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本編
第十九話
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「私は、そこにいる国王の命令で諜報部隊の隊長をしています。国の為に、あらゆる情報を集めるのが私の仕事であり、それ故、情報を得るために手段を選びません。そして、私の情報源は恋人達です……貴女に縁談を持ちかけた理由である、彼女達と別れられないのは、こういう理由からでした。そして国王に誓いを立てた私は、この事を誰にも告げる事は出来ません。恋人にも、もちろん家族にもです。」
そこまで聞いてカレンは首を傾げた。
「え、で、でもさっき。」
「ええ、国王から許しが貰えました。だから今私は貴女だけに真実を伝えているのです。貴女に私の秘密を教えてしまう罪をお許しください。」
そう言ってレオナルドは、カレンの手を取ると甲に口付けた。
それは騎士が王女にするような所作で。
なんだかめちゃくちゃな事を言われているような気がするが、レオナルドの美しい顔と優雅な仕草に思わずカレンは赤面してしまった。
――ううう~、顔が良いと何言っても様になるからずるいわ。
胸中で悪態を吐きながら、跪くお飾りの夫を恨めしそうに見る。
すると目の前のクリスから――。
「というわけだ。これを聞いてしまったからには、そう簡単には離縁できなくなったなぁ。」
と、苦笑と共にそう言われた。
「へ?」
カレンは思わず、クリスの方を見ながら素っ頓狂な声を上げた。
「そりゃそうだろう、国家機密に関わる問題だからな、もし離縁なんぞした日にゃフェルニナード家もオーディンス家もただでは済まないだろうなぁ。」
クリスはまたしても苦笑すると残酷な事実を突きつけた。
「そ、そんな大げさ、な……。」
カレンはまたまた~と軽い気持ちで言い返していたが、クリスの笑顔を見て青褪めた。
「じょ、冗談ですよね?」
「ははははは。」
――そこ笑うところじゃないでしょ!!
目だけが笑っていないクリスの顔を見ながら、だらだらと冷や汗を流す。
助けを求めるようにレオナルドを見ると、すっと視線を逸らされた。
――ちょ、ちょっと待ってぇ~。
冗談では済まされない事を悟り、胸中で絶叫する。
「じゃ、じゃあなんですか?今の話を一方的に聞かされたのに、後で契約解消ができなくなるって事ですか?」
なにその悪徳商法!?とパニックになるカレンに、クリスは爽やかに笑うと、こう言ってきた。
「まあ、今まで婚約を言い寄ってきた奴らから比べたら、予はレオナルドで良かったと思っているぞ。」
「それって、王族とほとんど親戚になるからでしょうが!!」
国王が自分に求婚してきた理由を思い出し、カレンは突っ込む。
クリスはクリスで。
「何を言う!予は、そなたと予が結婚した方が良いと思っているのだぞ、それに比べたら随分な譲歩ではないか!」
と捲くし立てた。
「そりゃあ、剣が手に入るからでしょうが!!」
「うむ、良くわかっているではないか。」
わははははは、と高らかに笑う国王に、カレンは今なら切り捨ててしまっても良い気がする、と心の中で思った。
そんな不穏な雰囲気にクリスは、ずさっと椅子ごと後退る。
「物騒な事を考えるでない、そなたの剣が反応しているぞ。」
国王が冷や汗を流しながら見つめるその先には、カレンの心を読み取ったのか聖剣がその切っ先を国王に向けているところだった。
うむ、よくできた聖剣だ。
カレンは聖剣に向かって親指を立てると、国王の顔が引き攣っていた。
「さてと、冗談はさておき。」
話を本題に戻しましょう、とカレンはそう言ってまた席に着いた。
その隣ではレオナルドが「冗談になってないんだが」と青褪めた顔でぽつりと呟いている。
「というか、さっきの機密云々は、私にとっては不可抗力ですよね?」
カレンは隣で、ぼそぼそ言うレオナルドは放って置いて至極真面目な顔で訴えた。
そこまで聞いてカレンは首を傾げた。
「え、で、でもさっき。」
「ええ、国王から許しが貰えました。だから今私は貴女だけに真実を伝えているのです。貴女に私の秘密を教えてしまう罪をお許しください。」
そう言ってレオナルドは、カレンの手を取ると甲に口付けた。
それは騎士が王女にするような所作で。
なんだかめちゃくちゃな事を言われているような気がするが、レオナルドの美しい顔と優雅な仕草に思わずカレンは赤面してしまった。
――ううう~、顔が良いと何言っても様になるからずるいわ。
胸中で悪態を吐きながら、跪くお飾りの夫を恨めしそうに見る。
すると目の前のクリスから――。
「というわけだ。これを聞いてしまったからには、そう簡単には離縁できなくなったなぁ。」
と、苦笑と共にそう言われた。
「へ?」
カレンは思わず、クリスの方を見ながら素っ頓狂な声を上げた。
「そりゃそうだろう、国家機密に関わる問題だからな、もし離縁なんぞした日にゃフェルニナード家もオーディンス家もただでは済まないだろうなぁ。」
クリスはまたしても苦笑すると残酷な事実を突きつけた。
「そ、そんな大げさ、な……。」
カレンはまたまた~と軽い気持ちで言い返していたが、クリスの笑顔を見て青褪めた。
「じょ、冗談ですよね?」
「ははははは。」
――そこ笑うところじゃないでしょ!!
目だけが笑っていないクリスの顔を見ながら、だらだらと冷や汗を流す。
助けを求めるようにレオナルドを見ると、すっと視線を逸らされた。
――ちょ、ちょっと待ってぇ~。
冗談では済まされない事を悟り、胸中で絶叫する。
「じゃ、じゃあなんですか?今の話を一方的に聞かされたのに、後で契約解消ができなくなるって事ですか?」
なにその悪徳商法!?とパニックになるカレンに、クリスは爽やかに笑うと、こう言ってきた。
「まあ、今まで婚約を言い寄ってきた奴らから比べたら、予はレオナルドで良かったと思っているぞ。」
「それって、王族とほとんど親戚になるからでしょうが!!」
国王が自分に求婚してきた理由を思い出し、カレンは突っ込む。
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と捲くし立てた。
「そりゃあ、剣が手に入るからでしょうが!!」
「うむ、良くわかっているではないか。」
わははははは、と高らかに笑う国王に、カレンは今なら切り捨ててしまっても良い気がする、と心の中で思った。
そんな不穏な雰囲気にクリスは、ずさっと椅子ごと後退る。
「物騒な事を考えるでない、そなたの剣が反応しているぞ。」
国王が冷や汗を流しながら見つめるその先には、カレンの心を読み取ったのか聖剣がその切っ先を国王に向けているところだった。
うむ、よくできた聖剣だ。
カレンは聖剣に向かって親指を立てると、国王の顔が引き攣っていた。
「さてと、冗談はさておき。」
話を本題に戻しましょう、とカレンはそう言ってまた席に着いた。
その隣ではレオナルドが「冗談になってないんだが」と青褪めた顔でぽつりと呟いている。
「というか、さっきの機密云々は、私にとっては不可抗力ですよね?」
カレンは隣で、ぼそぼそ言うレオナルドは放って置いて至極真面目な顔で訴えた。
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