か薄っすらと赤くなっていた。
「別に僕は落ち込んでなんかいません!」
早口でそう答えると、アランの「え、そうなの?」という間抜けな声が聞こえてきた。
一瞬吹き出しそうになってしまったがなんとか堪える。
そして怒った風を装ってアランに向かって釘を刺した。
「こんな事されなくても僕は大丈夫です!明日は早いからもう宿屋に戻りますよ。」
素っ気無く言い放ちくるりと踵を返す。
背後で気まずそうなアランの気配を感じマクレーンは小さな声でしかし聞こえるように呟いた。
「その……心配してくれてありがとうございます……。」
最後の方は蚊の鳴くような声だった。
思わぬ言葉にアランが驚いた声を上げる。
アランが声をかけるよりも早くマクレーンは真っ赤な顔をしたまま逃げるように宿屋へと戻っていったのだった。
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