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本編
第二十話
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「不可抗力とな?」
「はい。」
カレンの言葉に、クリスが驚いた顔で聞き返してきた。
それにカレンは即答する。
「いきなり機密に関わる話を聞かされて、そのあと離婚したら家ごと潰されてしまうなんて言われて、そんなのあまりにも理不尽です!予想すら出来なかったのに……完全に不可抗力です。」
カレンは腰に手を当て、ふんぞり返りながら己の潔白を強調する。
そんな剣幕のカレンに、呆気に取られていたレオナルドは、はっと我に返ると慌ててカレンに向き直る。
「申し訳ない、貴女を困らせるために告白したのではないのに……クリス彼女に非は無い、もし罰する事があれば私が全て受けよう。」
レオナルドは国王を愛称呼びしたまま、そう懇願してきた。
対するクリスはそんな二人を交互に見たあと、ぶはっと盛大に吹き出したのだった。
「何がおかしい?」
「いや~すまんすまん。」
よもや立場を忘れて半目になって見下ろしてくるレオナルドに、クリスは笑いが収まらず腹を抱えて蹲ってしまう。
そんな国王を、レオナルドと同じく半目になりながら見下ろすカレン。
「くくく、お前たちは似た者同士だな、なに今のは冗談だ。そなた達が離縁しようと、罰を与える気は無いから安心しろ。」
ひとしきり笑った後、クリスは目尻に溜まった涙を拭きながら謝罪してきた。
その言葉を聞いてカレンは、ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、クリスの話を聞いたレオナルドは慌てた。
「いや、だから離縁する気は無いって……カレン!」
「は、はい?」
突然名を呼ばれ、カレンは思わず返事をしてしまう。
こちらを見下ろすレオナルドを見上げて見ると真摯な瞳と目が合った。
「私は貴女と離婚する気はありません……いえ、契約を持ちかけた当初はそう思っていたのは事実ですが、今はその……貴女と離縁するなんてこれっぽっちも思っていませんから。」
どうか信じてください、とカレンの手を取りレオナルドが言ってきた。
その熱い視線にカレンはたじろいでしまう。
なんと返せばいいのか困ってクリスを見れば、彼は愉しそうにこちらをニヤニヤと見ているだけで、助け舟を出す気は無いらしい。
困り果てていたカレンに、意外なところから助け舟がやってきた。
否。
当然といえば当然な……。
ズドッ。
カレンとレオナルドを引き離すように、絶妙な位置で二人の間に剣が突き刺さってきたのだった。
「あと数センチずれてたら、お前のソレは命が無かったな……。」
クリスは他人事とは思えないと、青褪めながらレオナルドの足元に突き刺さった剣を見下ろした。
そう言いながら、カレンには気づかれないように、そっと己の股間を押さえてしまったのは致し方ないといえよう。
「はい。」
カレンの言葉に、クリスが驚いた顔で聞き返してきた。
それにカレンは即答する。
「いきなり機密に関わる話を聞かされて、そのあと離婚したら家ごと潰されてしまうなんて言われて、そんなのあまりにも理不尽です!予想すら出来なかったのに……完全に不可抗力です。」
カレンは腰に手を当て、ふんぞり返りながら己の潔白を強調する。
そんな剣幕のカレンに、呆気に取られていたレオナルドは、はっと我に返ると慌ててカレンに向き直る。
「申し訳ない、貴女を困らせるために告白したのではないのに……クリス彼女に非は無い、もし罰する事があれば私が全て受けよう。」
レオナルドは国王を愛称呼びしたまま、そう懇願してきた。
対するクリスはそんな二人を交互に見たあと、ぶはっと盛大に吹き出したのだった。
「何がおかしい?」
「いや~すまんすまん。」
よもや立場を忘れて半目になって見下ろしてくるレオナルドに、クリスは笑いが収まらず腹を抱えて蹲ってしまう。
そんな国王を、レオナルドと同じく半目になりながら見下ろすカレン。
「くくく、お前たちは似た者同士だな、なに今のは冗談だ。そなた達が離縁しようと、罰を与える気は無いから安心しろ。」
ひとしきり笑った後、クリスは目尻に溜まった涙を拭きながら謝罪してきた。
その言葉を聞いてカレンは、ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、クリスの話を聞いたレオナルドは慌てた。
「いや、だから離縁する気は無いって……カレン!」
「は、はい?」
突然名を呼ばれ、カレンは思わず返事をしてしまう。
こちらを見下ろすレオナルドを見上げて見ると真摯な瞳と目が合った。
「私は貴女と離婚する気はありません……いえ、契約を持ちかけた当初はそう思っていたのは事実ですが、今はその……貴女と離縁するなんてこれっぽっちも思っていませんから。」
どうか信じてください、とカレンの手を取りレオナルドが言ってきた。
その熱い視線にカレンはたじろいでしまう。
なんと返せばいいのか困ってクリスを見れば、彼は愉しそうにこちらをニヤニヤと見ているだけで、助け舟を出す気は無いらしい。
困り果てていたカレンに、意外なところから助け舟がやってきた。
否。
当然といえば当然な……。
ズドッ。
カレンとレオナルドを引き離すように、絶妙な位置で二人の間に剣が突き刺さってきたのだった。
「あと数センチずれてたら、お前のソレは命が無かったな……。」
クリスは他人事とは思えないと、青褪めながらレオナルドの足元に突き刺さった剣を見下ろした。
そう言いながら、カレンには気づかれないように、そっと己の股間を押さえてしまったのは致し方ないといえよう。
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